2003年(平成15年)10月「M.M.TOWERS」竣工

横浜みなとみらい21で先取りした、新しい時代の街づくり・住まいづくり

パート4
成熟した社会で三菱地所が目指すもの

M.M.TOWERSが提供する4つの価値

敷地内に3,000㎡にもおよぶ森をつくり出した。

敷地内に3,000㎡にもおよぶ森をつくり出した。

左/2014年5月撮影 右/竣工時(2003年)

左/約10年で大きく成長した木々(2014年5月撮影)右/竣工当時(2003年撮影)

コアウォール構造とともに安全性を支えている免震装置

コアウォール構造とともに安全性を支えている免震装置

みなとみらいで初めてのマンションとなったM.M.TOWERS。「みなとみらい」の名にふさわしく、免震コアウォール構造やスケルトン&インフィルシステムなど最新のテクノロジーや仕組みを活用し、「住まいの本質」を徹底的に追求したこの建物のバックボーンにあるのは「21世紀ストック型住宅の4つの基本性能」という考え方だ。

それは「快適性」「安全性」「耐久性」「社会性」の4つの要素。これまで見てきた柱や梁のない快適な居住空間の実現、免震構造や防災システムによる安全性、100年コンクリートやスケルトン&インフィルシステムによる耐久性の実現なども、「21世紀の住まいに必要なもの」を真摯に追求してきた結果だ。

ところで「快適性」「安全性」「耐久性」は理解しやすいが、「社会性」とはどういうことだろうか。設計担当者は語る。

「省エネや環境問題は街づくり・住まいづくりを担う者にとって、今後、ますます大きなテーマになります。住宅の平均寿命が30年以下とされる日本において、100年住み続けていただくことを意図したM.M.TOWERSは、住まいがどのようにしてエコロジーに貢献できるかという問いへのひとつの解答でもあります」

またM.M.TOWERSでは敷地内に3,000㎡にもおよぶ森をつくり出している。これは、それまで誰も住んでいなかったところに街をつくるうえで欠かせないことだった。また同時に横浜市が掲げる緑地面積目標にも貢献している。

こうして「21世紀ストック型住宅の4つの基本性能」を追求したM.M.TOWERSは、当社の街づくり・住まいづくりの歴史の中で見れば、パークハウス多摩川がつくり上げた「マンションの理想形」を、21世紀に即した新しい姿で提示したものだ。

「M.M.TOWERSでは、住宅にとって何が大切なのかという原点に立ちもどり、基本をきっちりやることを考えました。お金はかかるけれど目には見えない部分なので、手を抜こうと思えば抜ける部分です。しかし、目に見えない部分にこだわり、お金をかけていることを理解してもらうことも大切。コストを優先される方も確かにいらっしゃいますが、目に見えない部分をきっちりやっているから、ほかと比べると、若干高いかもしれないけど、ほかとはクオリティが違うことをお客様にきちんと伝えようと考えました」

街とともに成熟していく

当時、本社で商品企画部長をつとめていた平生進一

当時、本社で商品企画部長をつとめていた平生進一

2013年6月撮影

2013年6月撮影

発展を続ける「みなとみらい」とともに成熟していく

発展を続ける「みなとみらい」とともに成熟していく

M.M.TOWERSの誕生によって、みなとみらいは今後、どのように成長していくのだろうか。平生は「私見ですが」と前置きしつつ、次のように語った。

「M.M.TOWERSが21世紀の住まいに求められる4つの基本性能を提唱したように、街にとっても4つの基本性能というべきものがあるのではないかと思っています。それは住宅、ビジネス、商業、教育・余暇など多様な機能を備えていて、そこに住んでいる人、働く人が代わっていっても、常に新陳代謝しながら成長していく。そのような街です。丸の内は明治以来発展してきましたが、ビジネスの機能しかありませんでした。そのため『丸の内の黄昏』といわれた時代もありました。その反省から商業施設を取り込み、いまでは休日もたくさんの人が行き交う街になりました。もうすぐホテルや温泉もできます。昔の丸の内からは想像もできません。しかし丸の内には住宅はありません。それと比べると、みなとみらいには、人が暮らし、仕事をし、愉しむための機能が揃っています。21世紀の街の理想型がここにあるのではないでしょうか」

多様な機能をもった「街の一部」として住宅があるという考え方をもとにしているため、M.M.TOWERSは、この規模のマンションによく見られるような共用施設は敢えて備えていない。ゲストが来た時には近くのホテルに泊まってもらう。フィットネスクラブも近隣の施設を利用する。言ってみれば、みなとみらい全体がM.M.TOWERSの共用施設という考え方だ。平生は続ける。

「便利という言葉には2つの側面があります。勤めるために便利、住むために便利という2つです。今まではどちらかというと勤めるために便利という意味合いが強かった。ところが社会が成熟してくると、住むために便利であることを優先する人口が増えてきます。M.M.TOWERSでも、山側の戸建に住んでいたご夫婦が、便利さを求めて移り住まわれた事例もあります。今までよりも、多様な視点から街や住まいを評価することが当たり前になってくると思います。そしてデベロッパーは、そのような成熟したニーズに対して、どのような選択肢を提示できるかが問われるようになるでしょう」

「みなとみらい」という絶好の舞台で、21世紀に求められる住まいの要素をひとつひとつカタチにしていったM.M.TOWERS。成長を続ける「みなとみらい」とともに、これからも成熟を重ねていく。

ザ・パークハウスを紐解く、6つのストーリー

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