緑豊かな”野”の面影。丘陵の別荘邸宅に憩う。【ザ・パークハウス あざみ野一丁目】

プロジェクトリポート「ザ・パークハウス あざみ野一丁目」緑豊かな”野”の面影。丘陵の別荘邸宅に憩う。

[ザ・パークハウス ストーリー]

アザミの咲き乱れる野のイメージから地名となった「あざみ野」。閑静な住宅地のなかに公園などが点在し、緑のつながりを感じさせる。街と自然がほどよく混ざり合う丘の上に、まるで別荘のように佇む、低層のレジデンスが誕生した。

photos by Teruhisa Kobayashi
text by Norihiko Morita

神奈川県横浜市青葉区あざみ野。その全域が東急電鉄により開発された「多摩田園都市」であり、閑静な住宅街が広がる人気の街だ。東急田園都市線あざみ野駅の西口に出ると、正面に真っ直ぐメインストリートが延びている。

『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』は、このメインストリートの先を右手に曲がった小高い丘の上に立地している。

美しい街路樹に導かれる住まいへのアプローチは、日々の暮らしを豊かに感じさせる、ちょうどよい散歩道にもなるだろう。
実際に日暮れの帰宅時間に、整備された歩道を抜けて丘の頂上へと歩を進めてみる。にぎわいを見せるメインストリートの街並みから、静かな住宅地へと空気が変わる。その丘の頂にある『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』は、まるで避暑地にある別荘のような趣だ。遮るもののない夜空の下にあかりが灯り、静寂とともに帰宅する居住者を迎えてくれる。

そんな落ち着きのある住環境こそが、ここに住まう魅力のひとつとなっているようだ。

ザ・パークハウス あざみ野一丁目

日常に、非日常を感じさせる空間のしつらえ。

かつて雑木林が広がっていた土地の記憶を継承し、『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』は避暑地の別荘のように、自然のなかに建物が佇む風景をコンセプトにしている。8,647.95㎡の敷地内には緑量豊かな植栽や、風景と調和する素材感のマテリアルを選定。また、共用廊下とは別に用意された住棟を結ぶ散策路には、コミュニティ形成を育む複数の「広場」を設けている。

左/腰を掛けたり、立ち話をしたり。憩いの場所となるスクエア広場。 右/共用棟を出ると、オーバル広場から散策路が始まる。

左/腰を掛けたり、立ち話をしたり。憩いの場所となるスクエア広場。
右/共用棟を出ると、オーバル広場から散策路が始まる。

自然のなかに佇む別荘邸宅。内と外をゆるやかにつなぐ。

「あざみ野」の地名は、アザミの咲き誇る風景からイメージされたと言われている。住宅地として開発される以前は、野原や雑木林が広がる自然豊かな地域であったのだろう。その景観は、いまもこのエリアに点在する多数の公園や緑地に引き継がれている。そして『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』の建設地も、雑木林が広がる緑に恵まれた環境だった。その土地の記憶を継承し、新たなレジデンスを建設することが、用地取得時から設計に携わり、完成・引き渡しまで見守った横井秀彰の仕事だった。

「あざみ野エリアのなかでも丘の上という、とくに静かな環境を生かし、空と緑の美しさを感じられる住まいをイメージしました。別荘のような優雅さと、木々が生い茂っていたこの地の面影を残すような設計を意識しています」

横井は『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』が完成するまでの約3年半の期間、企画設計、商品設計と、建築計画全般を指揮してきた。その横井が最もこだわったのが、住棟とは別に用意された共用棟だ。多くのマンションの場合は住棟の1階部分に配置されるエントランスやラウンジなどの共用施設を、あえて住まいと別の棟に分けることで、私的空間(住棟)と外界をつなぐ緩衝エリアとした。

エントランスアプローチもやわらかな照明と豊かな植栽が続く小径をイメージ。エントランスアプローチと共用棟を抜けていく、しばしの時間に心をリセットしてもらおうという仕掛けだ。住まいへの道程、木々の緑と奥行きのある空間演出が、深いくつろぎを与えてくれる。

