【完成物件のご紹介】
ザ・パークハウス グラン 三番町26
2024年11月29日、8棟目のグランシリーズ「ザ・パークハウス グラン 三番町26」がお引渡を迎えました。
千代田区で3棟目のグランとなる当物件は、大妻通りの頂、四方に開かれた高台に誕生。
今回のグランデスクコラムは、デザイン監修・三菱地所設計石井邦彦と開発担当者・三菱地所レジデンス鈴木真弥に、三菱地所グループが長く住宅開発に携わってきた地、千代田区の番町に受け継がれる伝統を昇華した邸宅建築について話を聞きました。
デザイン監修
石井 邦彦
三菱地所設計
シニアアーキテクト
- 1967 神奈川県生まれ
- 1993 東京理科大学大学院修了 三菱地所入社
- 2001 三菱地所設計
「パークレオ大濠」(2001)、「The Kitahama Tower&Plaza」(2009)、「グランフロント大阪オーナーズタワー」(2013)、「ザ・パークハウス 京都鴨川御所東」(2017)、「ザ・パークハウス 五番町」(2018)等の設計を手がける。「ザ・パークハウス グラン」シリーズにおいては、「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」(2015)を担当。
千鳥ヶ淵
(2015年竣工)
プロジェクト開発
鈴木 真弥
三菱地所レジデンス株式会社
第一開発部
開発第一グループ
2020年入社以降、現職。
竣工済の担当物件は「ザ・パークハウス 高輪タワー」、「ザ・パークハウス グラン 神山町」など主に都心エリアでの分譲マンション事業に携わる。
「ザ・パークハウス グラン 三番町26」は、販売開始前から担当。
「余白」の豊かさこそが
まち並みの豊かさにつながる都心において、
「四方道路角地」に多角形の建築を創造する意義
大妻通り沿いの緩やかな高台の一画、独立性と開放感が際立つ四方道路に接する立地。文教の街・番町へ、そして邸宅地としての番町への「起点」ともいえる地に竣工した「ザ・パークハウス グラン 三番町26」。現地で感じられるのは、四方道路それぞれにおける風景と建築の表情の豊かさ、そしてそこから力強く立ち上がる列柱による、ひときわ印象的な邸宅としての優雅な立ち姿でした。
敷地配置図
<石井>
都市における環境を考える際、私がとても大切なものとして考えるのが、「都市の余白」です。建物と敷地の境界線に必然的に生じるその「余白」の豊かな連なりこそが東京という都市の豊かさにつながっていくと考えています。「ザ・パークハウス グラン 三番町26」は、武家屋敷の歴史を持つ番町にありながら、その余白が四周の道路と接続され、まちに開かれているところに特徴があります。そしてその豊かさをさらに高めているのが、多角形の建築により生まれるいくつかのスポットであり、それぞれが親密な場になるよう配慮されています。さらに多角形であり四周道路でもあるがゆえに、回遊する経路には行き止まりがなく、番町ならではの高低差がある地形を愉しむこともできます。この稀少な敷地条件が、余白をこの上なく豊かなものにし、「まちのよろこび」を生み出すオープンスペースが実現されています。
「まちのよろこび」は室内においても体現されています。たとえば、「窓辺」。最近では足元から天井までがすべて窓になっている住宅やオフィスをよく見かけますが、実はこうした窓辺には近寄りにくいという意見も多いのです。逆梁工法を採用している「ザ・パークハウス グラン 三番町26」では、足元からではなく腰高のカウンター上部より天井いっぱいに窓を設けています。明るさを確保しつつ、窓へ近寄りやすい工夫をしているのです。適度な高さに設けられた窓が、安心感を与えるとともに、窓辺に椅子を置いたり、まちを行き来する人びとや外の景色を眺めたりといった、都市生活の愉しさでありよろこびとなる、まちとの「接続」を生み出しているのです。
<鈴木>
まちを眺められるということは同時に外部からよく見える環境ということです。逆梁工法の採用は開放感とプライバシーの確保の両立のためでもあります。窓辺には間接照明を設置することで、外部から建物を見た際の色温度を可能な限り調和させることや、内部に視線が届かないようにすることに配慮しました。逆梁により天井がすっきりとした、本質的なゆとりが感じられる空間を実現しています。
建築の持つ普遍的な「よろこび」を体現し
歳月を超えて愛される魅力につながるエンタシス
三番町の高台という、視認性の高い立地にあって建築はどうあるべきか。そのために描かれた骨格は、16本の柱が支え合って空へと伸びていく、歳月を超えて愛される建築でした。番町らしさと、建築が持つ本来の「よろこび」を体現する新たなる建築美が、番町の伝統を継承し、より美しい次代へと、この街の風景を昇華させていきます。
<石井>
「都市に住むよろこび」を体現すると同時に、“番町らしさ”を昇華し、建築が本来持つよろこびを体現するのが、大地の重力に抗して建ち並ぶ4本の主柱と12本のエンタシスによる列柱です。「柱」が持つ構築性は、時を超えて愛される根源的な魅力があります。そして並びたつ姿はなにより美しい。そこに古のエンタシスに着想を得たフォルムと曲線を施すことで力の流れを感じられるようにしています。このフォルムこそ、歳月を超えて邸宅地であり続ける番町のまち並みにふさわしいものだと考えています。
<鈴木>
いかにして「グラン」足り得るか。
そのために1フロア当たりの階高を
ゆとりをもって設計し、
住戸の天井高を確保しました。
