住まいに自分らしさをプラス。インテリアスタイリスト石井佳苗さんに聞くDIYエッセンス

住まいに自分らしさをプラス。インテリアスタイリスト石井佳苗さんに聞くDIYエッセンス

[暮らしのアイデア]

2018年05月09日

家や家具を自分の手で、自分好みにカスタマイズするDIY。「心地よい住まいを作るために、DIYは私にとって欠かせない方法の一つ」と話すのは、女性誌を中心にさまざまなメディアで活躍するインテリアスタイリスト・石井佳苗さん。DIYの楽しさを提唱し、自宅のDIY&リノベーション事例を紹介した著書も話題となりました。「私が提案するDIYは、『大作をつくろう』と意気込むのではなく、あくまで『暮らしを心地よくする一手段』」と石井さん。暮らしをワンランクアップしてくれるDIYのコツを伺いました。

リノベーション&DIYで、理想の空間を実現

海と山を一望する自然豊かな逗子のマンションにお住まいの石井さん。住みはじめて4年目というこの家は、もともとはLDK+和室という間取り。システムキッチン・フローリングなど、内装もスタンダードなものでした。
「自分好みにするには全体的にリノベーションが必要。でも、できるところは自分で手掛けたい」と、石井さんは引っ越し時にプロに相談。基本的な設備や構造の工事はお任せしつつ、床材や壁材・設備機器などインテリアの要となる部分は石井さん自身で探したり、仕上げのペイントや収納棚の取り付けをDIYしたりなど、プロと二人三脚で住まいを作り上げました。

「セルフリノベーションならぬ、“ハーフセルフリノベーション”と言ったところでしょうか」。

…こう伺うとDIYに情熱を燃やしていらっしゃるのかと思いきや、「DIYって、サイズを計算したり材料を揃えたり、面倒なんですよ、できればやりたくない。こう言うと驚かれるんですけど」と笑う石井さん。DIYはあくまで『自分の理想を叶える手段』。理想を叶えるアイテムがあればそれを取り入れるけれど、無いならば作るのが一番の近道、というスタンスなのだそうです。

 

DIYは作品作りではなく、暮らしを快適にする手段

DIYのサポートサービスを行っている工房と相談しつつ、石井さん自身が作成した食器棚。手前のダイニングテーブルも、空間のサイズに合わせて天板を数センチ切り落とすなど、DIYのリメイクを加えている。

石井さんが考えるDIYとは、作ったものがあまり主張せず、今ある家具や小物を引き立てたり、住み心地をよくしたりできるもの。それを体現しているのが、リビングダイニングの食器棚です。収納スペースが少ない物件のため「たくさん収納できること」と、「大好きな器を眺められる『見せる収納』であること」という石井さんの理想を満たしています。背板には、なんと古い家で使われていた「雨戸」を使用しているそう。ダイニングテーブルとして利用している、古道具店で購入したヴィンテージの作業台とも馴染み、シンプルな作りながら、味のある表情を見せています。

リビングの壁面には凹凸があったが、壁をふかしてフラットに。釘やねじを打ちやすい材質にしているため、棚を壁の自由な位置に取り付けられる。(※壁を足して面を前に出すこと)

また、リビングの反対側の壁にも、角材で作ったフレーム棚やL字ボードを壁に取り付け、壁を活かした収納を実現。リビングと和室を区切る障子があった場所には壁を設け、こちらもDIYで作成した折れ戸型の窓を取り付けています。

「寝室から窓越しにリビングを見ると、まるでリビングが屋外のように見えて新鮮なんですよ」。

和室だった部屋は、寝室にするためリビングとの間に壁を設け独立した作りに。リビングとの間に窓を設けたため、心地よい光が入り、風も通り抜ける。

 

日常のちょっとした“不便”はDIYで解決する

「私はもともと家具が好きで、家具のデザインが大好き。だからそのデザインを損なわないDIYが良いんです。使いやすくて家に馴染むものをつくれることがDIYの魅力です」と石井さん。基本的にはゴミ箱や収納ボックスなど、作るのが簡単で、理想のものが見つかりにくいものを、必要に応じて作ることが多いそう。

「例えば、今使っているごみ箱や収納ボックスにキャスターを付けるだけでも立派なDIY。私の家にあるボックスのほとんどには、キャスターをつけています。引きずって床を傷つけることもなくなり、掃除もしやすいですよ」。

キャスターが取り付けられた、シンク下の収納ボックス。「電気ドリルがあれば、キャスターなんて5分でつけられちゃいます」。

日常にちょっとした“不便”があれば手直しする。そんなところからDIYを始めるといいのかもしれません。

「初めての人は小さなアイテム、スペースから始めるのが良いと思います。例えばペイントならいきなり壁を塗るのではなく、まずはボックスを塗ってみるなど。実践していくと道具や材料の知識が増えていったり、ホームセンターの方など、わからないことを聞ける人が見つかったりすると思います。だんだんと住まいを自分好みにカスタマイズしていけるのではないでしょうか」。

 

持ち家だからこそ、もっと気楽に変化を楽しんで

とはいえ、新築のきれいな家では、画びょうを刺し込むだけでも躊躇してしまうもの。「新築のいいところは最新の設備や気持ちの良さ。それを楽しみつつ、例えば『タオルフックの位置がもう少し横にあればいいのに…』などちょっとした不便さを感じたら、DIYでカスタマイズできることを思い出してほしい」と石井さんは語ります。

家は買って終わりではなく、使いづらさを感じたら我慢せずに工夫できるもの。たとえばスペースにあうものが見つからなければ「作ってみようかな』とDIYを選択肢に入れることで、自分好み・自分サイズの暮らしに近づきます。

「私は、インテリアや空間に対する理想、というか“欲望”(笑)をいつも持っています。それを形にしつつ、理想が変わってきたらそれに合わせて住まいも変えていく。自分の家だからこそ、もっと自由に気楽に変化を楽しんでみては」。

自分が過ごしやすい空間を叶える。住まいを育てていくことの楽しみを、石井さんの住まいを通して教えていただきました。

石井佳苗さん
インテリアスタイリスト。1967年、東京都生まれ。イタリア家具メーカー「カッシーナ・イクスシー」を経て、現在はインテリアや暮らしまわりのスタイリストとして活動しながら、ウインドウディスプレイやプロモーション、商品開発などを行う。パナソニック等、CM美術のインテリアスタイリングも手がける。女性が行うDIYの先駆けとしてワークショップや雑誌、著書などでその楽しさを説く。『Love Customizer No.2 DIY×セルフリノベーション』(X-Knowledge)など著書多数。


(テキスト)大森りえ
(写真)千葉顕弥

※リノベーションやDIYはマンション毎に制限を設けている場合がありますので、管理規約をご確認の上、ご検討下さい。

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