グランデスク コラム Vol.21

ザ・パークハウス
グラン ヒストリー[後編]

2025.6.27 FRI
開発担当者3名

『ザ・パークハウス グラン』
誕生から未来へ
~開発担当者 座談会~

 三菱地所レジデンスが贈るザ・パークハウスのフラッグシップシリーズ
『ザ・パークハウス グラン』の誕生から2024年7月で10年を迎えました。
 その10年の軌跡を振り返る「ザ・パークハウス グラン ヒストリー」後編では、
『ザ・パークハウス グラン』のプロジェクトに携わった開発担当者3名が
それぞれの『ザ・パークハウス グラン』への想いや
細部へのこだわり、進むべき未来について語りました。

三菱地所レジデンス株式会社
第一開発部長

石原 稔久(写真左)

「ザ・パークハウス グラン 南青山」(2016年8月竣工)

「ザ・パークハウス グラン 南青山高樹町」(2017年8月竣工)

「ザ・パークハウス グラン 麻布仙台坂」(2017年11月竣工)

三菱地所レジデンス株式会社
第二開発部 マルチタスク・エキスパート

久留島 由起子(写真中央)

「ザ・パークハウス グラン 麻布仙台坂」(2017年11月竣工)

「ザ・パークハウス グラン 神山町」(2023年11月竣工)

三菱地所レジデンス株式会社
第一開発部 開発第一グループマネージャー

依田 知大(写真右)

「ザ・パークハウス グラン 神山町」(2023年11月竣工)

「ザ・パークハウス グラン 三番町26」(2024年9月竣工)

『ザ・パークハウス グラン』の誕生

開発担当者3名

―『ザ・パークハウス グラン』
シリーズが誕生した経緯や、
それぞれの担当物件について
お聞かせください。

久留島 三菱地所の時代から受け継がれてきた『パークハウス』というブランドは、2011年に三菱地所レジデンスの発足に伴い、そのブランド名に『The』を冠し、『ザ・パークハウス』として新たな一歩を踏み出しました。その後、さらにひとつ上、ひとつ先の商品、最上級のモノづくりを目指して2014年に誕生したのが『ザ・パークハウス グラン』シリーズです。

石原 『ザ・パークハウス グラン』の条件には「都心の希少立地」「最高水準、最高品質の住まい」「最高水準の暮らしのサポート」の3つがあります。その中で最も重要な条件は、立地が優れている、邸宅立地に該当する、ということです。そのような立地に該当するとなったうえで、『ザ・パークハウス グラン』のガイドラインに則って建物を作り込んでいきます。
 例えば、「ザ・パークハウス グラン 南青山高樹町」の立地は商店街に面していますが、周辺にはヴィンテージマンションが点在していることから邸宅立地に該当すると考えられました。
 また、「ザ・パークハウス グラン 南青山」の立地も「表参道」駅徒歩4分の商業エリアでありながら、閑静で規模感のある邸宅地であることから、『ザ・パークハウス グラン』にふさわしいという結論になりました。ただ、そのような立地で『ザ・パークハウス グラン』らしさをどのように出すべきか、かなり悩みました。それまでの『ザ・パークハウス グラン』は2物件とも千代田区番町エリアに位置し、オーセンティックな印象の場所だったため、南青山のようなスタイリッシュな商業施設が目の前に位置する立地は初めてで、そこに建つマンションはどのようなものであるべきかが課題でした。その結果、特に外観においては上質な石貼りとするだけでなく、繊細さや洗練を意識してマリオンを設けるなど、今までとは異なる形での高級感を追求しました。
 また、建物自体はオープンな作りですが、『ザ・パークハウス グラン』をご購入されるお客様はプライバシーを重視される方が多いので、マリオンなどに目隠しとしての機能を持たせ、デザインとプライバシーを両立させました。

石原 稔久 久留島 由起子
ザ・パークハウス グラン 南青山/建物外観

ザ・パークハウス グラン 南青山/建物外観

南青山の街との調和を図ったマリオンと植栽

依田 「ザ・パークハウス グラン 三番町26」は番町エリアの高台立地でした。四方道路で独立性が高く、隣地との距離が取れて開放感があり、都心の中でも希少立地であることから、『ザ・パークハウス グラン』にふさわしい立地という判断に至りました。
 階高などによって邸宅としてのゆとりを出し、プライバシー性も重視しました。どうしても周辺から目に入りやすい四方道路という環境で、プライバシーの確保が課題でしたが、逆梁工法で窓辺にカウンターを設けることで、外部からの目線を室内に届かせない工夫を凝らしました。

