「空間や収納のシェアが子育てに余裕をもたらす」住宅デザイナー・タブチキヨシさんに聞く、子どものいる世帯の間取り選びのポイントとは?

「空間や収納のシェアが子育てに余裕をもたらす」住宅デザイナー・タブチキヨシさんに聞く、子どものいる世帯の間取り選びのポイントとは?

[暮らしのアイデア]

2019年06月05日

「住み替え」の理由やタイミングは人それぞれ。妊娠や出産といったうれしい理由がきっかけでも、本当に自分たちに合う新居を選べるのか、心配や不安もあると思います。

今回は、出産を控えているご夫婦や子育て中のご家庭に向けて、ご自身も家族とハッピーに過ごされている住宅デザイナーのタブチキヨシさんに、育児を踏まえた間取り選びのコツをうかがいました。

 

家族で空間を共有して、子どもをすこやかに育てよう!

新しい家に移り住む「住み替え」。お子さんの成長を見据えて、住み替えを検討しているご家庭の場合、どんなことが間取り選びのカギになるのでしょうか?

「僕個人の意見だと、子どもが小さいうちは、赤ちゃんが泣いたときにすぐあやしたり、抱っこしたりできる家がハッピーだと思います。つまり、子どもの姿をいつも見ていられることや、子どもと空気を共有できることが、ウキウキな家庭円満のカギにつながるはず。そのためには、間仕切り壁やドアが少ないとか、キッチンからリビングが見渡しやすいとか、子どもの声や気配が感じやすい間取りが便利でしょう」。

タブチさんには前回の記事で、「家具や間取りのチョイスなどで、夫婦それぞれ好きなことをするスペースを作りつつ、同じ空間にいる喜びも感じる」という暮らし方を提案していただきました。お子さんができても、この暮らし方はハッピーにつながるとのこと。

「子どもが小さいときは、家族が同じ空間にいれば、あらゆることをシェアできます。たとえば大きなダイニングテーブルやカウンターを設置すれば、そこで家族みんなが趣味や宿題など好きなことをしながらも、同じ空間で過ごせるでしょう。親が子どもの勉強をすぐに見てあげることもできます。それから、カウンターキッチンならお子さんを見守りながら家事ができますし、家族を身近に感じられて、『ルン♪』となること間違いナシ!」。

 

子ども部屋は、成長に合わせてフレキシブルに変化させる

お子さんの誕生をきっかけにして住み替えを検討する場合、やはり気になるのは「子ども部屋」。子育て環境として、子どもの個室についてはどのように考え、間取り選びに反映していくといいのでしょうか?

「赤ちゃんを迎える家庭では、将来的に子ども部屋は必要になりますが、子ども自身が『自分の部屋が欲しい』と言い始めるのは、おそらく10年以上先。ですから、子ども部屋になる居室を確保するとしても、まずはそこを夫婦の趣味部屋などに活用する……という考え方で間取りを見てもいいのではないでしょうか。『子どもに小さい頃から勉強させたいので、子ども部屋は必要ですよね?』と聞かれることもありますが、最近は塾で勉強する子が増えているので、小さいうちは勉強部屋を作っていないとか、リビングで親が見守りながら勉強しているという家庭も多いです」。

いずれは子ども部屋にするとしても、しばらくの間は夫婦の部屋と考えると、暮らし方のバリエーションが増えそうですね。

「第一子を迎えるご夫婦が、将来を想定し、子ども部屋を確保して間取りを選ぶのは、なかなか大変ですよね。そういうときは、たとえば夫婦の寝室を広めにして、将来的には夫婦の広い寝室を区切って、新たに子ども部屋にするのもアリでしょう。広い部屋を区切るパターンだと、子どもが巣立ったらひとつの部屋に戻すことも可能ですしね。

