「無理なくキレイを保つコツ。居心地のよい空間づくりの考え方」

「無理なくキレイを保つコツ。居心地のよい空間づくりの考え方」

[暮らしのアイデア]

SNSなどでも注目されている「丁寧な暮らし」。ふだん何気なく済ませている日常のあれこれに、手間と時間をかけて心地よく暮らすこととして知られています。そこから紡ぎ出される美しさに誰もが憧れを抱くと思いますが、実践するとなると少し大変に感じます。
家は人が実際に暮らしている場であり、家族の暮らしが垣間見られる空間。私たちが求めるところは、「無理なくキレイが保てる暮らし」ではないでしょうか。
今回お話を伺ったのは、SNSで季節を感じさせるテーブルセッティングや、手作りの保存食や麹などこだわりの食材を発信しているこまだのぶこさん(Instagram@komasan0928)。少しの工夫で部屋を「キレイ」に保ち、心地よい空間をつくる暮らしのヒントを教えていただきました。

部屋ごとにテーマを決めて、それぞれを居心地の良い空間にする

こまださんがSNSで掲載されている写真の多くは、ダイニング・キッチンで撮られています。そこはこまださんのお人柄が出ているような、心を解きほぐす安らぎの空間です。
そもそも、こまださんの考える居心地のよい部屋とはどのような空間なのでしょうか。

「素敵なホテルって余計なものがなくて、落ち着きますよね。この家に引っ越す前に住んでいた家はモノが多いというわけではなかったのですが、なぜか落ち着かない。どんなに家具をおしゃれにしても、子どもが小さい頃はおもちゃなどのカラフルな色が溢れてしまい、視覚的にも散らかった印象になります。
でもそれは生活していく上で仕方ないことですし、家族の存在を常に感じられるのは大切なことです。そこで今の家は、『キレイ』で居心地の良い空間にするため、部屋ごとに役割を分けることにしました。」

「『どこにいても人の気配を感じられるような空間にすること』を大前提として、ダイニングはテーブルと椅子のみを置いた家族団らんのスペース、リビングは音楽を聴いたり寛ぐ場所、寝室は安眠できるところなど、それぞれの部屋にテーマを決めたのです。
そうすることで、場所ごとのコミュニケーションの取り方が生まれます。例えば、私が1日で一番多くいるダイニング・キッチンでは、自然に子どもたちと一緒にお菓子を作ったり料理のお手伝いをしてくれる場所になりました。」

黒い木製の壁。緑が効果的に配置され、手前に置かれたものがなんであれ、存在感を持って映えてくる

黒い木製の壁。緑が効果的に配置され、手前に置かれたものがなんであれ、存在感を持って映えてくる

テーブルや椅子の高さにまでこだわり、空間全体としての視覚効果とバランスを保っている

テーブルや椅子の高さにまでこだわり、空間全体としての視覚効果とバランスを保っている

部屋をキレイに保つキーワードは
「ラクができる」と「みんながわかる」こと

家を建てるときにご本人が一番こだわったというキッチン。
収納や衛生面で誰しもが頭を悩ませ、「キレイ」が日常的に欲しい場所です。
「キッチンは、私が毎日の家事がいかにラクにこなせるか、そこにこだわりました。」
こまださん曰く、重要なのは「動線」だと言います。
「料理を作る、後片付けをする、洗濯をする、洗濯物を畳む、といった一連の動きが、少ない移動でできるのが一番効率が良い。そのため、家電の置き場所や食器などを入れるところも一つずつこだわり、動きやすさ・取り出しやすさを考えたキッチン収納にしました。」

そしてダイニングも同様に自分の動きを考えての収納になったそう。
「ダイニングで使う食器や小物などは、テーブルの後ろにあるキッチンカウンター下の収納に入れています。食事中に取り皿やグラスが欲しくなったとき、椅子に座ったままでもサッと手が届くので、いちいちキッチンまで立っていかなくても良いのです。収納を考えたときに『何をどこで使うのか、どこに入れたいか』を書き出したのですが、そのことでモノを置く位置が明確になりました。」

小さな食器は手前に置かないと使わなくなってしまうので注意。豆皿は引き出しに収納することで、見つけやすく取り出しやすい

小さな食器は手前に置かないと使わなくなってしまうので注意。豆皿は引き出しに収納することで、見つけやすく取り出しやすい

また各収納を開けると目に留まるのが、ラベリングです。
キッチンに置いてある調味料からカトラリー入れなどはもちろん、家族が使う小物を入れたケースにも一つ一つラベルが貼られています。
「収納は『みんなが分かること』が大切。例えば「爪切りどこ?」って聞かれても〇〇のラベルの箱ということを決めておけば、一目でわかる。ラベリングをすることで、家族の中でどこに何があるかを共通認識できます。そしてモノに居場所を作ることで、誰が何を使っても自主的に戻すようになります。結局は自分がなるべくラクができるようにすることが大事。そのことで家族みんながラクに片付けられ、キレイを保つことにつながります。」

