さいとうきいさんの「『思考』と『空間』の整理でコンパクトな暮らしを目指す」ライフオーガナイザー的な考え方

さいとうきいさんの「『思考』と『空間』の整理でコンパクトな暮らしを目指す」ライフオーガナイザー的な考え方

[暮らしのアイデア]

2019年06月28日

「家が狭いから」「物が多いから」などの理由で、部屋の片づけが思うようにできない人も多いはず。そういった方に向けて、ライフオーガナイズの「思考の整理」という考え方をベースに、快適に暮らせる「空間の整理」を実践し活動されているのが、ライフオーガナイザーのさいとうきいさんです。

今回はさいとうさんに、ライフオーガナイズの考え方や、ご自身の住まいへの想いについて、お話をうかがいました。

 

ライフオーガナイズで大切なのは「思考の整理」

2013年に「ライフオーガナイザー」の資格を取得された、さいとうさん。この資格や仕事について、初めて聞く方も多いかもしれませんね。「ライフオーガナイザーとは、どんな仕事なんだろう?」という疑問に、さいとうさんに答えていただきました。

「まず、アメリカに“プロフェッショナル・オーガナイザー”という職業があります。これは近年ニーズが高まっている、“整理整頓のプロ”を表します。その役割は大きく分けると2つあり、1つは、クライアントの持ち物を整理して、使いやすく配置すること。そしてもう1つは、クライアントの思考の道筋を整理し、暮らし方や生活を見直す手助けをすることです。単なる部屋の片づけや整理整頓だけでなく、生き方や暮らし方の見直しをサポートする、専門的な仕事です」。

さまざまな物が過剰にあふれる現代において、それらの「整理」をうまくサポートしてくれる職業のニーズは、世界的に高まっているとのこと。

「アメリカで生まれた“プロフェッショナル・オーガナイザー”という職業を、日本の環境や住宅事情に合わせて、日本人向けにアレンジしたのが“ライフオーガナイザー”です。“空間”だけではなく“思考”も整理して、自分が本当に望む快適な暮らしを手に入れるため、仕組みづくりのサポートをするという点は同じです」。

ライフオーガナイザーの仕事は、整理収納に関して、これまでの家事代行型の支援サービスとは一線を画す、コンサルティング型の支援サービスともいえるそうです。

「スモールスペースを最大限に活用して、狭くても快適な暮らし」を提案した、さいとうさんの著書。“空間”だけではなく“思考”も整理して、自分が望む快適な暮らしを手に入れる仕組みづくりのノウハウが満載。

「なかなか自宅が片づかないという人は、実際の片づけ(空間の整理)の前に、自分にとっての快適な暮らしをはっきりさせること(思考の整理)が必要なケースが多いんです。人によって、年齢や職業、家族構成、間取り、価値観、ライフスタイルなどはすべて違いますから、快適な暮らしも違って当然です」。

でも、家の片づけや整理収納はプライベートな問題で、第三者とあけすけに話す機会が少ないもの。そのため、自分の好みや理想の暮らしを意識できていない人が意外と多いのだとか。

「どういう暮らし方をしたいのかがわからないまま、家具のレイアウトや収納方法などを考えようとしても、なかなか部屋はすっきりしません。ライフオーガナイザーとして、その人にとって快適な暮らしとはどういうものなのか、コミュニケーションを通じて深掘りすることを大切にしています」。

 

ライフオーガナイズのポイントは「3つのS」

「思考の整理」をしていくことで、自分の本当に大切にしたいことや譲れないポイントが見えてくることがわかりました。そして、いざ「空間の整理」を実践していく場合、ライフオーガナイズの「3つのS」という考え方がポイントとなるそうです。

①ストレスフリー……物が把握でき、ストレスや危険性がない段階
②すっきり……物の位置や場所が決まっており、使いやすく整理・収納されている段階
③素敵……好きなインテリアを楽しみ、心地よい暮らしを維持できている段階

「片づけに悩んでいる人は、『必要な物がどこにあるかわからない』『よく使う物の出し入れがしづらい』『物を踏んだり、物の角にぶつかったりすることが多い』……など、大抵がストレスフルな状態。最初に目指すステップは“①ストレスフリー”です。ところが、整理収納本やブログなどで紹介されている憧れのお宅は、すでに“③素敵”の状態であることがほとんど。まだ“①ストレスフリー”を目指す状態なのに、本やブログを見て、いきなり整理収納を極めようとしても難しいと思います」。

自宅リビングのシェルフにはお子さんのおもちゃや絵本も。「子どもが長い時間過ごす場所がリビングなので、その近くに収納場所があったほうが子どもも片づけの習慣がつきます。『子どもの目線に合った場所』に『少ないアクション数で片づくストレスフリーな収納方法』がポイントです」。

ステップを飛ばして、一気に「すっきり」や「素敵」の段階を目指すのは、ハードルが高くて挫折しやすい……というのは、今までの経験などを振り返ってみると共感できる方も多いのではないでしょうか?

