今回は、三菱地所レジデンス株式会社 第一計画部　計画第四グループ　グループマネージャー 石原稔久に、都心エリアにふさわしいマンションづくりに対する想いや担当した「ザ・パークハウス グラン 南青山」のエピソード、新しい都心プロジェクト＜（仮称）渋谷区神山町計画＞について話を聞きました。

石原 稔久

三菱地所レジデンス株式会社 第一計画部 計画第四グループ
グループマネージャー

2000年三菱地所株式会社入社。
商品企画部、名古屋支店、第二計画部を経て、2021年4月より現職。
「ザ・パークハウス グラン 南⻘山（2016年竣工）」「ザ・パークハウス グラン 麻布仙台坂（2017年竣工）」「ザ・パークハウス 白金二丁目タワー（2018年竣工）」などをはじめとする都心分譲マンションを担当。

ものづくりの信念
～多様なニーズを読み取り、都心マンションの価値向上を目指して。～

三菱地所レジデンス 都心分譲実績

ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵

ザ・パークハウス グラン
麻布仙台坂

ザ・パークハウス 白金長者丸

ザ・パークハウス
白金二丁目タワー

近年住まいに求める価値や暮らし方は、ますます多様化しています。
これからは、画一化された商品開発では、お客様の満足を得ることは難しくなると思います。
今まで以上に立地を深く理解し、住む方の想いを様々な角度から見つめ、あらゆる可能性を考えながら緻密にプランニングしていく必要があると考えています。

建物を計画する時に、重要視しているところは、建物が完成した後では変更ができない「共用部分」のつくりこみです。
その中で、特に都心マンションで意識しているポイントは、「プライバシー性をどこまで高められるか」。
例えば、エントランスからエレベーターまでの動線、コンシェルジュカウンターの位置、車動線など、プライバシー性と利便性のバランスを考え、細部にわたり協議を重ねて計画を進めていきます。
また「専有部分」では、空間の美観と開放感を大切にされるお客様のニーズにこたえるべく、「梁」や「下がり天井」を極力目立たなくするように心がけています。

また不動産は、ひとつとして他に同じ立地条件はないため、その場所独自の立地特性を活かす計画をしなければならないと常に考えています。
「この場所だからこそ、この建物計画がベストな計画である」という視点を忘れず、取り組んでいます。

多様化する時代だからこそ住まわれる方ひとりひとりの想いにしっかり応え、その立地にあった商品計画をすることが、都心マンションの価値向上にもつながると信じています。

独創的な“青山スタイル”を目指した「ザ・パークハウス グラン南青山」

「ザ・パークハウス」のなかでも都心立地を選び抜き、仕様や素材、サービスにまで最高水準のグレードを目指した、フラッグシップとして「ザ・パークハウス グラン」シリーズがあります。
私が以前、計画に携わった「ザ・パークハウス グラン 南青山（2016年竣工）」では、土地を初めて見た際、周囲の洗練された建築物と調和した街並みを形成するには、重厚感のある邸宅ではなく、美しく独創的なデザインが不可欠だと思いました。

ザ・パークハウス グラン
南青山

所 在 地 /東京都港区南青山5丁目
敷地面積 /4878.74m²
用途地域 /第二種中高層住居専用地域
総 戸 数 /101戸
竣 工 /2016年

そこで、私たちは「青山スタイル」というコンセプトを立て、今までの概念に捉われない新しい試みに挑戦しました。
建物が隣接する都心では周囲と隔絶するつくりになりがちですが、プライバシーを守りながらも、街に優しく溶け込むような開放感と、街を行き交う方の感性にも響くような洗練された意匠を追求しました。

遠目で見ると街並みに溶け込んだシンプルな建物に見えますが、近くで見ると細部にまでこだわったマテリアルやデザインを施しています。

たとえば、外観のマリオンは幅や長さを敢えて不均一にすることで、見る角度によって表情の深みが増します。

エントランスの壁に採用したライムストーンは天然石のため、同じ模様は２つとありません。
中国で品質チェックを行いましたが、色調や模様の入り方など納得がいくまで三度足を運びました。
なかなか思うような組み合わせにならず大変苦労しましたが、その甲斐あって満足のいく仕上がりになりました。

