2019年度グッドデザイン賞受賞ザ・パークハウス 五番町
2019年10月02日
駅近建築密集地に都心居住の理想を創造するデザイン手法
都心・駅近建築密集地に、良好な居住性と地域環境への寄与を両立する、街並み創造への先鞭をつける住宅創造を目指した。
駅近建築密集地×番町邸宅の系譜。この発想にこそ、都心・駅前に良好な住環境を現出させる答えがあった。
住宅デベロッパーとして、高密度化した都心密集地に汎用できる建築手法の一つを見出した。
デザインの手法1沿道環境の創出
18m超の壁面後退と建蔽率30.8%の抑制により、都市に「余白」を創出する。


18m超の壁面後退と、東京都建築安全条例第四条-2における延べ面積3,000㎡の制約に対し、建蔽率30.8%の小さなフットプリントに抑制することで沿空間に開放感をもたらした。
デザインの手法3高密度駅前に住環境を創造
内外の中間領域たるバルコニーは、その外皮を下層の「閉」から「開」へと階調し、都市の沿道空間における視線と良好な関係性を築くと共に、内からはプライバシーを確保しながら最大限開放感や眺望を享受できるようにした。

内外の中間領域たるバルコニーは、約18mの壁面後退を生活者の側からも、歩行者の側からも充分に活かせるよう綿密に計画し、外からの視線と内からの視線の良好な関係を創出した。
審査員の評価コメント
狭小道路に雑然とビルが立ち並ぶ駅周辺の街区に対して「余白」という価値を提示している点がまず共感できる。
集合住宅とは単に住まい方の問題ではなく、公共空間を都市の中にどのようにつくるかという試みであり、時に質の高い「余白」の連なりこそが環境の言語をつくっていく場合がある。
また地域の歴史的な文脈をストレートに用いるのではなく暗喩的に空間言語として用いた点、「余白」に対して端正な立面・軒天のデザインとしてまとめている点もプロジェクトを成功に導いており、確かな美学に基づいた全体的調和がある。