ヨガインストラクターに聞く 心も身体も整える暮らし方

ヨガインストラクターに聞く 心も身体も整える暮らし方

[暮らしのアイデア]

2017年10月11日

心身を整え、健やかな暮らしを支えてくれるヨガ。「今、ここ、に集中する」「バランスを大切にする」といったヨガの考え方には、日々の暮らしを豊かにしてくれるヒントがたくさんつまっています。ヨガインストラクターの村上華子さんに、そんなヨガの考え方や、ご自身の暮らしで大切にしていることを教えていただきました。

ヨガと出会う前は“ゴチャゴチャしたインテリア”が好きでした

ヨガは、「自分と向き合い、心身を整える」ことを大切にしています。ヨガを“マットの上で行う運動”と考えている方も多いのですが、実は“体を動かしながら呼吸を整え、そこで感じ、学んだこと”を、毎日の暮らしにどう活かすかが大事なんです。自分と向き合うということは、自分がどのような状態にあるかを客観視するということ。冷静に自分を見つめれば、そこにゆとりが生まれ、自分にいま何が必要で、何が必要でないかに気づくことができます。

私がヨガに出会ったのは、出版社で働いていたとき。残業が多くて忙しく、ストレスフルな環境でした。ストレスを解消するために仕事の後は同僚と飲みにいったり、化粧も落とさず倒れるように寝たり。いま思えば、自分を見つめるゆとりがなく、自分の癒し方もわかっていなかったんですね。インテリアも、当時はゴチャゴチャと雑然とした感じが好きで、部屋の壁紙も赤などの派手なものが好みだったんですよ(笑)。

ヨガを体験して体がスッキリした感覚を味わい、気持ちよさがクセになってから、自然とヨガをすることが習慣となりました。そこから体はもちろん、考え方や好み、自分の状態も少しずつ変わっていったんです。部屋もシンプルな空間が好きになりました。

心と体と部屋は、“ひとつながり”

ヨガには「シャウチャ=清浄」という言葉があります。これは、言葉、体、身の回りのもの、環境、すべてが自分のマインドと“ひとつながり”になっているという教えです。部屋が汚ければ雑念を生む原因になりますし、吸った空気が埃だらけでは、心身の健康にはつながりません。空間を整えることは、ヨガの哲学においても大切なことのひとつです。

部屋をくつろげる空間にしたいときは、良い香りのするヨガスプレーやハッカ油スプレーを愛用している。
ヨガにとって呼吸はとても大切なもの。好きな香りをかぐと、より深く呼吸することができる。

私はいま子育てをしていて、朝バタバタと過ごしたり、おもちゃが床に散らかったりと、なかなか「すべてが整う」ことは難しいのですが、自分のできる範囲で、家を心地よい環境に整えるようにしています。

ヨガでは“今の自分の状態”に集中することが大事です。でもヨガをしている最中に、部屋の洋服棚の引き出しが少しだけ開いているのが目に入ると、「そうだ、洗濯物を取り込まなきゃ」と、先の心配が浮かんでしまいます。そして「あ、買い物も行かなくちゃいけないんだった」と、さらに先の不要な心配を連想してしまうのです。こうなると集中の糸も切れてしまいます。逆に、ヨガをする前に少しでも部屋を整えて、フローリングを水拭きするととても気持ちがよく、集中できます。先ほどの「シャウチャ」の考え方でいえば、心地よい環境に身をおけば、心も体も良い状態になってくるのだと思います。

自分を大切にする時間を持つ

日本人は“がんばり屋さん”が多いので、どうしても自分を犠牲にしがち。仕事のこと、人のことばかりに目が向いて、自分を見つめる時間がとれず、自分をおろそかにしてしまうのではないでしょうか。忙しいときほど、10分でいいので部屋でゆったりと、自分と向き合う時間を作るとよいと思います。例えば、気持ちの良い窓辺に座って目を閉じて、吸って吐いて、自分の呼吸を観察してみる。深く呼吸ができていなかったら、自分が無意識のうちに緊張し、体がこわばっているということに気づけるかもしれません。そうすれば自分に必要なケアをすることができます。

また、心に浮かんでくることをノートに書き留めるのもおすすめです。思い悩むことなどを10個ぐらい書き出すと、自分の中に溜まっていたことが整理できます。それから深く呼吸をして、頭をすっきりさせてからもう一回メモを見直すと、その解決の優先順位や“こと”の大きさが見えやすくなります。クールダウンしてから考えると、悩んでいたことが実はささやかなことだったと気づくことも多いものです。

村上さんが愛用しているノート。ヨガレッスンの動きを考えたり、思いついたことをメモしたりしている。見返すことも多いそう。

こまめに整理をして“いらないもの”を手放し、必要なことが何かを知ることは、とても大切です。それは、「住まい」や「感情」、「体」すべてに言えること。先ほどお話したように“ひとつながり”なのです。「エモーショナルイーティング」という言葉がありますが、心が不安定な状態だと、お腹は満たされている状態なのに何かを口にして自分を満たそうとする、衝動的な食欲が起こることがあります。それは体に不要なものを溜め込んでしまっている状態です。
そんなときは目を閉じて1分間呼吸に集中すると、不思議と心が整理されて食欲がおさまるんですよ。私も夜中にビールが飲みたくなったときなどに、よくやっています(笑)。冷蔵庫の中身を整えきれいにすることも、食欲を整えたり、ヘルシーな生活を送ったりすることにつながると思います。

ヨガを始めてから食の好みも変わり、自然と体によいものを選ぶようになった。朝は一杯の白湯で一日をスタートさせる。
エネルギーを消耗する日は、中医学で「気」を補充するとされる「なつめ(右写真の赤い実)」を白湯にプラスしてとることも。

ヨガで体を整えると、心が晴れやかになる。心が晴れやかになると、いろいろと行動したくなって部屋も美しくしたくなる。部屋が美しいと、その空間でヨガをしたくなる・・・こんな風に、良い循環が生まれるような気がします。
忙しい毎日に、少しだけゆっくりと呼吸をする時間を持ち、自分を見つめることから始めてみていただければ、と思います。

村上 華子さん
ヨガインストラクター。2004年にヨガを始め、綿本彰氏のスクールで指導者としてのトレーニングを積む。仲間とともに設立したヨガスタジオ「HAS YOGA(ハスヨガ)」などで指導を行うほか、ヨガコラムの執筆など多方面で活躍。2012年12月に第一子を出産後は、自身の経験を踏まえながらマタニティヨガの普及にも情熱を注いでいる。

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テキスト:大森りえ
写真:安岡花野子
   getty images

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