デッキ広場から眺める夜のラウンジ兼集会室。

デッキ広場から眺める夜のラウンジ兼集会室。

日常のなかの非日常を感じる、開放的なコミュニティ空間。

重厚なエントランスから光射す風除室を抜けてエントランスホールへ入ると、ほのかに杉の香りが感じられる。それは、列柱状に壁面を埋める杉板から発せられている。柱の面材に天然木を使用することで、温もりのある質感、時を経ても色あせない空間に仕上げている。

「この壁面は『導きの壁』と名付けていて、心を落ち着かせ住まいへと導く象徴としての役割を持たせています。共用棟内を歩くことそのものが、安らぎを与えてくれる。そんな空間を求めました」

天然木(杉)が連続するエントランスホール(導きの壁)。

天然木(杉)が連続するエントランスホール(導きの壁)。

まさに導かれるようにエントランスホールの奥へ向かうと現れるのが、ラウンジ兼集会室。天井の高さと一面のガラスウォールが印象的だ。ガラスウォールに面して並ぶチェアは、目の前のデッキ広場を眺める特等席。
季節ごとに表情を変える植栽に、心を和ませるひととき。そんなゆったりとした時間を味わうこと、日常のなかの非日常を演出することが、共用棟の役割のひとつなのかもしれない。

天井の高い開放的なラウンジ兼集会室。中央のテーブルは3つに分割でき、集会室としての使い勝手にも配慮している。

天井の高い開放的なラウンジ兼集会室。中央のテーブルは3つに分割でき、集会室としての使い勝手にも配慮している。

独立した共用棟は、気持ちを落ち着かせる「心のアプローチ」としてプランニング。

エントランスホールやラウンジなどを、住棟の一部として設計するのではなく独立棟とすることで、その存在感を高めている。エントランスアプローチと同様に、奥行きのあるエントランスホールは、帰宅する居住者の気持ちを落ち着かせるための仕掛け。「心のアプローチ」として、歩く行為そのものに意味を持たせている。

森のなかの別荘やホテルを感じさせる、迎賓の間。

天然素材や木調のマテリアルに射し込む光が心地よい空間を生み出している共用棟は、自然との共生をイメージ。ラウンジ兼集会室の大開口の窓から望む植栽の風景が、訪れる人を迎えてくれる。

風除室からエントランスアプローチの植栽を望む。

風除室からエントランスアプローチの植栽を望む。

ガラス張りの大開口から望むデッキ広場。

ガラス張りの大開口から望むデッキ広場。

かつての雑木林の記憶を植栽計画に再現したものがデッキ広場であるように、『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』は緑量の多いレジデンスとなるべく計画された。その結果として、ABINC認証(いきもの共生事業所認証〈集合住宅版〉)を取得している。ABINC認証とは、土地利用における生物多様性保全の取り組みの成果を認証する制度のこと。一般社団法人いきもの共生事業推進協議会(ABINC)が第三者評価・認証をする。『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』は、この認証基準を考慮しながら生物を育む豊かな緑地を創出し、隣接する街並みと一体化した植栽計画を立てた。

「もちろん緑量の多さはABINC認証のためだけではありません。エントランスアプローチやデッキ広場以外に、住棟を結ぶ散策路にも多くの植栽を配置しているのは、居住者の皆さんに安らぎを感じてほしいから。散策路を通り、それぞれの住戸へと向かう途中にも、自然のなかを歩いていくような、別荘に暮らすような雰囲気を感じていただければと思います」

横井の言う散策路とは、共用廊下とは別に外構に設けた、共用棟と住棟を結ぶ通路を指している。道中には4つの広場が設けられており、居住者同士の交流の場ともなる。緑の連なる散策路は、通路としての機能とコミュニティ形成の機能を備えた共用スペース。自然と人と住まい、それらが心地よい関係を育んでいくのも『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』の特徴と言えるだろう。

ゆるやかなS字を描く、小径のような散策路。

ゆるやかなS字を描く、小径のような散策路。

丘陵の頂、南向き。低層でありつつ、街を一望。

『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』は、全111戸中76戸を南向きとしている。その理由は、南傾斜という土地のポテンシャルを最大限に引き出すため。いちばんの魅力は丘陵だからこその開けた眺望、傾斜地だからこそ隣地からの視線が気にならない環境だ。