また、子ども部屋に行くには、必ずリビングを通る間取りだと、家族間の会話やコミュニケーションも良好な状態をキープできるのでおすすめです。家族の形やライフスタイルに合わせてフレキシブルに変化できる家を目指して間取りを選ぶと、きっとハッピーが待っているでしょう!」。

※1参考間取り:ザ・パークハウス 津田沼前原ガーデン(87AAタイプ) こちらの間取りをご覧になったタブチさんからコメントをいただきました。

「かなり可変性に富んだワクワクな間取りですね!食事は空や外の風景を見ながらリビングダイニングで。また4LDKだからゲストルームも用意できそうですね。
特に興味深い部屋は、リビングと引き戸でつながった洋室4!タブチであればこの洋室4にカフェ風のテーブルと4脚バラバラの椅子を置いて、照明は大きめのペンダントを垂らします。このテーブルは食事用ではなく、暮らしをシェアするテーブルです。宿題、パソコン、ミシン、読書……子どもと親御さんが同じテーブルをシェアして違うことをしている……これワクワクします(笑)」

間取りを拡大する

 

収納をまとめて家事の負担を減らし、余裕を持って子育てを

出産を控えたご夫婦にとって、お子さんの誕生は何よりも待ち遠しいもの。とはいえ、家族が増えると、ベビー用品や子どもの衣類がどんどん増えていきます。収納スペースについてもよく考えて間取りを選ばないと、物があふれてしまうかもしれません。

「子どもがいると、洗濯物が毎日たくさん出てきます。乾かした洗濯物を家族ごとに分けて、あちこちの収納場所にしまいに行くのはたいへん!おすすめなのは、“収納をまとめる”という考え方です。たとえば、この収納場所には家族全員分のタオルをまとめる、クローゼットは家族全員でシェアするなど。この考え方は、ラク家事や時短のための強い味方です」。

家事動線が快適な間取りは、共働き夫婦だけでなく、お子さんがいる家庭においても重要なポイントになるということですね。

「洗濯の負担を少しでも減らすために、洗濯物を干す場所と、しまう場所の距離をできるだけ短くするのも1つのアイデアです。収納の位置を、洗濯物を干す場所にできるだけ近づけられるとストレスが減るはず。それから、システム収納など、棚板やハンガーパイプが可動式ならば、子どもの成長によって収納方法が変えられます」。

※2参考間取り:ザ・パークハウス 津田沼前原ガーデン(78AAタイプ)こちらの間取りをご覧になったタブチさんから、次のようにコメントをいただきました。

「収納についてよく考えられた間取りなのがわかります。特にキッチンのパントリーとリビングダイニングの物入は、使わない日はないのではないかというぐらい頻繁に使うと思います。ある意味、家族の暮らしが凝縮された収納です。あるとないでは全然違う暮らしになります。玄関のシューズインクローゼットや各洋室のウォークインクローゼット、ふとんクローゼットと収納量が豊富なのが、とても魅力的です!」。

間取りを拡大する

出産を控えていたり、子育て中の場合、空間や収納のシェアを考えながら、間取り図を眺めてみてはいかがでしょうか?

<プロフィール>
タブチキヨシ
家族みんながハッピーになれる家を広めるべく、住宅デザイン、工務店のプロデュースなどを行う。(株)attract style代表取締役、住宅デザイナー、インテリアショップ「THE WOW」の経営など多方面で活躍中。Instagramに投稿する間取りも大人気。著書に『早く家に帰りたくなる!最高にハッピーな間取り』『スボラでも暮らしやすい!収納上手な間取り』(KADOKAWA)がある。
公式サイト:http://attract-style.jp
Instagram:@attract7/
twitter:@wakuwakukya____

(テキスト)矢郷真裕子
(写真)斎藤泉
(イメージ写真)gettyimages

掲載の参考間取りは当社の参考事例です。
※1参考間取り:ザ・パークハウス 津田沼前原ガーデン間取り図(87AAタイプ)
※2参考間取り:ザ・パークハウス 津田沼前原ガーデン間取り図(78AAタイプ)

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