2026年の新築マンションの価格はどうなる?市況のプロが多角的に分析

2026年の新築マンションの価格はどうなる?市況のプロが多角的に分析

[住まい選びの基礎知識]

新築マンション価格の高騰は、今や国会で取り上げられるほど耳目を集めています。首都圏全体の平均価格が1億円を超える月も珍しくなくなってきました。国内外の投資家による投機的な短期売買が押し上げているともいわれますが、マイホームの購入検討者にとって、2026年のマンション価格はどうなるのでしょうか。不動産調査会社・東京カンテイの上席主任研究員である髙橋雅之さんに解説してもらいました。

供給量の縮小とデベロッパーの販売スタイルの変化が、東京の高価格を後押し

初めに2025年までの新築マンションの平均価格の動きを地域別に振り返りましょう。図1のとおり、東京23区は2013年から10年以上ずっと右肩上がりです。2022年までは緩やかな動きでしたが、2023年には1戸当たりの平均価格が一気に1億円を超え、2025年は2012年の2.5倍になっています。

図1.新築マンションの平均価格推移(首都圏)

一方、東京都の市部や周辺の3県では、2022年頃まで5,000万円前後で横ばいに近い状態が続きました。その後、東京23区の動きに引っ張られるように6,000万~7,000万円台前後に上昇しています。それでも、県平均で見ると上昇率は東京23区に比べて低い水準です。ただ、エリアを絞って主要都市のデータを見ると、さいたま市のように東京23区に迫る勢いで上昇しているエリアもあります(図2)。

図2.新築マンションの主要都市別・単価推移(首都圏)

「供給量が少ないエリアでは、一部の高額物件が平均値を押し上げやすくなっているからです。例えば、さいたま市では昨今、供給規模が縮小しています。その中で価格水準が東京23区に肉薄している時期は、浦和駅前の再開発エリアで平均価格が1億を超えるタワーマンションの販売が確認されています」(髙橋さん)

供給量によって価格動向が影響されるわけです。そこで、首都圏における新築マンションの供給戸数の推移を見てみましょう(図3)。

図3.新築マンションの供給戸数推移(首都圏)

2025年の新築マンション供給戸数は2万1,000戸台となり、1973年以降最少を記録しました。1990年代後半から2000年代前半まで8万戸前後の大量供給が続いていた時代に比べると、今や1/4の水準まで落ち込んでいます。供給量が減っているのは、マンション用地価格と建築コストの上昇による新築マンションの価格高騰の影響が大きいといえますが、その他にも理由があると髙橋さんは指摘します。

「デベロッパーの販売スタイルの変化です。大量供給時代は、量とスピードを追求する戦略でした。発売した月にどれだけ売れたかを示す初月契約率の高さが重視され、建物の竣工までに完売すれば好調と考えられていたため、平均的な所得水準の一般ファミリー層向けの企画が中心になっていたのです。地価が上昇すると、販売価格を抑えるために、用地取得コストが割安な郊外エリアや駅から遠い立地にシフトしました。

ところが、昨今は、地価上昇に加えて建築費の上がり方が激しく、立地をシフトしても一般ファミリー層の購買力が追い付けない価格帯になりつつあります。従来型の販売スタイルでは、売れ行きが鈍くなり、在庫も溜まるリスクが高まったのです。そのため現在は、価格の上昇に対応できる高所得層向けに、都心寄りや駅近の好立地でスペックの高い商品企画をして、じっくり腰を落ち着けて販売するスタイルに変わっています。大手デベロッパーの寡占化も進み、供給戸数を抑えても、[戸数×価格]の掛け算で年度内の売り上げ目標が達成できればOKという戦略に転換しているわけです」

髙橋雅之(たかはし まさゆき)さん

中古マンションの価格上昇。
都心部に異変?

