アートのある暮らし「人のオーラは住まいで変わる」

アートのある暮らし「人のオーラは住まいで変わる」

[暮らしのアイデア]

2018年05月23日

「どんな空間に暮らしているかは、住む人のオーラにつながります」…そう話すのは、アートアドバイザーの奥村くみさん。奥村さんは、インテリアコーディネーターとして20年のキャリアを持ち、個人宅やモデルハウスなど多数のインテリアを手がけられてきました。その経験のなかでアートが持つ「空間を洗練させる力」に気づき、以来アートアドバイザーとして「アートのある暮らしの豊かさ」を提案されています。

住む人の内面を育て、佇まいまで美しくする「アートのある暮らし」とは。奥村さんにお話をうかがいました。

 

“停滞した住まい”は、人を老けさせる

「衣・食・住」のなかで、「住」は普段ひと目に触れることが少ないため、「日々の暮らしのなかで優先順位が低くなってしまう…」という方もいらっしゃるかもしれません。何年も同じようなしつらえや、引越し時と変わらないインテリアのなかで生活をしていませんか? 「そんな停滞した住まいは、人を老けさせてしまいます」と語る奥村さん。住まいはクローズドな世界ですが、だからこそ、その人の内面がもっとも表れやすく、影響を受けやすいと言います。

「その人を物語るのは、暮らしている環境。ずっと同じようなインテリアのままでは、本人が気づいていなくても空気がよどみ、住んでいる人もアップデートされません。年齢を重ねるにつれメイクやファッションの好みも変化するように、住まいも時が経てばアップデートが必要です」。

もちろん、壁紙などの内装や家具を頻繁に変えることは難しいもの。花を飾ったり、レイアウトを変えたりするような「小さなアップデート」を繰り返すことこそが、住む人とともに成長する空間を作り、“老けない家”を育てるそう。

「特に住まいのアップデートに取り入れて欲しいのが、アートです。アートの『空間を洗練させる力』は劇的で、10個のインテリアアイテムより、1つのアートの方が空気を変え、洗練させると感じています」。

壁に一枚かけるだけで住む人の感性を刺激し、内面を育んでくれるアート。「アートがある暮らしは、住む人の佇まいまで美しくする」という考えのもと、奥村さんはご自宅で「アートのある暮らし」を実践されています。

 

服のバランスを見るように、住まいも「引きの視点」が重要

「変化し、成長できる住まいであること」を大切に考える奥村さん。家を持つ際に重視したことは「いかようにも変化できるニュートラルな空間」であることでした。

「住む人や置くもの・飾るものを引き立ててくれる空間であることが、住まいの重要なポイントであると考えました。時間の経過にともなって、人の好みは必ず変わります。住まいには、その変化に対応できる余白が大切です」。

その余白に、その時々の気分に沿ったアートを取り入れることで、暮らしを停滞させない、アップデートされる住まいを作り出すことができます。

グリーンやソファなどのインテリアとのバランスを考え、配置されたアート。気分に応じて場所を変えたり、よりよく見せる位置を考えたりして試行錯誤することが、住まいに変化をもたらす。

さらに、アートを取り入れる際のポイントは、「引きの視点」を意識すること、と奥村さん。
「大きな鏡に全身を映して服のコーディネートのバランスを見るように、住まいも“引いてみる”ことで全体のバランスを把握することができるようになります」。

リビングから見たダイニングルーム。手前の壁に立体的な蓮の葉のアートを配置することで、ダイニングルームをより立体的に見せ、魅力を増している。

一つひとつはこだわりのあるすてきなものを選んでいても、空間をとおして見るとなにかちぐはぐだったり、バランスが悪くなったりしてしまいがち。そんなときは、一歩下がる意識を持って、全体でどう見えるかを確認するとよいそう。

「引きの視点を持つと、小さいものより大きいものを飾ったほうがセンスよく見えることに気づきます。小さなものを飾ると、なかなかインテリアが決まりませんが、大きなものであれば、そのインパクトのおかげで空間に主役ができ、垢抜けた印象になるんです。さらに大きなアイテムはシンプルにまとまるため、部屋を広く見せる効果もあります」。

キッチンから見たダイニングルーム。棚に置いた彫刻の対角線上にアートを立てかけることで、ダイニングスペースを立体的に見せている。
奥の大きなグリーンは、窓の外に広がる自然と部屋のなかを繋ぐ役割も。

「実は『引きの視点』をもつことは、ライフスタイルにも置き換えられるんです。引っ越し時にお気に入りの住まいを完成させたとしても、常にアップデートすべきところやリセットすべきところを客観的に見る視点を持つこと。それによってより豊かな暮らしを作り続けられると思います」。

 

1枚の絵が、暮らし方・生き方を変える

では、いざ暮らしにアートを取り入れてみようと思ったら、どう選べばいいのでしょう。

「まず美術館や展覧会などへ足を運び、作品の中で一番好きものを選んでみることです。それが、自分の好みを知る訓練になります。また、どんなアートがどのぐらいの値段で売られているのか相場を知ることも大切。 “買う目線”でギャラリーやアートフェアに行ってみると学びが多いですよ」。

作家が丹精を込めて描いた絵は、それが無名な作家の作品であっても住空間の空気を変えるほどのパワーを持っているそう。描いた作家の思いを想像することで他の絵にも関心が湧いたり、絵について家族やお客様との会話も増えたりと、1枚の絵を通じて興味やコミュニケーションが多方面に広がっていくといいます。

そして、もうひとつ大切なことは「インテリアにあわせて絵を選ぶのではなく、自分好みの一枚を選ぶこと」と奥村さん。たとえば「リビングに、イエロー系の絵を3つ並べて飾りたい」などとイメージを作ってしまうと、好みの絵との出会いを遠ざけてしまうそう。

「好きな絵を買ったら、その絵を持って家中の壁にあててみてください。まるで『ここがいい』と教えてくれるように絵がキラキラとして見える場所が必ずあります。リビング用に選んだけど、玄関のほうがしっくりくるなんてことはしょっちゅう。どこに飾るかはあとで考えることができるので、まずは自分が好きな絵を選んでみてください」。

1枚の絵と出会うことで、美の視点が生まれ、暮らし方、生き方に反映されていく。日々を過ごす住まいだからこそ、その空間が人を作るのだと教えていただきました。


(写真)奥村くみさん
(テキスト)大森りえ


奥村くみさん
インテリアコーディネーターとして20年のキャリアを重ねるなかでアートの魅力に出会い、2004年より本格的に「アートアドバイザー」の仕事を開始。講演やセミナーのほか、女性誌、芸術専門誌などでアートのある暮らし方を指南している。「LIFE IS ART」を実践する自身のライフスタイルも注目され、著書『日々、センスを磨く暮らし方』(ワニブックス)やインスタグラムなどで紹介される美しい世界観に多くのファンを持つ。

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