久留島 「ザ・パークハウス グラン 麻布仙台坂」は坂の頂上という立地で、港区南麻布の邸宅地でのマンション計画でした。敷地は広くありませんが、邸宅地の立地から『ザ・パークハウス グラン』になりました。
 道路側のバルコニーを排し、一棟の私邸を思わせる佇まいとすることで、戸建ての多いこの地域とスケール感を統一し、南麻布という都心住宅街において気品のある表情にしました。

ザ・パークハウス グラン 三番町26/建物外観

ザ・パークハウス グラン 三番町26/建物外観

大妻通り沿いの高台・四方道路の立地。緑の庭園で街とつながる

ザ・パークハウス グラン 麻布仙台坂/建物外観

ザ・パークハウス グラン 麻布仙台坂/建物外観

ベゼルホワイトの石と黒金物の造作により立体的で繊細な表情

希少立地に溶け込む
最高水準の外観・設備

石原 稔久

―外観や設備などで
『ザ・パークハウス グラン』
らしさを
出すための
こだわりをお聞かせください。

石原 「ザ・パークハウス グラン 南青山」では、先ほどもお話ししたように、立地環境に合わせた“新しい高級の形”を追求しました。
 「ザ・パークハウス グラン 南青山高樹町」は、ヴィンテージマンションが建ち並ぶエリアでの“私邸” をテーマに設定しました。外観はオーソドックスですが建物に入ってからのプライバシーを重視し、全86戸に対して8基のエレベーターを導入しています。南棟と北棟があり、道路に面した南棟は各フロア2戸もしくは1戸(一部3戸)に対してエレベーター1基を用意し、エレベーターを降りると自邸のアルコーブがある設計です。
 また、北棟は向かいにマンションがあったため、建物を雁行させることで視線を逸らし、さらに境界には密に植栽を設け、正対させない工夫をしています。これもプライバシーを重視したためです。

久留島 「ザ・パークハウス グラン 麻布仙台坂」は邸宅地のマンションということから各戸120㎡以上のプランとし、全11邸と戸数が少なかったこともあり、自由に設計変更できるオーダーメイドに取り組みました。お客様から「あの海外ホテルのような建具にしたい」などのご要望に対し、メック・デザイン・インターナショナル(三菱地所グループのインテリア会社)の担当コーディネーターと相談してイメージ通りのものをご提案し、大変喜んでいただけました。
 外観や共有部でも“邸宅感”を意識し、敷地形状の高低差を利用してパティオを作り、パーゴラを抜ける光と影が時の流れを感じさせる工夫をするなど、ポイントでデザインを考えました。
 また、「ザ・パークハウス グラン 神山町」も邸宅地に立地しますが、こちらは4,000㎡超のスケール感のある立地でした。また、接道部分が少なく、実際の敷地規模感が分かりにくかったため、その敷地形状を活かせる建物を計画しました。デザイン監修は海外のデザイナーを起用、「GINZA SIX」の商業施設などを手がけたキュリオシティのグエナエル・ニコラ氏に依頼しました。「渋谷」駅からもほど近い立地にありながら、“都心の中の別荘”というコンセプトで、自分の家でゆったり過ごす、安らぐ、というテーマを設定し、バルコニーの木調ルーバーやライトアップの照明計画など、今までにない外観になりました。

ザ・パークハウス グラン 南青山高樹町/建物外観

ザ・パークハウス グラン 南青山高樹町/建物外観

北棟は雁行させ、プライバシー性と多面採光を実現。
植栽の高さ、密度も計算されている

ザ・パークハウス グラン 麻布仙台坂/ラウンジ

ザ・パークハウス グラン 麻布仙台坂/ラウンジ

パティオから優しい光が降りそそぐラウンジ

石原 「ザ・パークハウス グラン 神山町」は見える部分でインパクトを出したいと考え、初期段階で、外観に特徴を持たせることを決めました。

久留島 近隣は堅牢な石づくりなどのハードな建物が多かったので、この物件では安らぎを表現しました。また、アプローチは玄関の開口を道路に向け、開放的ですが、光の行燈柱の逆光効果と曲線状の動線で外からの視線を遮り、プライバシーを確保しました。周囲の建物に合わせるのではなく、街に溶け込むように、建物をなるべく小さく見せて、圧迫感をなくす工夫をしました。

石原 『ザ・パークハウス グラン』は、その街にあって違和感がない、先進的ではあるけれど以前からあったような馴染み方を目指しています。もともと「ザ・パークハウス」というブランドでは、一見してブランドがわかるような大きな特徴は持たせず、その土地に合った形を目指しています。『ザ・パークハウス グラン』でもこの思想は受け継いでいます。