次に、新築マンションと相互に影響しあう関係にある中古マンションの動きについても見てみましょう。

「新築マンションはその時々に販売される大型物件によって相場が上下して判断しにくいのに対して、中古マンションは流通量も多いため価格のトレンドを読み取りやすい指標になっています。過去10数年の動きを踏まえると、コロナ以前と以後ではまったく異なるマーケットになっているのは間違いありません。2013年からのアベノミクスからずっと一本調子で上昇してはいますが、2019年までは上がり方が緩やかでした。2020年以降のコロナ禍を境に上昇の勾配がきつくなり、さらに、ここ数年来の世界的な物価高を受けて値上がりが加速しています」(髙橋さん)

図4.中古マンションの地区別・平均価格推移

・2020年1月~2025年12月に中古流通した分譲マンションを対象に集計(築年数の制限なし)/専有面積30㎡未満の住戸、事務所・店舗用ユニットは集計から除外
・都心6区:千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区/城南・城西6区:品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区/城北・城東11区:上記以外の区

中古マンション価格も、新築と同様に東京23区の上昇率が高く、周辺都市が追いかけるように上がっています。東京23区をさらに細かいブロックで見ると、もっとも高額な都心6区 が先行して上がり始めて、城南・城西地区、城北・城東地区が追随しているかたちです(図4)。都心6区は5年で2倍以上になりましたが、その他の都区部は7割前後の上昇率になっています。

この図4のグラフを見る限り、右肩上がりの状況が変わる様子は見られません。しかし、髙橋さんは、その背後で既に変化の兆しが現れていると指摘します。
「首都圏全体や都県単位で見ると、中古マンションの成約件数は増え続け、在庫も減少傾向です。しかし、都心部では2024年の秋口から在庫が溜まり始めました。高値に挑戦するような強気で売り出す物件が増えて、買い手がつかないまま滞留している物件が増えているからです。」

中古マンションの価格上昇。都心部に異変?

図5.中古マンション流通状況・東京都心3区

図5のとおり、都心3区(※)における中古マンションの在庫は2024年7月を底に増加に転じています。ちょうど成約単価と在庫単価の乖離が広がり始めた時期です。在庫の内訳を価格帯別にみると、特に1億円以上の物件が増えており、高値の物件が売れ残っています。この状況が続けば、売り出し価格も頭打ちになる可能性が出てくるでしょう。

※出典元のデータ集計方法が異なるため、図5は都心3区(千代田区・中央区・港区)に絞ったデータを示しています。図4の都心6区とは異なりますが、大きなトレンドとしては同様の動きと考えられます。

マンション価格高騰は、投資家や外国人の売買が理由ってホント?

昨今のマンション価格の高騰の要因の1つとして、購入してから数年以内という短期間に売買をして値上がり益を狙う投機的な取引が槍玉にあがり、なかでも外国人による売買の影響が大きいのではないかと指摘されています。その実態はどうなのでしょうか。国土交通省が不動産登記簿をベースに、2025年11月に公表した調査結果を見てみましょう。

図6.新築マンションの短期売買の状況

まず短期売買の状況については、図6のとおり増加しているのは確かです。しかも都心寄りに範囲を狭めるほど、その比率は高くなります。ただ、取引全体に占める短期売買の割合は、都心6区でも1割前後までにとどまり、数値を見る限りでは、必ずしも多いとは感じられません。これについて髙橋さんは、「短期売買の期間を1年以内と非常に短くとっているため、割合が少なくなっている面もあります。数年以内に幅を広げれば、もう少し割合は多くなるでしょう」と受け止めています。

図7. 新築マンションの短期売買状況

外国人による売買については、国土交通省では居住地が国外にあるかどうかで判定しています(図7)。短期売買の中で外国人(国外に住所のある者)が占める割合は3%以下にとどまります。この結果について、国土交通省のリリースでは「国外に住所のある者が2億円以上の高額物件を活発に短期売買している傾向は特に見られない」という見解を示しました。

ちなみに三菱UFJ信託銀行が2025年9月に公開した同様のレポートでは、外国人取得者が占める割合は、都心3区で20%前後、その他の都区部では平均13%という結果でした。同調査のまとめでは「外国人の取得割合はそこまで高くない。マンション市場全体への影響は一定程度にとどまる」と評価しています。

「国土交通省の調査では、国内に住む外国人はカウントされないなど、必ずしも実態を把握しきれていません。三菱UFJ信託銀行のほうは、デベロッパーへのアンケートをベースにしているため、肌感覚に近い結果と思われます。また住宅新報の抽出調査では、都心の人気物件の中には外国人取得者が半数近い例も複数見られました。外国人でも定住目的は多いと思いますが、投資としての側面もあるでしょう。総額が大きいために、仮に件数が少なくてもマーケットに与える影響は小さくありません」(髙橋さん)

