セミナーレポート52 三菱地所のレジデンスクラブ 会員セミナー[三菱地所レジデンス主催]2020年に家を買う!
学んでおきたい「最新税制」と「資産形成」
2020年02月28日
2019年10月より消費税が10%に引き上げられましたが、不動産市況にはどのような影響を及ぼすのでしょうか。また、東京オリンピック後に向けて、不動産市況の推移に不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。
三菱地所レジデンスは、“一生モノ”とも言われる不動産を安心して購入していただくために、住まい選びに役に立つ情報をお届けしたいと考えてきました。そうした思いから、「三菱地所のレジデンスクラブ」の会員様を対象に各種セミナー・イベントを開催しています。
「住まいStudy」は定員100名程度のセミナーで、書籍やインターネットでは知り得ない情報が入手できる点を評価していただき、毎回満員御礼となっています。
第67回目となる今回は、以下の3部構成とさせていただきました。
第1部では税理士の田中博史氏にご登壇いただき、「消費増税後、知って得する2020年住宅最新税制」と題して、2020年税制改正の最新情報、贈与、相続などマイホーム購入にまつわる税制を解説していただきました。
第2部ではファイナンシャルプランナーの北野琴奈氏をお招きし、「資産形成の実績豊富なFPが解説!! 賢いマイホーム購入術」と題して、資産形成の視点からとらえた住まいの選び方について講義していただきました。
第3部では、上記おふたりの講師の方と三菱地所ハウスネットの品田智史が、希望された方の個別相談を承りました。
では、第1部の模様からお伝えしましょう。
【第1部 セミナー】
消費増税後、知って得する2020年住宅最新税制
税理士法人シリウスの代表社員を務める田中博史氏は、相続や贈与に深い知見をお持ちです。
今回のセミナーでは、参加者の方より以下のふたつのテーマが、消費税増税後の対策として特に参考になったという声を頂戴しました。
1.住宅ローン減税
2.住宅取得資金贈与の特例
では、順を追って紹介します。
1.住宅ローン減税
2019年10月の消費税増税にあたり、駆け込み需要の反動で消費が冷え込むことを懸念して、住宅ローン減税に期間限定の制度が設けられました。
消費税10%で住宅を取得し、2019年10月1日から2020年12月31日までに居住した場合には、適用年の11年目から13年目までの各年に、以下のように住宅ローン減税が適用されるようになったのです。
田中氏は、具体的な数字を用いてわかりやすく説明してくださいました。
建物3300万円(うち税300万円)と土地3000万円(土地には課税なし)を購入し、6000万円の住宅ローンを組んだとします。
控除される金額は、年末ローン残高(上限4000万円/認定長期優良住宅は5000万円)✕1%です。
したがって、4000万円の1%の40万円が10年にわたり、計400万円が控除されます。
そして通常の住宅ローン減税は10年で終了ですが、この制度では増税で負担が増えた額を限度に、住宅ローン減税が3年間追加で適用されるのです。控除される金額は、以下のうち、いずれか少ない金額になります。
- 年末ローン残高(上限4000万円/認定長期優良住宅は5000万円)✕1%
- [建物購入価格−建物に係る消費税](上限4000万円/認定長期優良住宅は5000万円)✕2%÷3
したがって、3000万円✕2%÷3=20万円が3年にわたり計60万円控除されます。3000万円の建物を購入する場合、消費税8%の場合と10%の場合では支払額に60万円の差がありますが、これを取り戻すことができるのです。
2.住宅取得資金贈与の特例
これは、住宅購入資金として贈与しても一定額までは贈与税がかからない特例です。主な適用条件を以下に列挙します。
- 2021年12月31日までに締結した家屋の契約であること。
- 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。
- 直系尊属(父母、祖父母など)からの贈与であること。
- 贈与を受ける者の所得金額が2000万円以下であること。
- 贈与の翌年3月15日までに住宅取得資金の全額を充てて、住宅の購入等をし、かつ、住宅の引き渡しを受けていること。
- 贈与の翌年の12月31日までに居住していること。
- 建物の登記床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
- 贈与の翌年2月1日から3月15日までに一定の書類を添付した申告書を提出すること。
こうした条件を満たすと、住宅購入資金として非課税で贈与することができます。ただし、家屋の契約締結日によって、非課税枠が異なります。
2019年4月1日から2020年3月31日までなら、良質な住宅用家屋の購入なら3000万円、一般住宅なら2500万円が非課税となります(中古住宅を取得した場合は別の扱いになります)。
これが2020年4月1日から2021年3月31日までの契約締結だと、それぞれ1500万円と1000万円になるのです。
メリットの大きい制度ですが、贈与する人、もらう人、購入物件など細かい要件が定められています。
また、申告を忘れてしまうケースと贈与の時期を間違うケースが特に多いので、充分に注意すべきだと田中氏よりアドバイスがありました。
【第2部 セミナー】
資産形成の実績豊富なFPが解説!! 賢いマイホーム購入術
第2部の講師を努めた北野琴奈氏は、ファイナンシャルプランナーの上級資格である国際ライセンスCFP®資格を取得、不動産投資や賃貸経営に関する講演や執筆、コンサルティングなどを行っています。
