2024年度グッドデザイン賞受賞ザ・パークハウス グラン 神山町
2024年10月16日
スケール感を隠し、空を開く
神山町は渋谷駅1km圏ですが、現地は第一種低層住居専用地域という特性から、渋谷の喧噪とは対照的に閑静な住宅地です。多くの建物はプライバシーやセキュリティを重視し、閉ざされた印象の建築になっており、街に圧迫感を与えているようにも感じました。そこで、ザ・パークハウスグラン 神山町は、圧迫感を与えないよう“建物を小さく見せる”ことを心がけ、街への調和を目指しました。
エントランスを湾曲させることでプライバシーを確保しつつ、街に対して開放的見せるようにした
バルコニーや屋上にルーバーや照明を用い、建物上部と空の境界が溶け合うようなデザインを追求
地域に根ざした経験を持つデザイナー
グエナエル・ニコラ氏を起用
第一種低層住居専用地域という建築制限の厳しいエリアに唯一無二の建物を建てたい。その想いから、ザ・パークハウスの中でも都心立地を選び抜き、最高水準のグレードを目指したザ・パークハウスのフラッグシップシリーズである『グランシリーズ』を計画し、渋谷を拠点に活動され、事務所・ご自宅ともお近く、この場所を熟知したニコラ氏にデザインを依頼しました。
グエナエル・ニコラ氏
ニコラ氏を中心に、高低差ある立地形状と限られた接道条件を活かして、唯一無二のデザインを構築し、通りすがりの人々からも評価されるような、街並みと調和した建物を目指しました。
明るい木調の縦格子を暗色の建物外周に廻し、
色と透かしの効果で建物を小さく見せ、圧迫感と閉塞感を低減
暗い濃灰色とした建物に明るい木調の縦格子を屋上まで各階廻してコントラスト差を強調し、建物を視覚的に小さく見せました。さらに、縦格子は足元から柔らかく照らすことで、住戸窓へのミラー効果で居住空間のプライバシーを確保しました。住戸階と同じ縦格子を意図的に屋上階にも廻すことで、目透かし効果で建物上部と空が溶け合う一体感を創出しました。
アプローチは開放的な印象ながらも、光柱の逆光効果と
カーブ動線で室内への視線を遮り、プライバシーを確保
アプローチは道路側に大きく開くことで、奥の建物が小さく見える効果を狙いました。また、開放的な印象ながらも、光の行燈柱の逆光効果と曲線状の動線により、外からの視線を遮り、プライバシーを確保しました。
細部まで妥協せず、最高水準を目指す
「ザ・パークハウス グラン 神山町」のコンセプトは、「都心の中の別荘」。ダイナミックな渋谷の喧騒から離れ、ゆとりを持って暮らせる場所にしたい、とニコラ氏が提案したものです。
内覧会でお客様に『街並みになじんでいて、元からここに建っていたようだね』とご感想をいただきました。
変化していく渋谷を常に感じながら、別荘のような建築の中に暮らす。この立地にふさわしいホスピタリティが感じられるレジデンスが実現したと考えています。今後も、街や住まう方々にとって何が良いかを考えぬいたものづくりをしていきたいと思っています。
審査委員の評価コメント
ボリュームや形態の操作、表層デザイン、照明効果などにより、規模の大きな分譲集合住宅ながら、ゆとりある親しげな存在感とでもいおうか、周辺に対して拒絶的でない雰囲気を実現している。緩やかな曲面をえがくアプローチは開放的ながら露出しすぎず、むしろ奥への距離感を感じさせる点で、コンセプトに合致した形態である。地域のコンテクストへの深い理解が下敷きになっていることも特筆すべきことである。