「ザ・パークハウス グラン 三番町26」は建築基準法第59 条の2に基づく総合設計制度を活用していますが、周辺の同設計制度適用のマンションと比較して、フロア数が1層少ない計画となっています。この1層分を利用して1フロアごとの天井高を通常よりも高く(リビング・ダイニングで約2,730 ㎜~3,000 ㎜)すると共に、逆梁工法により梁の少ないすっきりとした天井を実現しています。「グラン」にふさわしいゆとりの創出のため、天井の高さにもこだわりました。
番町のまち並みを歩んできた方に、
武家屋敷の持つプライベート性あふれるシークエンスの愉しみを展開する
三番町の高台の開放感を体感し、優美なる列柱が空へと伸びる邸宅像について話を聞いた後、いよいよエントランスへ。特注のロートアイアンによる門扉は、控え目でありながら重厚でかつエレガント。番町ならではの気品ある風格が感じられました。
<石井>
エントランスは、特注のロートアイアンによる控え目で気品ある門構えとしました。エントランスを入るとプライベート性の高い空間からガラスの透明感のある空間へと続くシークエンスが形成されています。これは武家屋敷におけるアプローチのメタファでもあります。ガーデンラウンジでは、刻々と風景が変わっていく体験をさらに豊かにするスロープが視線に変化を与え、敷地の回遊性をなぞらえるようにループしながら180°開かれる景観が愉しめます。この視線の運動性は、この建物独自の体験です。さらに内側に格子によるゆるやかな結界を設けることで、風景が見え隠れするルートも別に用意され、選択する愉しさも備えています。様々なシーンを横断しながら、多層的で奥行きを体感できる空間になっているのです。
<鈴木>
ガーデンラウンジから眺めるカスケードガーデンは、高低差があり東が高く西側が低い自然地形を活かしたランドスケープとなっています。東を山と見立て、山から水が流れるかのような、お濠と桜による千鳥ヶ淵の景観へのオマージュとなっています。石貼りの舗装も水の流れをイメージしてデザインされています。また桜には、ソメイヨシノよりも早咲きの福島県・三春滝桜の子孫樹を植樹することで、この高台から番町の春の訪れを告げる季節の起点になればとの想いが込められています。
番町において
“ここにしかない”体験を
この場所は三番町においても高台でありかつ四方道路により周辺に開かれた稀少な場所。その稀少性のエッセンスを、建築に活かすだけではなく、専有部にも活かすことで、優れた居住性につなげていることもひとつの大きな特徴です。
<鈴木>
エントランスの門扉を形成するデザインやエッセンスを、共用部において、さらには内廊下、専有部にもシークエンスとして連ねています。
<石井>
「ザ・パークハウス グラン 三番町26」は高台の四方道路であることで、豊かな「都市の余白」を生み出していると同時に、住戸においてもワイドスパン中心と高台の四方道路という立地性を活かす空間となっています。三番町において“ここにしかない” 居住性を実現できたプロジェクトといえるでしょう。
<鈴木>
心地よく専有部に誘うため、光環境にもこだわっています。外部の光環境に大きな影響を受ける開放的なアプローチの先に続くのは、プライバシー性を高める内廊下。この光環境のギャップを抑えるため、朝・昼・夜と刻々と変化する光をデザインしています。共用空間の照明を調光・調色することにより、心理的なストレスを緩和したうえで住戸玄関へと向かえるように配慮しています。
建物外観や共用部について、
実物をご覧になり
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まち並み景観の、そして季節の「起点」ともなることで、
番町という縁ある地のこれからをよりいっそう豊かにしていく使命。
それこそ、ザ・パークハウス グランであることの矜持
<鈴木>
この高台は、九段の方から歩んできた方にとってはまさに番町の「入口」となります。その象徴として、いち早く春を知らせる桜があります。本物件は総合設計制度を利用していますが、千代田区の条例でも「通りを意識した計画」が推奨されているように、四方道路沿道は番町全体のランドスケープを形成する意識でデザインされています。桜があり、緑があり、水がある。「ザ・パークハウス グラン 三番町26」では都市の余白に生まれる「都市のよろこび」にひときわの想いを馳せ、こだわり続けることで、建築が本来持つよろこびまでを体現することができました。「ザ・パークハウス グラン」の名にふさわしい建築であると同時に、私たち三菱地所グループが長く住宅開発に携わってきた地だからこそ果たさなければならない、まち並みに対する責任や使命を、「都市のよろこび」として体現することができたと考えています。
<石井>
「ザ・パークハウス グラン 三番町26」では「都市のよろこび」という視点に想いを馳せており、都市の余白、柱の象徴性、窓辺での交流やシークエンスによる視線の運動性など、建築が本来持つ愉しさを取り入れ、こだわり続けたことが「グラン」ならではのトライだったかもしれません。
この建築により、日常の愉しさやよろこびが十分感じられ、皆様に愛され、永く使い続けられることを願っています。
参考写真:三春滝桜の子孫木(2021年4月撮影)
“都心のフラッグシップ”たる立地の
新たなるよろこびを創造する。
今後の「ザ・パークハウス
グラン」シリーズに
ご期待ください。
「ザ・パークハウス グラン」シリーズのご紹介はこちらから
※掲載の写真は2024年10月・11月に撮影したものです。(参考写真除く)
※掲載の敷地配置イメージイラストは計画段階の図面を基に描き起こしたもので、実際とは異なります。植栽は、特定の季節やご入居時の状態を想定して描かれたものではありません。樹種は変更となる場合があります。
※文章中の番町とは千代田区一番町~六番町までの一帯を指しています。