久留島 奇をてらったデザインは目指していません。「ザ・パークハウス グラン 神山町」はややユニークな建物ですが、圧迫感と閉塞感を低減させて、街並みと同調するのではなくバランスによる調和を目指しました。実際の建物を内覧されたお客様からは「以前からあったような建物ですね。」とおっしゃっていただきました。堅牢ではなく優しい印象の建物です。

依田 あくまで住宅であって商業施設ではないので、目立つことは求められていないと思います。
 「ザ・パークハウス グラン 三番町26」は番町エリアの入口に立地していることから、千鳥ヶ淵の桜(ソメイヨシノ)より早咲きの枝垂桜を植え、その開花が番町エリアに春の訪れを告げるというストーリーを考えました。また、時代とともに更新されていく住宅設備も工夫しています。例えば、照明がLEDに置き換わってコントロールしやすくなったので、人の生活リズムに合わせて色を変化させる調光・調色システムを共用部照明に採用し、住みやすさを実現しています。調光システムは「ザ・パークハウス グラン 神山町」にも採用しました。
 また、三菱地所グループの三菱地所ホームが開発した「エアロテック」(全館空調システム)を上層階に導入し、『ザ・パークハウス グラン』として住みやすい設備を積極的に採用しています。
 資材では、以前は希少な木材や石などの素材で見せる手法が多かったのですが、「ザ・パークハウス グラン 三番町26」では、サステナビリティの考えもあり、希少材を使うより、デザインを施すことによって見せ方を新しくするなど、違う角度で見ていただくことを意識して空間を作っています。

竣工時写真(ザ・パークハウス グラン 神山町/建物外観)

竣工時写真(ザ・パークハウス グラン 神山町/建物外観)

圧迫感を感じさせないエントランスアプローチ

ザ・パークハウス グラン 神山町/エントランスアプローチ

ザ・パークハウス グラン 神山町/エントランスアプローチ

木目の縦格子が温かみや、優しさを演出

ザ・パークハウス グラン 三番町26/カスケードガーデン

ザ・パークハウス グラン 三番町26/カスケードガーデン

番町エリアの春の訪れを告げるシンボルツリーの枝垂桜

最高水準、
最高品質の住まいへのこだわり

久留島 由起子

―物件ごとに、
特にこだわったディテールについて
お聞かせください。

石原 「ザ・パークハウス グラン 南青山」のエントランスは、約5mの高さを持つ天井の広い空間にソファーが置かれているだけのシンプルな空間にしました。そのため、床や壁面などの石の素材感が非常に重要になると考え、石の質感、見え方にかなりこだわりました。
 中国の厦門の工場に出張し、現地で1階部分の壁、床を全部敷き並べて、どう見えるかを検証しました。天然石なので斑の入り方か一つ一つ違うため、目線の位置に斑が入りすぎていないか一枚一枚すべてチェックをして、現地で決めた通りに現場で貼っていただいた結果、イメージ通りのエントランスが完成したときは、感無量でした。

久留島 このようなこだわりは『ザ・パークハウス グラン』ならではだと思います。「ザ・パークハウス グラン 麻布仙台坂」でも、外観にべゼルホワイトという天然石を使用しており、変な斑が入ってしまうと汚く見えてしまうので、やはりすべて敷き並べを行いました。モデルルームのリビングルームを石貼りで演出しましたので、多くのお客様が専有部にも石貼りを選ばれました。専有部は「モデルルームと印象が違う」と言われてしまいがちなので、専有部もすべて敷き並べをして確認しました。

依田 「ザ・パークハウス グラン 神山町」でも共用部で使用する石を探しに行きましたね。天然素材で色味が一個ずつ異なるので、しっかり現物を見て確認しました。もともと三菱地所は丸の内のビルでも自然素材の石を積極的に使っていますから、三菱地所ならではのDNAなのかもしれません。

石原 石だけでなく、植栽も一本一本選びに行きます。「ザ・パークハウス グラン 南青山高樹町」は北側が他のマンションと向かい合ってしまうので、そこに列植するタブの木を一本一本、どこに何を植えるかを含めて自分で確認して決めました。建設会社から「普通はそこまでやらないですよ」と言われました(笑)。

ザ・パークハウス グラン 南青山/エントランスホール

ザ・パークハウス グラン 南青山/エントランスホール

天井高は約5m、お引渡しから年月が経っても高級感があり美しい

ザ・パークハウス グラン 神山町/光庭

ザ・パークハウス グラン 神山町/光庭

光庭には草木に見立てた九龍石やアイアンのオブジェを配置

依田 先ほど話した「ザ・パークハウス グラン 三番町26」の枝垂桜も設計段階で入れることを決めましたが、大きな希少な桜で、根の形に応じて地下の形を変えたりもしています。
 そこに住む上で、建物だけでなく植栽が非常に重要な要素になるので、それらも含めて空間を作るのが『ザ・パークハウス グラン』です。