「人によって快適な暮らしは違います。“②すっきり”や“③素敵”まで行かず、“①ストレスフリー”の状態になるだけで充分に幸せという人も多いんです。例えばリビングであれば、そこでよく使うものを見極め、誰の、なにが、どのように収納されていると管理しやすいかを最初に考えることが大切です。家を片づけたいと思ったら、まずは自分自身の思考を整理し、それからスモールステップで、自分の価値観に沿って空間の整理を進めていくのがいいですね」。

 

家族の個性に対応し、暮らしやすい家づくりを

リビングと接する洋室は、引き戸を開放してリビングと一体化したスペースに。「将来は子ども部屋にする予定ですが、いまはまだ必要ないと考え、リビングとして広く使っています」。“いま”どのような状態であれば心地よいかを整理し、そのときどきのベストな選択をすると家族の幸福度も高くなると考えている。

ライフオーガナイザーとして、快適に暮らすためのアイデアや工夫を提案しているさいとうさんですが、意外なことに、幼少期は片づけやインテリアには興味がなかったそうです。

「子どもの頃の私は、母親にいくら注意されても、片づけに興味が持てませんでした。当時の部屋は『まるで泥棒に入られた後みたい』と言われていましたね(笑)。でも、小学2年生の頃、5歳上の従姉妹の部屋に遊びに行くと、部屋がすごくきれいに整理されていて……。たとえば、机の引き出しは、見たくない物を押し込む場所だと思っていたのですが、従姉妹のきれいな引き出しを見て、『ここって必要なものを収めるための機能的な場所だったの!?』と、カルチャーショックを受けました。それが私のインテリアへの目覚めです」。

それ以来、自分で整理収納について試行錯誤するのが楽しくなったとのこと。さらに、結婚というライフスタイルの変化を経て、住まいについての考え方にも、また新たな変化がありました。

「それまでは不便さを感じなかったことでも、二人暮らしになると思わぬ発見がありますね。私は以前からフライパンを重ねて収納していましたが、夫は使いづらそうにしていました。そこで夫が料理する姿をじっと観察すると、片手で引き出しを開けながら、もう一方の手で下の方にあるフライパンのハンドルを持って取り出すので、ガチャガチャ!と、ぶつかり合うんですね。私は重なったフライパンを持ち上げながら取り出していたので特に気にしていませんでした。そこでふたりとも使いやすくなるよう片手で出し入れできて、フライパンをひとつ取り出しても倒れてこないという収納を考えた結果、フライパンスタンドを使って立てる収納方法を取り入れてみたところ、夫も私もラクに出し入れできるようになりました」。

フライパンスタンドを使って立てる収納方法はラクに取り出しやすい。

「それぞれの個性に応じて、どうすればみんなが暮らしやすい住まいになるのか、家族の視点も意識しながら日々あれこれ試すようになりました。この変化は、自分の仕事にも役立っていると思います」。

<出典>
一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会監修 ライフオーガナイズの教科書 主婦の友社

<プロフィール>
さいとう きい
東京、都心のスモールスペースで暮らすライフオーガナイザー®。現在は、60平米のマンションに、大人+息子+愛犬の4人暮らし。ニューヨーク、サンフランシスコ、ホーチミン(ベトナム)、横浜、東京など、世界各地の60平米以下の小さな部屋で暮らした経験を元に、「スモールスペースを最大限に活用して、狭くても快適な暮らし」を提案。
日本ライフオーガナイザー協会運営のウェブマガジン「片づけ収納ドットコム」編集長。著書に『ものが多くてもできるコンパクトな暮らし』(すばる舍)、『狭くてもすっきり暮らせるコツ61』(宝島社)。
SMALL SPACES

(テキスト)矢郷真裕子
(写真)斎藤泉

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