建設地が丘陵の頂から南に傾斜した土地であるため、低層レジデンスでありながら、3〜4階の住戸では空と街並みが広がる気持ちのよい風景を堪能できる。一方、1〜2階の住戸は隣地が一段低いため視線が合いにくく、植栽を目隠しとすることで、さらにプライバシーに配慮している。

前述のABINC認証でも植栽計画について触れたが、『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』は8,647.95㎡の敷地面積に建ぺい率40%と、ゆとりのある建設計画のため敷地境界の緑量も豊富だ。森のなかに暮らすようなイメージ、と言っても過言ではないだろう。

4階相当から眺めた南方面の風景。

4階相当から眺めた南方面の風景。

とくに1階のテラスを備えた住戸は、アウトドアリビングにガーデニングなど、楽しみ方も自由自在だ。広い空と街並みを遠望する暮らし、緑に囲まれた心落ち着く住まい。ともに別荘邸宅と呼ぶにふさわしい住環境を生み出している。
「やはり、あざみ野の丘の上というロケーションは、何物にも代えがたいでしょう。ここから眺める街の風景を大切に、ここにあった自然の風景を少しでも内包するような集合住宅に。私だけでなく、施工会社や設計、ランドスケープの担当者など携わる全員が、何度もお互いに話し合い、理想を追求したからこそ『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』が誕生しました。皆が同じ想いだったから実現できたのだと思います」

空と緑景を望む、南傾斜の低層レジデンス。

『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』の建設地は、落ち着いた住宅街が広がる第一種低層住居専用地域。南に傾斜した広大な敷地を生かし、低層レジデンスでありながら、空と緑景を望む開放的な住環境を実現している。

『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』の高低差俯瞰イメージ。

『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』の高低差俯瞰イメージ。

左/棟内モデルルーム(80.63㎡)の洋室(約5畳)。右/南向きの明るいリビング・ダイニング(約14畳)。 ※モデルルーム(P1gタイプ)を撮影(2019年11月)したもので、照明・装飾用小物等オプション(有償)も含まれています。家具・調度品等は販売価格に含まれません。

左/棟内モデルルーム(80.63㎡)の洋室(約5畳)。右/南向きの明るいリビング・ダイニング(約14畳)。
※モデルルーム(P1gタイプ)を撮影(2019年11月)したもので、照明・装飾用小物等オプション(有償)も含まれています。家具・調度品等は販売価格に含まれません。

横井たちの求めた『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』は、自然豊かな「あざみ野」の面影を、住まいの端々で感じられる集合住宅だった。その面影を元に、まるで避暑地の別荘に住まうような落ち着いた空間、上質な雰囲気を感じてもらうことが目標であり、ゴールだった。竣工から1年を経た『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』は、エントランスアプローチやデッキ広場、散策路の植栽が育ち、はやくもその存在感を増したように感じられた。たくさんの居住者を迎え、あざみ野の丘の新たな景観の一部として、なじみ始めているようだった。

夕陽に佇むエントランスアプローチ。

夕陽に佇むエントランスアプローチ。

なお『ザ・パークハウス あざみ野一丁目』は、2019年度グッドデザイン賞を受賞。住棟から切り離された共用棟と、建築と連携した巧みな外構計画が評価された。

グッドデザイン賞について知る

ザ・パークハウス あざみ野一丁目(分譲中)

ザ・パークハウス あざみ野一丁目

東急田園都市線、横浜市営地下鉄ブルーラインのあざみ野駅から美しい街路樹に導かれる丘の上に立地。南に傾斜した敷地を生かし、南向き住戸中心の4階建てをプランニングした(建築基準法上は地上3階地下1階建)。広い空と、あざみ野の街を望む、心地よい111邸が誕生した。

● 所在地/神奈川県横浜市青葉区あざみ野1丁目23番1(地番)
● 構造・規模/鉄筋コンクリート造鉄骨造(エントランス棟一部)4階建(建築基準法上は地上3階、地下1階建)
● 総戸数/111戸
● 竣工/2018年12月
● 売主/三菱地所レジデンス(株)
● 施工/(株)フジタ

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