マンション人気が続く福岡。都市力の高さも影響している
九州産業研究所代表取締役・マーケティングプランナーの板井工典さんに、
福岡のマンション事情について聞きました。
福岡市で新築マンションが
売れているって本当ですか?
確かに売れています。それを裏付けるのが、マンション契約率です。「福岡市新築分譲マンション契約率」のグラフを見てください。
2012年からずっと高い契約率を維持しています。しかし売れているために、マンションは品薄状態となっており、在庫数は以前に比べ圧倒的に少なくなっています。
「福岡市新築分譲マンション在庫数」のグラフを見てください。
10年ぐらい前と在庫数が全然違い、すごく減っているのが一目瞭然です。
新築マンション人気と比例して、中古マンションの価格も上昇しています。価格が上昇するということは「需要が高い」ことを意味しており、新築人気が中古にも波及しているほど人気となっています。
福岡市の新築マンションはなぜ
人気があって、売れているのですか?
一つ目は「都心」に集中していること
理由は三つあります。一つ目は、新築マンションの供給地が、福岡市内でも中央区や博多区、早良区などの都心部に集中してきたことです。5年前までは、東区を中心にした供給分布だったのですが、最近は地下鉄空港線の沿線や博多駅近辺などで利便性の高い物件が増えていることが特徴的です。
都心部にあるマンションは利便性はもちろんのこと、資産性が保ちやすいという好条件が整いやすいことも、人気を支えています。市内の郊外部の一戸建てにお住まいの方が、その利便性を求めて購入されるケースなどもあり、いわゆる「都心回帰」という動きも見受けられます。
二つ目は、コンパクトで暮らしやすい「都市力の高さ」
二つ目の要因として、福岡の都市力の高さも影響していると思われます。福岡の都市を構成する重要な3要素は、西の中心地である「天神」、東の中心地「博多」、それと空の玄関口である福岡空港です。それが一直線につながっていることが、都市力において大きな強みだとされているのです。
福岡空港へのアクセスは、全国的、世界的にも珍しく魅力が高いものです。
福岡県外からの転入者や関東や関西からの転勤者がこの利便性を知り、「コンパクトで便利な街」ということをより一層感じているようです。「暮らしやすい」⇒「住みやすい」⇒「マンション人気」という構図になっているのです。
要因三つ目は、これからの「伸びしろ」が期待できること
三つ目は福岡の都市力の「伸びしろ」が、これからもあることです。
例えば昨年開業した「MARK IS 福岡ももち」もその一つです。
大型商業施設が新規で開業するケースは希少なことですが、MARK IS 福岡ももち以外にも今後、新規開業が予定されています。都心部では「天神ビックバン」という再開発が、国と行政を交え都市開発を加速させています。「ウォーターフロントネクスト(中央ふ頭・博多ふ頭の再整備)」「旧大名小学校跡地活用事業」「簀子小学校跡地活用」、大濠公園と舞鶴公園の一体的な活用を図る「セントラルパーク構想」などなど、街を挙げた開発はこれからも目白押しです。
都市開発が成されることで人が増えます。人が増えることでサービスが拡充され、利便性が増します。この循環により都市力を上げていくシナジー(相乗効果)が生まれる可能性を福岡は持っているのです。
福岡のマンション人気は、
これからどうなっていきますか?
私の見立てでは、今後も人気は続いていくと予測されます。住宅の資産価値の目安となる「地価」を指標とすると、福岡市は日本では少ない地価上昇都市です。
「地価の上昇=資産価値の上昇」の相関は、不動産における底堅い指標となっています。現在まで上昇傾向にあることを考慮すると、今後もさらにマンション人気は高まっていくと予測されます。
また、平成27年度の国勢調査によると、福岡市は政令指定都市の中で人口増加率・増加数ともにNo.1です。
特に人口が増加している福岡市内で都心部の地価上昇が顕著である点は、今後も注目すべき点です。これからも福岡のマンション人気をけん引していくトピックスとして注目されます。