髙橋雅之(たかはし まさゆき)さん

国も、居住実態のない異常なまでの短期的な投資・投機は抑制しなければいけないと表明しており、歯止めをかけるための規制の動きも出ています。ただ、実需でも、何らかの事情で購入後まもない時期に売却するケースはあるはず。短期売買がすべて投機的とは限りません。経済活動が活発になって給料も上がり、それに伴って住宅価格が高騰することは政府もマイナスとは言っていないだけに、実態を知るための継続的な調査が必要です。いずれにしても、外国人の短期売買がマンション市場をゆがめているとまでは言い切れないのではないでしょうか。

新たな実需層“パワーファミリー”が都心の高価格を後押し

現在のマンション市場では、都心に近いほど投資家や外国人の取得が増えることは確かですが、購入者のメインはマイホームとして住む実需層と言っていいでしょう。その実需層の中身が変わっていると髙橋さんは指摘します。

「以前は、夫婦ともに年収700万円以上の高所得の世帯をパワーカップルと呼んでいましたが、最近はその上を行く世帯年収1,500万円以上の“パワーファミリー”と呼ばれる層が増えているようです。さらに年収2,000万~3,000万円になると“スーパー・パワーファミリー”になり、株高による資産効果で購買能力も高まっています。都心部では、こうしたリッチな実需層が購入者の中心になると考えられるでしょう」(髙橋さん)

新たな実需層“パワーファミリー”が都心の高価格を後押し

パワーファミリーは「必要なもの、価値あるものには迷わずお金を使う」傾向があると指摘されています。価格が高くても、自分が納得できれば買うという姿勢です。住宅購入に対しても同じような志向があるのではないでしょうか。

図8.買い時だと思っていた?

図8は、実際にマンション購入を検討していた人に対して「買い時」かどうかを質問した調査です。価格が上昇傾向にあると、「買い時感」が弱くなると思いがちですが、逆に増えていることがわかるでしょう。新築マンションの購入検討者は、2024年時点で「買い時だと思っていた」人が40%。「買い時だと思っていない」人より16ポイントも多くなっています。しかも、買い時だと「とても思っていた」人の割合が以前より高まっているのです。中古マンションの購入検討者は、2022年時点では「買い時だと思っていない」ほうが多かったのですが、2024年に逆転しています。

「買い時」だと思った理由で一番多かったのは「これから、住宅価格が上昇しそう」でした。価格が高騰するほど先高感が強まり、買い時感がかえって増しているわけです。こうした旺盛な購入意欲が価格を押し上げている面もあるでしょう。

2026年春以降の価格はどうなるか?

以上の分析を踏まえて、最後に今後のマンション価格の展望について伺いました。
3つの項目に分けて紹介します。

①外部環境

「株高・円安の影響はかなり強いと考えられます。株高による資産効果、円安による外国人投資家の参入などによって高価格が下支えされるからです。このあたりは、国内の景気や政治情勢、世界的な経済情勢にも左右されるため、なかなか読めない面があるかもしれません」(髙橋さん)

一方で、前述した短期売買・外国人規制によって、投資家や外国人の需要が大きくトーンダウンする可能性はあります。
「これまで外国人の旺盛な投資に応じて国内勢も参加していた面があります。仮に、外からの需要がなくなってマーケットが冷えこんだときに、国内の投資家層も手控えるようになれば、一部で価格調整が入る可能性はあります。ただし、暴落は考えられません。1~2割でも下がれば実需層が買いに入るからです。投資家層が退場することは、実需層にとってはチャンスでもあります」(髙橋さん)

①外部環境

②購入環境

【金利】

「日銀が政策金利の引き上げに動き出していますが、現在の利上げペース、上がり度合いを見ると、購入マインドを冷やすほどの影響はないか、あったとしても限定的ではないかとみています」(髙橋さん)

【融資】

住宅取得を促進する政策が2025年度補正予算で打ち出されています。

  • 長期固定型住宅ローンの「フラット35」の融資上限が、8,000万円から1億2,000万円にアップ。
    フラット35には、夫婦のいずれかが40歳未満の世帯や18歳未満の子どものいるファミリー向けに金利を0.25~0.75%引き下げる優遇措置もあります。
  • 残価設定型住宅ローンの保証制度が創設。住宅ローンにも返済負担を抑える新メニューが登場する可能性。

