プロフェッショナルの目線 Vol.7 キッチンを美しく保つには?

プロフェッショナルの目線 Vol.7 キッチンを美しく保つには?

[暮らしのアイデア]

2016年11月09日

物であふれたキッチンを整理し、スッキリきれいに片づいた状態をキープする秘訣を収納スタイリスト・整理収納アドバイザーの吉川永里子さんにうかがいます。

話=吉川永里子(整理収納アドバイザー)
Room&me 代表。収納スタイリスト、整理収納アドバイザーとして、個人宅向けのサポートを行うほか、セミナー、雑誌、TVなどで活躍している。

text by Seishi Isozaki

目線1

「使うもの」「使わないもの」を明確にして整理する

食べ物を扱うキッチンは、家のなかでも特に清潔に保ちたい場所です。調理だけでなく、掃除もしやすいように、常にスッキリと片づいた状態を保つのが理想です。「そう思って、何度も片づけようとしているのに、うまくいかない」。そんなお悩みを持つ方の多くは、「片づけ」ではなく「整理」が苦手なのではないかと思います。ここで言う整理とは、物の仕分け、つまり取捨選択のこと。必要ないものを処分することから、片づけが始まるのです。

必要なものとそうでないものを仕分ける基準は、使っているかどうか。まずはしまっているものを外に出し、「使っているもの」と「使っていないもの」に分けてみましょう。このとき、一度にやろうとせず、今日は食器棚、明日は調理器具、明後日は食品ストックと、ジャンルごとに手をつけるといいでしょう。忙しければ、引き出しひとつから始めてもOK。少しずつでも、「できた」という達成感を得ることが大事です。

ここで気をつけたいのが、「使っている」と「使える」を混同しないことです。たとえば、大量の割り箸や保存容器、結婚祝いや引き出物としてもらった食器、揃いのカップが割れてしまったソーサーなどが戸棚で眠っていませんか?こうした、「まだ使える」「いつか使える」と思ってとっておいたものの出番はまずありません。実際、私がうかがったあるご家庭にも、サイズ違いのカトラリーがいくつもありましたが、聞いてみたら「食事では箸しか使わない」とのこと。つまりは、「使っていないし、なくても困らないもの」でした。同じ用途のものをたくさん持っていても、使いきれませんから、普段使っているものだけ残し、あとは処分してしまいましょう。

普段は使わなくても、年に1回は必ず使うもの、たとえばクリスマスやお正月、お節句などで使うものは「使っているもの」に仕分けます。問題は「使っていないけれど、捨てたくないもの」。キッチンには、洋服やアクセサリーほど、思い出や思い入れのあるものは少ないと思いますが、もし自分にとって特別なものであるなら、無理に捨てる必要はありません。ただ、1年経っても手にすることがなかったら、「それがなくても生活できる」証拠ですから、処分を検討してもいいと思います。

吉川さん宅の食器収納例。「使えるもの」は処分し、「使っているもの」だけを残したので、すっきりと片づいている。

目線2

収納は「使いやすさ」を意識する

ものの整理が終わり、「使っているもの」だけを手元に残せたら、次はいよいよ収納です。カラにした引き出しや戸棚をきれいに掃除し、「使っているもの」を戻していきましょう。このとき、食品と食品以外のもの、日常的に使うものと季節ものは別々の場所に。ラップやポリ袋などの消耗品は使いかけのものとストックを同じ場所に収納すると管理が楽です。

「収納=しまう」と思っている方がいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。収納とは、ものの定位置を決めて、使い勝手をよくすることだと、私は考えています。つい出しっぱなしにしてしまうものがあるとしたら、それだけ使用頻度が高いということ。スペースに余裕があるなら、調理台の片隅を「定位置」、つまり収納場所と決め、使ったら必ずそこに戻すようにしてもいいのです。

我が家のキッチンはコンパクトで、調理台をふさぎたくないので、レンジフードにS字フックを掛け、おたまやフライ返しなどの調理器具を吊るしています。同様に、シンクのそばには計量カップやスケールを吊るし、シンク上の備え付けのラックには水切りカゴを設置。こうして使うものを使う場所に、使いたいときに片手でさっと取れるように収納することで、調理や後片づけをスムーズにできるようになりました。皆さんも「どうしたら自分が楽に作業できるようになるか」を考えて、収納場所や方法を考えてみてください。

ただし、使い勝手だけで収納場所を決めてはいけないものもあります。私は小柄なので、日常的に使うものはコンロ下、季節ものは吊り戸棚に収納していますが、ホットプレートや土鍋は落ちたら危険なので、吊り戸棚には入れないようにしています。また、やりがちなのですが、米びつや調味料などの食品をシンク下に収納するのもNGです。出し入れしやすいとはいえ、湿気が多いシンク下は、食品の保存には向きません。

吉川さん宅のコンロ周り。コンロ下にはよく使う鍋や調味料などを収納。使用頻度が高い調理器具などは、吊るす収納にすることで、使い勝手をよくしている。

吉川さん宅のコンロ周り。コンロ下にはよく使う鍋や調味料などを収納。使用頻度が高い調理器具などは、吊るす収納にすることで、使い勝手をよくしている。

目線3

「循環」させて常に片づいた状態を保つ

すっきりと片づいた状態をキープするためには、ものを「循環」させることが大切。これは、①使ったものを元の場所に戻す、②ものをひとつ増やしたら、ひとつ減らすことを意味しますが、いずれの場合も、すぐに実行することが肝心です。

キッチンで実行が難しいのは②。キッチン消耗品や食料品は、もともと安価な上に特売をすることが多いので、減らないうちから追加しがちです。ストックが増えすぎると、また一から整理をやり直す羽目になりかねないので、買いすぎないように注意しましょう。また、お徳用サイズの商品は、少人数のご家庭では使い切るのが難しく、結局無駄になることが多いようです。まずはご家庭での消費量を把握し、多少割高でも、無理なく使いきれる容量のものを買うことをおすすめします。

食器に関しては、私は独自の買換えルールを決めています。我が家では、普段用の食器は4枚1組でそろえているのですが、1枚割れたら4枚すべて買い替えることにしています。もったいないと思われるかもしれませんが、1枚だけ形やサイズが変わると収納しづらくなってしまいます。滅多に割れるものでもありませんから、1枚割れたときがお役御免のタイミングと割り切っています。

今回ご紹介した「整理・収納・循環」のプロセスは、キッチン以外の場所の片づけにも適用でき、繰り返し実践することで片づけのスキルが上がります。ただし一朝一夕にはいかないので、あせらずゆっくり取り組んでくださいね。

整理、収納だけでなく、循環させることを心がけると、美しく整ったキッチンを保つことができる。

整理、収納だけでなく、循環させることを心がけると、美しく整ったキッチンを保つことができる。

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