インサイド・レポート今こそ知りたい「住まいの地震対策」
~建設現場から学ぶ免震の仕組み~
2012年09月11日
第一回目「住まいの地震対策」
普段はなかなか見られないマンションの建築現場を取材する「インサイド・レポート」。会員の皆様の「知りたいこと」や「疑問」を、取材班が代わりにレポートします。
第一回目となる今回のテーマは、東日本大震災以降は特に意識が高まった「住まいの地震対策」。
そこで、2013年11月完成予定、「ザ・パークハウス 晴海タワーズ クロノレジデンス」の免震装置をはじめとした最新の地震対策をご紹介します。
工事中のマンション建築現場に突撃レポート!
免震装置の基本的な仕組み
地震対策には「耐震」「制震」「免震」などがありますが、今回取材した物件は、建物に地震エネルギーが直接伝わらないようにする免震構造を採用しています。
地震に耐え得る強度を建物に持たせる「耐震」に対して、「免震」とは地盤と建物を切り離すことによって地震の力から免れること。マンションの基礎と建物の間に設けた「免震層」が、それを可能にしています。
建物の基礎と建物の間に設けられた「免震層」には、大きな装置が2つあります。ひとつは、通常時には建物をしっかり支え、地震が起こると荷重を支えながら水平方向に大きく変形できる「アイソレーター」。この積層ゴム(天然ゴム)でできた構造体の中央には円筒状にあけた穴の中に鉛ダンパーが封入されており、鉛の変形によって振動エネルギーを熱エネルギーに変えることで揺れを抑えます。
もうひとつの装置は「オイルダンパー」。この装置は、シリンダー内のオイルの流れで抵抗力を生み出し、アイソレーターと併せて建物の揺れにブレーキをかけ、素早く抑えます。
一個当たり約10tのアイソレーター。これが集まって、30~40万tもある建物を支えているのですね!
ぐにゃりと変形できる積層ゴムでできたアイソレーター
5tもあるオイルダンパー。内部に油が入った油圧式注射器のようなもの
建物が大きく揺れるのに備えた「免震クリアランス」という空間
免震構造を取り入れた建物は、地震が起きるとゆっくりと大きく動きますが、建物が基礎や外周とぶつかると損傷につながってしまいます。それを防ぐために建物の周りに設けられているのが、「免震クリアランス」と呼ばれる空間です。
可動する建物によって配管や電線が損傷を受けないよう、これらは建物の動きにあわせて十分に可動できる余長を取って設置されています。さらに、伸縮性のあるステンレスでコーティングすることで、万一の場合の破断を防いでいます。
地震が起こっても建物が外壁にぶつからないように、こんなにもスペースを取っているのですね!
建物中央部を上下に貫いて支える「コアウォール」
今回の建物には、高層建築物の強度と耐震性を高める「コアウォール」も採用。建物の中央部を貫くこの壁には、多量の鉄筋が使われており、とても重いため、この建物では現場の地上で部品として作り、クレーンで内部に運び込んで組み立てています。
この建物では、中心に立体駐車場が配置されており、その周りを「コアウォール」が囲んでいます。つまり、「駐車場も免震」。大切な資産のひとつである車を守ることにもつながります。
また、免震構造のマンションを建築するには、足組みも免震構造にしておく必要があります。免震にしていないと、建築途中で地震に遭った場合に、足場が崩壊してしまう恐れがあります。
着々と組み上がっているコアウォール。駐車場が免震なんてすごいですね!
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