久留島 細部のディテールも設計任せ、建設会社任せにせず、かなりこだわって細かいところまで打ち合わせます。例えば、角がぶつかる可能性がある箇所のコーナーガードの仕様も、交換できる石のデザインにして製作したり、細かいこだわりの積み重ねで高級感を出しています。

依田 専有部でも、お客様が実際に触れる洗面等の水回りやドアも物件毎にデザインしています。ノブの付き方、指を入れる建具の隙間などの寸法も設計会社と協議しながら、一邸一邸オリジナルで作り上げています。通常の物件ではなかなかそこまでの時間をかけられませんが、『ザ・パークハウス グラン』では徹底的に細部から全体のデザイン、空間計画にこだわっています。

ザ・パークハウス グラン 神山町/エレベーターホール

ザ・パークハウス グラン 神山町/エレベーターホール

テーブルやアートも物件のテイストに合わせて選定

施工時写真(ザ・パークハウス グラン 三番町26/専有部)

施工時写真(ザ・パークハウス グラン 三番町26/専有部)

扉やドアノブのデザインなど専有部には一つ一つにこだわりが

『ザ・パークハウス グラン』が守る
プライバシー

依田 知大

―『ザ・パークハウス グラン』
において居住者のプライバシーを
どのように実現しているかを
お聞かせください。

久留島 建物形状や土地にもよりますが、例えば「ザ・パークハウス グラン 神山町」のエントランスは、オープンな印象でありながらアプローチの動線をカーブさせ、奥が見えない構造にすることで、プライバシー性を保っています。また、メインのエントランスと居住者専用の裏口としてサブエントランスもあります。お客様によってはご自分がそこに住んでることを知られたくない、というようなご要望もあります。

石原 誰とも会わずに家まで辿り着きたいといいますか、例えば地下駐車場からエレベーターで自宅まで直接上がれる、というような動線ですね。

依田 プライバシーは、塀で覆ったり、空間を閉じたりすることで確保できますが、それでは閉塞感が生まれてしまう。そのバランスの取り方で、住み心地の良さが変わります。その動線を通るときの気持ち良さを我々は重視しており、物件の立地ごとにバランスを決めています。

石原 管理スタッフにも直接ヒアリングして、そういった声もしっかり商品にも反映させています。管理スタッフが頻繁に変わる物件は、居住者も緊張してしまいます。我々としてはトータルで住みやすさを提供したい。スタッフも心地よく働いてもらえる空間をいかに作るか、ということも重要視しています。

竣工時写真(ザ・パークハウス グラン 神山町/エントランスアプローチ)

竣工時写真(ザ・パークハウス グラン 神山町/エントランスアプローチ)

動線をカーブさせ、奥が見えないエントランスアプローチ

ザ・パークハウス グラン 三番町26/コンシェルジュ

ザ・パークハウス グラン 三番町26/コンシェルジュ

物件に合わせてコンシェルジュカウンターの設置位置も配慮

『ザ・パークハウス グラン』の
目指すもの

開発担当者3名

―これからの
『ザ・パークハウス グラン』について、お聞かせください。

久留島 今後も変えずに守っていきたい『ザ・パークハウス グラン』の精神は、妥協しない、手を抜かないものづくりです。

石原 絶対そうですね。資産として陳腐化しない素材選びや作りは、長く住みやすい形を作るために欠かせません。今が良ければいいというものではなく、何十年も住んでいただくという想像力を働かせて作ることが重要だと思います。『ザ・パークハウス グラン』が信頼されている核は、地味ではあっても、コツコツやっていること、真面目に作っていることにあると思います。

依田 我々が目指しているのは、お客様の資産を維持するだけでなく、街にも良い影響を与え、街自体の資産性もアップさせることです。そのために、この場所には何が必要なのかということを考えています。
『ザ・パークハウス グラン』に限らず、「ザ・パークハウス」というブランド自体を向上させ、三菱地所レジデンスは良いものを作ると認識いただくことで、初めてその最上級のシリーズである『ザ・パークハウス グラン』が評価されていくものだと思っています。

ザ・パークハウス グラン  神山町/エントランスアプローチ

ザ・パークハウス グラン 神山町/エントランスアプローチ

その名に恥じない。その志に恥じない。
立地を選び抜き、技術と美意識を求め抜き、もてなしを磨き抜く。
妥協を捨て、近道など探さず、
時も手間も惜しまず、情熱も残さず注ぎ尽くして。
「The Parkhouse」が抱く理想を目指し、「The Parkhouse」が掲げる哲学を究めるために。
その想いから生まれた
「The Parkhouse GRAN」。
――「グランの礎」(抜粋)

「ザ・パークハウス グラン ヒストリー」
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