5年経った今でも、周囲に同じようなマンションはなく、植栽も豊かに育って街と調和しながらも、外観デザインは未だに新鮮さを失っていないと感じています。
さらに、10年、20年・・・と時を重ねた後、この邸宅がどのような佇いになるのか楽しみです。

敢えて不均一にして、建物の表情に軽快なリズムを生み出した外観のマリオン

壁面にライムストーンを採用し、シンプルで落ち着きのある空間に仕上げたエントランスホール

（仮称）渋谷区神山町計画
～日常の中に非日常。都心に「別荘」のような邸宅があってもいい。～

（仮称）渋谷区神山町計画　周辺の街並

いま、私たちは新しいプロジェクトに取り組んでいます。場所は渋谷区神山町。
都心では珍しい第一種低層住居専用地域で、マンションの供給も少なく、敷地規模4,000m2超の稀少な立地です。
この地は、代々木公園に近い低層住宅地としての伝統と大規模再開発が進む渋谷という新たな街の魅力が交わる場所に位置するため、南青山とも違った新たな邸宅に挑戦します。

そこで、意匠デザインには、渋谷に事務所を構え、このエリアをよく知るフランス人デザイナーのグエナエル・ニコラ氏（株式会社 キュリオシティ）を起用しました。GINZA SIXなど多くの空間デザインの実績があるニコラ氏なら、私たちが思い浮かばないような斬新な提案をしていただけるのではと思ったからです。
ニコラ氏が「渋谷に別荘をつくろう」と発した時はさすがに驚きを隠せませんでしたが、その言葉の背景にあるイメージや具体的な演出手法を聞いて、私たちがこの地につくろうとしている新たな邸宅像に非常にマッチしていると感じました。

（仮称）渋谷区神山町計画 外観完成計画図

（仮称）渋谷区神山町計画

【計画概要】

所在地

/東京都渋谷区神山町11番1、
11番14(地番)

敷地面積

/4031.49m2

用途地域

/第一種低層住居専用地域

総戸数

/55戸

デザイン監修グエナエル・ニコラ氏株式会社 キュリオシティ

1966年

フランス生まれ

1988年

E.S.A.G(パリ)インテリアデザイン学士号

1991年

RCA(ロンドン)インダストリアルデザイン修士号 来日後、フリーランス活動

1998年

キュリオシティ設立

2004年

E.S.A.G(パリ)名誉修士号取得

GINZA SIX

DOLCE & GABBANA MILAN

ニコラ氏からの本計画のご提案で、非常に特徴的なのが、入口よりも奥に広がりのある敷地形状を活かした、“中へ中へと入りたくなる演出”です。
メインエントランスはゲートからアプローチを湾曲させ、天井が奥へ行くほど狭まっていくことで期待感が高まり、サプライズを予感させます。
ほかにも、柱が見えないように光壁で囲うデザインを施すことで、アプローチ空間を演出していたり、エントランスの扉は開閉時に格子が重なるようにデザインし、“見えるようで見えない”という、ワクワクさせる効果も狙っています。

専有部分は、オープンエアの爽快さを感じていただくために、バルコニーをできるだけ広くとり、最上階住戸の一部にはプライベートなルーフテラス付きプランを検討しています。

進化と緑を身近にする神山町だからこそ、街と調和するデザインの在り方を追求し、ここに暮らすことで、感性を刺激するような、心までエモーションで満たす新しい住まいの形を実現していきます。

（仮称）渋谷区神山町計画　敷地配置図・1階・2階平面イメージイラスト

グエナエル・ニコラ氏による計画スケッチ図

本宅でありながら「別荘」のような新しい感覚も楽しめる。
「邸宅地の伝統」と「新しい街の魅力」が共存するこの場所だからこその『革新的な存在』になれればと願っています。

三菱地所グループはお客様の声を住まいづくりに反映させながら、皆様の期待に応え、それ以上の暮らしを提供するため、住まいの理想のかたちをこれからも追求していきたいと考えております。
今後もＧＲＡＮ ＤＥＳＫ（グランデスク）では、新たな都心計画物件などの情報を皆様にご案内させていただきます。