この他、返済期間の上限を35年から40~50年に拡大する金融機関が増加し、同じ借入額でも毎月負担額が抑えられる住宅ローン・メニューが登場するなど、融資環境は改善しています。
「もちろん、借入金額が増えれば金利負担や総返済額が増えてしまうため、制度の内容をしっかりと理解した上で、返済に無理がないかをよくチェックしたうえで活用することが大切です」(髙橋さん)

【融資】

この他、返済期間の上限を35年から40~50年に拡大する金融機関が増加し、同じ借入額でも毎月負担額が抑えられる住宅ローン・メニューが登場するなど、融資環境は改善しています。
「もちろん、借入金額が増えれば金利負担や総返済額が増えてしまうため、制度の内容をしっかりと理解した上で、返済に無理がないかをよくチェックしたうえで活用することが大切です」(髙橋さん)

【税制】

  • 住宅ローン減税の適用期限の5年延長

年末借入残高の0.7%を13年に渡って所得税から控除できる特例の期限が、2025年以内の入居から2030年以内の入居に延長。借入金限度額が拡充された上で、特例対象個人の優遇の対象に中古住宅も加えられました。また、対象となる住宅の床面積の基準について、年収1,000万円以下の場合に下限面積を50m2から40m2に緩和する時限措置がありましたが、恒久化されました。
(以上の税制改正は2026年の通常国会で予算通過後に正式決定)

【融資】

③マンション市況

中古と新築ではマーケットの動き、価格の予想が異なります。

【中古マンション】

「中古価格は基本的にマーケットで決まります。既に都心部から在庫が積み上がり始めました。在庫が増えるほど売主は警戒して強気の価格設定がしにくくなります。早めに売りたい人から売りやすい価格に調整して出すようになるため、価格上昇にブレーキがかかり始めるというのが、過去の知見です。都心6区の価格はピークを打ったとみています。在庫が多ければ選択の幅が出てきますので、自分の予算感と好みにマッチする物件に出会えるチャンスも増えるでしょう」(髙橋さん)

【新築マンション】

「まず構造的な要因としては、土地価格については多少の波があると思われますが、建築費は下がる余地がないため、コスト積み上げ式の見方から言えば、価格が下がる可能性は低いでしょう。

図9. 新築マンション発売戸数ランキングトップ10社(首都圏)のシェア

中古と同様に基本的にはマーケットの影響を受けますが、売主であるデベロッパーの姿勢にも大きく左右されます。以前は景気次第で新規参入してくる中小・中堅の建設会社も少なくありませんでした。そのため市況が悪化すると、資金回収を急ぐために値下げして早期に売り切るケースが増え、それがマーケット全体を押し下げる動きにつながったのです。現在は、年間の供給戸数・上位10社が占めるシェアが50%を超えるなど、大手デベロッパーの寡占化が進んでいます(図9)。資金力があって経営体力もしっかりしているため、たとえ市況が悪化しても、持久戦的な売り方をして値下げせずに売り切ろうという販売スタイルに変わりました。以前のように価格を下げて売る動きは出てきにくいでしょう」(髙橋さん)

最後に、購入を検討している人に向けて髙橋さんからメッセージをいただきました。
「価格が下がるのを待って購入しようか迷っている方も少なくないかもしれません。ただ、5年前に『オリンピック後に建築ブームが終わり、不動産価格は暴落する』といった主張がメディアでも広がりましたが、結局は下がりませんでした。下がらないどころか、さらに上昇したわけです。当時、購入する機会を逸した人が大勢います。待っている間の家賃負担も増加しました。今の価格が高いからとためらうよりも、融資や税制など、いろいろな制度を利活用できて、無理なく購入できるのであれば、早めに行動をしたほうが賢明でしょう」

髙橋雅之(たかはし まさゆき)さん

<プロフィール>

髙橋雅之(たかはし まさゆき)さん
髙橋雅之(たかはし まさゆき)さん

株式会社東京カンテイ 市場調査部 上席主任研究員
2003年、東北大学大学院修士課程修了。建設コンサルタント会社を経て、2006年に株式会社東京カンテイ入社。2024年より現職。豊富なデータを基にマンションを主とした不動産市場の動向調査・分析を担当。新聞や雑誌、テレビなどにデータや知見、コメントを提供。同社の不動産マーケット情報誌『Kantei eye』の企画・編集・執筆にも従事。

TEXT:木村元紀
PHOTO:村山雄一

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