居住空間に調和する美しい書斎のつくり方。

居住空間に調和する美しい書斎のつくり方。

[暮らしのアイデア]

2019年02月08日

リビングや寝室などの一画に設けた書斎を居住空間に溶け込ませ、心地よさと美しさを兼ねた空間にするためのノウハウをインテリアコーディネーターの山口恵実さんにうかがいました。

text by Emi Arita
photos by Naoki Seo

話=山口恵実(インテリアコーディネーター)

話=山口恵実(インテリアコーディネーター)

Studio del Sol代表。大学卒業後、経営コンサルティング会社勤務を経て、インテリアコーディネーターに転身。個人宅やオフィスのコーディネートを手掛けるほか、メディアでも活躍中。

目線1

アートを配して、視線をコントロールする。

在宅ワークやリモートワークなど、政府の「働き方改革」の推進もあり、ワークスタイルはますます多様化しています。その流れを受け、自宅にホームオフィスやワークスペースを設ける人は年々増加傾向にあり、私のところにも自宅にそういったスペースをつくってほしい、という依頼がたくさんあります。そして、そういった方の多くが、かつてのように、ひと部屋を書斎として設けるのではなく、リビングの一画や壁際などの省スペースに、ちょっとした書斎を設けることを希望されます。

上/山口さんの書斎も、デスク正面の壁に大きめのアートを設置している。下/さらにデスク上には、小さなアートを置いて、PCの配線を隠せるような工夫も。

上/山口さんの書斎も、デスク正面の壁に大きめのアートを設置している。下/さらにデスク上には、小さなアートを置いて、PCの配線を隠せるような工夫も。

その際に皆さんがよく気にされるのが、居住空間とこうした書斎を、どううまく共存させるか、ということです。

パソコンひとつあれば仕事ができる、という方もいると思いますが、仕事の内容によっては、たくさんの資料や書類が必要な方もいます。そのため、限られたスペースにつくる書斎には、常に必要なものだけをデスクまわりに収め、資料などは別の部屋に収納できるところを確保する、といった工夫がいる場合もあります。いずれにしてもデスク、椅子、収納、そこにPCとその周辺機器がある書斎は、部屋のなかでも、かなり存在感があり、人の視線が集まりがちです。

そこで、リビングなどの雰囲気を損なわず、上手に書斎を溶け込ませる工夫としてぜひ取り入れてみてほしいのが、アートを配して視線をコントロールすることです。

デスクを壁付けにするのであれば、その正面の壁に大きめのアートを飾ってみるとよいでしょう。すると人の視線は、デスクまわりではなく、自然とアートの方に向けられるようになり、書斎の存在感が和らぐのと同時に、デスクまわりのごちゃごちゃ感も、気にならなくなります。

目線2

デスクの上にも"見せ場"をつくる。

上/山口さんのデスクの"見せ場"は左端に設置。おしゃれなランチョンマットや布など、敷物を合わせるとさらに洗練された印象になる。下/デスク上の収納アイテムにもひと工夫を。たとえばペン立てをガラスの花瓶にするといったアイデアを取り入れれば、よりおしゃれに。

上/山口さんのデスクの"見せ場"は左端に設置。おしゃれなランチョンマットや布など、敷物を合わせるとさらに洗練された印象になる。下/デスク上の収納アイテムにもひと工夫を。たとえばペン立てをガラスの花瓶にするといったアイデアを取り入れれば、よりおしゃれに。

書斎をつくる上で大切にしてほしいのが、実用性だけをもとめるのではなく、いかに自分にとって心地のよい空間をつくるかということです。

たとえば本棚の前に椅子を置くと、ただ本をしまっておくだけの場所から読書スペースになり、ちょっとした憩いの場にもなります。

書斎も同様で、ただ仕事や作業をするための場と捉えると、会社のデスクのようになってしまいます。せっかく自宅に書斎を設けるのですから、自分にとって心地よいと感じる"+α"を加えてみましょう。好きなものに囲まれた空間で仕事をすると、リラックス効果も生まれ、効率アップにもつながるはずです。

また雑多になりがちなデスクまわりをすっきりおしゃれに演出する工夫としては、デスクの上にディスプレイコーナーをつくるのもおすすめです。

私の場合は、置物やキャンドル、ガラスの器や植物などを飾っています。このディスプレイコーナーをつくる際に気をつけたいのが、バラバラと適当に置くのではなく、どこか一ヵ所"見せ場"をつくり、まとめて飾ること。さらにディスプレイを美しく仕上げる「3」の法則も意識してみるとよいでしょう。1点だけ飾るよりも3点のものを三角形になるように配置してあげると、よりおしゃれな印象に仕上げることができます。

目線3

色を調和させて空間に一体感を持たせる。

最初に"書斎は存在感がある"というお話をしましたが、家具のセレクトや色使いも意識すると、よりその存在感を和らげることができます。特に気をつけたいのが椅子です。私のように、壁付けにデスクを置いている場合は、椅子の背面がとても目立ちます。仕事をする場ですので、座り心地はもちろん重視したいポイントですが、いわゆるオフィス用の椅子よりは、背面の造形が美しいものを選ぶと居住空間にも自然と溶け込みやすくなります。

たくさんの色を取り入れながらも、まとまりがある山口さんのリビングと書斎。デスク用の鮮やかなブルーの椅子も、空間全体に同系色が配され、色を調和させているので、唐突感なくなじんでいる。

たくさんの色を取り入れながらも、まとまりがある山口さんのリビングと書斎。デスク用の鮮やかなブルーの椅子も、空間全体に同系色が配され、色を調和させているので、唐突感なくなじんでいる。

また好きな色や落ち着きをもたらす色は人によって異なるので、書斎に使う家具などのカラーリングは、自分が好きな色でまとめてよいと思いますが、書斎を設ける場所と色や素材を調和させることは、ぜひ意識してほしいポイントです。

私の場合は、パソコン、デスクの脚、ワークランプでゴールドやスチールを取り入れ、それに合わせて、デスク前の壁に飾ったアートやリビングの天井照明にもスチール製のものを取り付けています。ソファの上のアートには、ブルーやグリーン、赤が入っているので、赤いクッションを置いたり、書斎の椅子をブルーにしたりしています。

このように、それぞれの色が空間のなかで互いにリンクするように分散させてあげると、たくさんの色が混ざっていても、部屋全体に一体感が生まれます。

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