まるでホテル!?日本人の駐在員妻が経験したインド・デリーでの豪華なマンションライフ

まるでホテル!?日本人の駐在員妻が経験したインド・デリーでの豪華なマンションライフ

[暮らしのアイデア]

2016年01月26日

文:パッハー眞理/ウィーン生まれで東京育ち。ピアノ教師でライター。35年居住していたオーストリアをあとに2011年春からインドのデリーへ。2014年からは東京を拠点として海外記事を日本のメディアに発信中。著書に『アウガルテン宮殿への道』(ショパン刊)、『ニッポンの評判』(共著・新潮新書)、『値段から*世界*が見える』(共著•朝日新書)、『インディ泥んこウィーン生活』(文芸社)がある

インドはユネスコ指定文化遺産のオンパレード

インドのマンションをご紹介する前に、まずは観光情報についてお伝えします。インド国内で登録されている世界遺産は何と32もあります。首都デリーの中でも3つあり、観光スポットとして絶対にはずせない所です。

クトゥブ・ミナール

インドで最初のイスラム王朝の奴隷王朝(1206−1290)クトゥブ・アッディーン・アイバク王が立てた勝利の塔です。ミナールはモスクの尖塔という意味で高さが725メートル。ヒンドゥーの王朝に変わってイスラムの権力が増大したため、勝利のシンボルとされています。

Qutb Minar よくボリウッド映画ロケにも使われるイスラム教の塔。周辺もお洒落なバーがある。

フマユーン廟

ムガール王朝の創始者であるバープル皇太子の息子であるフマユーンの死後にハージ・ベガム妃が1565年に立てた廟です。デザイン様式から、後のタージマハルの建築へつながったといわれるくらいにインド・イスラム建築のお手本にされています。

タージマハルの原型とも言われるフマユーン廟は週末のデートコースでもある。多くの人はタージマハルよりこちらの方が好きという。

レッドフォート(赤い砦)

別名デリー城とも呼ばれるこの城は赤砂で作られています。タージマハルで有名な建築王のシャー・ジャハーンの城です。タージマハルのあるアグラからデリーへ都を戻して立てたレッドフォートは見所がたくさんです。敷地も広くて回るのも時間がかかります。

かつて「地上に天国があるとすればここだ」とも言われたレッドフォートですが、セポイの反乱以後ムガール帝国は終わりを告げます。

見所がいっぱいのデリーは飽きる事がありません。インド・イスラム建築やデザインは人々の生活の中にも浸透しているようです。特にインテリアショップでは多く見られます。私もいつか東京のマンションをインドちっくにリフォームするのが夢です。

赤い砦。別名レッドフォート。赤砂で作られていてとても美しい。

デリーのマンションを拝見!

さて、それでは私が住んでいたマンションについてご紹介していきます。

インド駐在者に限ったある意味の「特権」でしょうが、大体外国からの駐在の人たちは大きくて一等地のエリアに居を構えています。

今から4年前、夫のデリー勤務についていった私は、社宅を一目見た時から心底驚きました。というのも、15年くらい前から継続して見続けていた夢に出て来た家と全く同じ家だったからです。

その家の夢を見ていたのはウィーンでのこと。いつかは郊外にでもこの家を買うのかと漠然と考えていたのですが、似たような家などオーストリアでもお目にかかった事がなく、やはり夢の一環なんだと言い聞かせて深く考えることはあえてしませんでした。ところが、この社宅こそが長きにわたって夢で見た家だったのです。

200平米の1階にあるマンションライフは、快適なスタートを切りました。ニューデリー市内では、建物の高さが決められているので空がとても広く見えます。

世界中の首都の中で最もグリーンが多いことでも知られていますが、お向かいには細長い公園があり、殆ど私たちの独占公園となっていました。

近所の通り。グリーンが多くてモダンなマンションは目立つ存在。

社宅だから会社が家賃30万円の9割を負担してくれています。だから我々は3万円と光熱費を払うというわけです。驚いたのは、門番小屋が隣接されていて、24時間体制で門番がいるという事です。

ごく近所の公園はイスラム仕様の遺跡が残っている。

日本の家のようにSECOMなどは個人の家には設置しないので、人間SECOMがシフト制で番をしています。そのため、訪問客も全て門番が取りつぎ、家の者の許可があれば中に招き入れてくれるので、突然の客や訪問販売などはそれこそ「門前払い」。

制服を着た門番はシフト制。

グリーンの大理石を張り巡らされている中庭には南国らしくバナナの木があり、私はとても大事にしていました。栄養剤をあげたり枯れてきた葉は庭師に頼んで切ってもらったりしていました。この中庭は1階の住民だけが使える特権で、BBQパーティをする事も出来ます。

初夏の4月(日本より早く夏がやってきます)から酷暑になるため、大体マンションを選ぶ時は1階がデリーではベストとされています。

最上階などに行くと太陽光が家中の壁を伝って熱くなりすぎているので、どんなにエアコンをかけても中々室内が涼しくなりません。その代わり屋上を使えるという利点がありますが、快適に過ごせるのがほんの2−3ヶ月では、最上階は辛いものがあります。そのため上の階に行くほど家賃が安くなるのがデリーの不動産事情。

私の自慢のバナナの木。

こちらが我が家の間取り図です。

インド人はお客さまを招待するのが大好きだから、リビングの広さはとても重要です。本当のインド人の家ではリビングは客を接待する「応接間」のため、テレビは置きません。だから各寝室にテレビを置いているのです。