その豊富な経験を活かし、今回は以下のふたつのテーマでお話をしていただきました。
1.住まいの資産価値
2.売ること、貸すことも考えてみる
ふたつのテーマから、それぞれ参加者の方に好評だった内容をお伝えします。
まず「住まいの資産価値」についてですが、こちらは「賃貸 vs 購入から考える資産価値」という部分が参考になったという声を頂戴しました。
北野氏は、賃貸と購入、それぞれ30年でかかる総額を算出されましたが、数字が具体的で理解しやすかったようです。
[賃貸]
- 家賃・共益費:22万円
- 更新料:引越し時を除き2年に1回(22万円)
- 引っ越し:10年に1回(引っ越し代、退去費用、仲介合わせて60万円)
総額は8326万円程度
[購入]
- 物件価格:諸経費込み6300万円(6000万円+300万円)
- 自己資金:900万円
- ローン:5400万円(金利1.2%、返済期間30年/元利均等)
- 毎月返済額:17.9万円
- 総返済額:6433万円
- 固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金等:50万円/年
総額は8833万円程度
北野氏は、ふたつの総額を比べて、こうまとめました。
8833万円−8326万円=507万円
この507万円の手元資金が残る価格で売却できれば、資産価値としては購入のケースのほうが有利ということになります。(ただし、保有中の修繕費等がより多くかかった場合、その分を上乗せした金額で考える必要があります。)
この結論に、参加者の方々は納得した表情を浮かべていました。
●購入後、10年で売却すると試算すると
続いて、「売ること、貸すことも考えてみる」というテーマです。こちらも、「残債推移と売却試算」というお話が、「数字が具体的でわかりやすい」と好評でした。
6000万円の物件を、自己資金900万円(頭金600万円+諸経費300万円)で購入したとします。
借り入れ金額は5400万円で、金利1.2%で30年間借り入れした場合の残債は、次のように推移します(元利均等返済、毎月返済額は約17.9万円)。
5年後:4630万円
10年後:3810万円
20年後:2020万円
この物件に一生住み続けるという選択肢もありますが、北野氏がおっしゃるように、お子さんの独立などライフステージの変化によって理想の住居も変化します。そこで、10年後に売却すると試算してみました。
6000万円の物件を10年後に90%の価格で売却するとします(売却諸経費:200万円)。
すると手元に残る金額(税引前)は、5400万円−(3810万円+200万円)=1390万円となります。
ここで購入時の自己資金(頭金600万円+諸経費300万円)を考慮すると、収支(税引前)は、1390万円−(600万円+300万円)=490万円です。
つまり、900万円の自己資金を、10年間で平均年率5%程度(税引前)で運用したと考えることもできます。
この考え方に、参加者の多くが驚きの表情を浮かべていたのが印象的でした。
【第3部 個別相談コーナー】
第3部では、ご希望者を対象とした「個別相談コーナー」を設けました。第一部講師の田中氏が「税金」について、第2部講師の北野氏が「購入ノウハウ」、そして三菱地所ハウスネットの品田智史が「買い替え・賃貸」についてそれぞれ個別の相談に応じました。
最後に、個別相談コーナーをご利用された[お客様の声]をお伝えし、今回のセミナーレポートを終わりたいと思います。
当サイトに掲載された意見や見通しは、当セミナー開催日時時点における講師の判断に基づいています。それらはあくまで講師の個人としての考えであり、不動産ならびに相関する市場の動向や税制改正等によって変更する場合があることをご了承ください。
また、いかなる目的であれ当サイトに記載されている情報の全部または一部を複製、配布、出版することはできません。
【お客様の声】
- 息子夫婦がマンションの購入を検討しているので、資金的に援助するならどういう方法があるのか、税制などを知るために参加しました。
セミナーの第1部では贈与についての部分、第2部ではライフステージに応じて理想の住まいは変化するというところが参考になりました。
最後の個別相談で、わが家の税金についての具体的なアドバイスをいただくことができました。
(60代男性)
- 買い替えを検討中で、三菱地所の物件も候補にあがっているので出席しました。
物件選びについてはもちろん、いま住んでいる物件を売るのか、賃貸に出すのかも悩んでいます。個別相談では、売る場合と賃貸に出す場合ケースを想定してシミュレーションをしていただいたので、これからの方向性が定まりました。
機会があれば、また参加したいと思える充実した内容でした。
(60代ご夫婦)
- いまは賃貸に住んでいますが、まもなく50歳になるタイミングでマンション購入が可能かどうかを知りたくてセミナーに申し込みました。特に第2部のファイナンシャルプランナーの北野さんが、具体的な返済額や金利の数字をあげて人生設計を説明してくださったので、わかりやすかったです。
(40代男性) - マンションの購入資金として、子どもたちにいくらか援助したいと思っていたので、今回のセミナーのテーマはぴったりでした。税制や賢い贈与の方法について学ぶことができました。個別相談では、具体的な金額や贈与の時期をもとに相談に乗っていただいたので、とても参考になりました。
(60代ご夫婦)
三菱地所レジデンスでは今後も、住宅購入を検討される方々のお役に立てるようなセミナー・イベントを随時開催します。
詳細は住まいのギャラリーやメールマガジンにてお知らせします。