ラベリングされた雑穀たち。入れ物を揃えることで美しさもプラス

ラベリングされた雑穀たち。入れ物を揃えることで美しさもプラス

動線主体の収納術やラベリングをしたことで、同時に何がどれくらいあるのかも把握でき、無駄なものを買うことが少なくなったそう。
食器や部屋に置く小物などを買うときは、かなり吟味するとのこと。本当に必要か、入れる場所はあるのかを考え、多少値段が張っても必要と思うものだけを買う。そしてよく考えて迎えたモノたちは大切に扱い、結果何年も使い続けているので決して高い買い物にはならないと言います。
「無駄なものを買い込みすぎないことも、キレイな収納への近道です。」

いつも頑張らなくてもいい。普段の食卓をキレイにする少しの工夫

お話を伺うなかでよく出てくるのが「暮らしにはメリハリが大切」というワード。SNSに投稿された写真を見てみても、その様子が伺えます。
例えば正月の席では手作りのおせち料理を華やかに盛り付け、桃の節句には可愛らしくカゴを使ったお膳に。季節を感じさせる皿や小物を添えることで、特別な日を演出しています。

季節を感じさせる皿や小物を添えた華やかな料理(画像:Hiyori(ヒヨリ)提供)

季節を感じさせる皿や小物を添えた華やかな料理
(画像:Hiyori(ヒヨリ)提供)

かたや日々の食卓は、スーパーに並ぶ旬の食材を使い、シンプルな料理に。ただ盛り付けは、皿と料理の色合いやバランスを考え、目でも楽しめる工夫がされています。
「全部手作りである必要はないと思います。疲れて料理なんてしたくない日はお惣菜を並べても良い。ただし、買ってきたパックのままでは出さず、必ずお皿に移します。それだけで見た目も美味しさもアップしますし、一手間かけた感じもしますしね。」
こうしてメリハリをつけることで心に余裕ができ、食事にとって一番大切なスパイスである、会話も自然と生まれてくることでしょう。

料理を豆皿をトレイの上に置くことで、視覚的にも美しいお膳となり、出されたものは残さず食べてもらえる

料理を豆皿をトレイの上に置くことで、視覚的にも美しいお膳となり、出されたものは残さず食べてもらえる

料理をキレイに並べる簡単なコツは、余白を大切にする置き方をすること。例えばランチョンマットやトレイの上にお皿を並べると、テーブルに直に置いたときより料理とテーブルの間に余白ができ、料理がクローズアップされます。ちょっとしたことですが、それだけで食卓が整います。
「家事は毎日のことですから、自分がラクに楽しくするための工夫を重ねていくことが、ゆとりある暮らしなのではないかと思います。」

キレイを創る第一歩は、
自分の「好き」の発展系

何より食べることが大好きというこまださん。
食に関することをお仕事にされたきっかけも、ご自身やご家族が病気になったとき、食の大切さがよく分かったからだといいます。食べ物に気をつけたことで、身体の中も「キレイ」になって、大きく体調を崩すことは無くなったそう。ただ栄養を摂るだけの食事ではなく、家族を思い食卓にほんの少しだけ加えた心遣い、それがこまださんの住まいや暮らし全体にまで波及しているように感じられました。

麹の魅力にはまり、今では麹箱までそろえた

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毎年仕込む梅シロップ。家族の疲労回復 · 胃腸の健康などに役立っている

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素敵な暮らしをされている人は皆、自分なりのこだわりを軸に工夫を重ねて、自分らしい暮らしをつくっています。居心地のいい空間は、その人の好きが原動力になり形になったもの。私たちはそこに憧れと共感を感じます。まずは自分の「好き」が何なのかを見つけること、それが自分らしい居心地のいい部屋をつくる第一歩かもしれません。

【麹×雑穀米/フォトスタイリング  Hiyori(ヒヨリ)】こまだのぶこさん

【麹×雑穀米/フォトスタイリング  Hiyori(ヒヨリ)】こまだのぶこさん

【麹×雑穀米/フォトスタイリング  Hiyori(ヒヨリ)】こまだのぶこさん

小さい頃から身の回りを整えることや料理、モノを作ることが好き。
食に携わる仕事をする中で美味しさはもちろん視覚的なアプローチも大切にしている。
Instagram(@komasan0928)を通じて、イメージした商品や食品、食卓になるようにフードスタイリング、イメージフォトの提供。また自宅では麹の発酵調味料、糠床などの料理関連や、日々の暮らしを豊かにするようなワークショップも開催。
linktr.ee/komasan0928

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