とても落ち着けるリビングルーム。家具は全て会社の備品。

こちらはキッチン。東京のマンション事情では考えられないくらい棚が多くて、嬉しい悲鳴を上げてしまいます。

色々不便な事はありますが、そこは「住めば都」。全室大理石の床にも惚れ込んでしまいました。東京では玄関ですら人工の大理石というのに、ここでは安いため贅沢に使っています。

書斎から各部屋へ続く内廊下は、大人二人で運動会ができそうなくらい広々としています。

一体いくつあるの?というくらい備えられたファン。トイレの中にもあるんですよ。熱い国特有ですね。

また、3つのベッドルームには必ずシャワーとトイレに洗面所がついていて、それも大理石で作られています。棚は全てがドアと同じ無垢材のものが括り(くくり)付けられているので、スペースが増々広く使えます。まるでホテルのように鏡も大きな鏡が洗面台の上にはめ込まれていてとても豪華です。

ゆったりサイズの主寝室。広いからベッドメーキングも楽だった。

主寝室のバスルーム。まだバスタブのある家は珍しい。

一緒に連れて行ったコッカー・スパニエルのインディはシャワーが大好きだったので、よく「洗って、洗って!」と催促していました。シャワーは固定のモノと手動のモノが2つあり、便利でした。愛犬を洗う時は手動でゴシゴシと洗えます。

富裕層でなくてもメイドやサーバント、つまり使用人を雇う人が多いお国柄。面白いことに、マンションには各家々の使用人が寝泊まり出来る部屋がついています。わが家の場合は地下でした。そこにトイレもある使用人部屋が3つ隣接してありました。マンションの建物自体は英国調で立派ですが、使用人の寝起きする地下はジメジメとしていい環境とは言えません。

各部屋にはなぜか電気のスイッチが多くあるのですが、機能の説明がないため、慣れるまで2週間もかかります。誤って夜中にメイドを呼ぶブザーを鳴らしでもしたら大変です!全館にゴーーという大きな音が鳴り響くので、心臓がドキドキした事が何回もありました。

インドのマダムは、夜中でもお茶を飲みたくなったらメイドを呼ぶのだと笑って言いました。彼らも気まぐれな人に仕える宿命だったら、おちおち寝ていられません。幸い私の家では、メイドは3ヶ月の試験期間以外は雇わなかったのですが、このブザーには驚かされました。

デリーでの生活は、インフラの不便さが顕著であり、いつ停電してもおかしくない状況でした。私たち駐在者のマンションには、必ず自家発電の機械が設置されていて、停電の時などは大きな音をたてながら電気を復旧するのです。

メイドコールは右の下。間違って押すと家中大きな音がなるので要注意。

大きな音をたてるけれど、これがないと停電が続いてとっても不便。デリーでは本当にマストアイテム。

10月もしくは11月がインド暦で新年にあたるので、マンションの前では花火をする人が多い。

インドの電気料金は「累進課金」!?

ここで生活に欠かせない問題を特筆したいと思います。それは「累進課税」ならぬ「累進課金」です。

市場経済においは、「買えば買うほど安くなる」のが普通。550ミリリットル入りペットボトルのミネラルウォーターを買うより、1.5リットル入りペットボトルを選んだほうが、1ミリリットルあたりの単価は下がります。

トイレットペーパーを1ロールだけ買うよりも、1ダース入りにしたほうが1ロールあたりは安くなります。つまり保管スペースなどの問題を無視すれば、「まとめ買いほど経済的」というのは、日本では賢い主婦の知恵、いやもう常識の範囲だと認識されていますね。

ところがインドでは買えば買うほど、単価が高くなるものが結構あるのです。それは電気料金。1−2月は非常に寒く、わが家では暖房器具を多用した時がありましたが、電気代の合計が720ルピー(約1,540円)にもなったのです。その内訳を見るとこうでした。

最初の200キロワット時は600ルピー(単価3.0ルピー)
次の200キロワット時は960ルピー(単価4.8ルピー)
残りの970キロワット時は5、530ルピー(単価5.7ルピー)

つまり、400キロワットを超えると、最初の200キロワットと比べて単価が倍近くまで跳ね上がる仕組みになっているのです。

だからでしょう、たとえ中間層でも冬の暖房は我慢して、家では分厚いオーバーなど着用するという人たちが多くいるのです。さすがに最高気温が40度を超える夏場はエアコンを使いたいので、冬はその分我慢するというわけです。

大学生のいる家庭では、子どもの勉強部屋だけは暖房し、親は一切ヒーターをつけず、布団に入ってテレビを見ているところもあるのだそうです。

富の再分配をして、貧富の差を是正するのに効果的と言われる「累進課税」ですが、インドにはそれと同様に電気料金の「累進課金」が行われているのです。

ちなみにこの課金制度、原発の稼働停止によるエネルギー不足を解決する一つの方法に挙げる人もいる一方「低所得者は暑さ寒さも我慢しろ」という差別的な感じも否めないと感じます。

二重価格のガスボンベ

電気とともに重要なエネルギーであるガス料金のほうは、「累進課金」ではなく「二重価格」で富の再分配を図っています。

都市部の一部を除き、家庭用ガスのほとんどはボンベが配達されるプロパンガスです。わが家もプロパンガスでした。

ニューデリー市では、一般家庭用プロパンガスのボンベ1本の値段は配達料込みで345ルピー(約700円)ですが、商業用はその3~4倍します。庶民からよりも、企業や商人から多く徴収しようという計算でしょう。

ただし、家庭用に配達された予備のガスボンベを、お金を少々上乗せして横流ししてもらうという商店もあり、問題になっています。

日本では予想外の事にたくさん遭遇するインドですが、駐在が終わり、東京へ戻った今でも年に1回は最低訪れたい、とても魅力的な国なのです。

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