プロのアドバイスで理想の部屋に近づける― コーディネートのコツ、取り入れたい工夫

プロのアドバイスで理想の部屋に近づける―
コーディネートのコツ、取り入れたい工夫

[暮らしのアイデア]

2023年01月26日

新築・中古問わず、家を購入した後に「こうしておけば良かった」と思うことは、どなたでも多少あるのではないでしょうか。今はネット検索で手軽に情報が入る時代。好みの家具やおしゃれなカーテンなど、好きなテイストでまとめてみたのに、なんか違う…。そんな時にプロのちょっとしたアドバイスの必要性を感じます。
理想の部屋に仕上げるために、何をポイントに置けばいいのか、どんなところに注意すれば良いのか、そして実際にアドバイスをして喜ばれた事例を、(株)メック・デザイン・インターナショナル インテリアコーディネーター・蓮見由美さんに教えて頂きました。

 

トレンド・家族構成・ご要望…お客様の暮らしに合わせてご提案

まずインテリアコーディネーターの仕事を、新築マンションを例にとってご紹介致しましょう。

「三菱地所レジデンスの新築マンションの場合、 ご入居までの間に、カーテンや造作家具などのインテリアのご相談をお受けします。
フローリングや建具など、部屋全体のカラーセレクトなどは、契約時に選定済みなので、お客様が選んだカラーにプラスして、マンションの立地やモデルルームなどの雰囲気を考慮に入れた上で、お客様の個性や要望を取り入れて具体化していきます。」
イメージが湧きやすいように資料や写真をタブレットで見せながら、お客様の「こんな感じ」という曖昧なものを一つ一つカタチにしていくそうです。

(株)メック・デザイン・インターナショナル インテリアコーディネーター蓮見由美さん

(株)メック・デザイン・インターナショナル
インテリアコーディネーター 蓮見由美さん

2020年からステイホームや在宅ワークがライフスタイルの中に入ってきて、それまで以上に家にいる時間を大切にされている方が増えているとのこと。
「最近の傾向としては“ナチュラル系”がキーワードになっていると思います。お客様がカラーセレクトで選ぶカラーリングもナチュラルテイストが比較的多いですし、素材などもそうです。家で過ごす時間を快適に過ごせるような部屋づくりが好まれます。
例えば、外で友人と会うというよりは、家に招いて食事会をしたいので、テーブルを大きくしたい、椅子もいろんな種類をランダムに置いて好きに座れるようにしたいなど、プライベートな空間を充実させたいというご要望が増えていますね。」
また、在宅ワークはリビングでする想定が多いそう。
「ファミリーの方ですと、仕事も家事も育児もリビングでしたいけれど、どうしたら良いかというご相談も受けます。」

 

快適空間の創り方。どこから整えていけば良いのでしょう

では具体的にどうすれば快適な空間が創れるのでしょうか。
部屋で大きな面積を占める家具、壁やカーテン、そして照明で、室内空間の整え方を教えていただきました。

新しい部屋に合わせて家具を新調されるのではなく、もともと使っていた手持ちの家具を入れたいという方もいらっしゃいます。これも、ちょっとしたアイデアを取り入れることで、新築の部屋に合わせることができます。

「手持ちのソファがご新居の雰囲気に合わない場合は、張地を新しく張り替えるのをお勧めします。ソファのカバーを変えるだけで、新しい家具との相性も良くなりますし、雰囲気も全然変わってきます。家族構成にもよりますが、お子様やペットがいるご家庭では、張地を交換できたり洗濯できるカバーを選ぶと良いでしょう。男性はレザーを好まれる方が多いのですが、水を弾くコーティングを施すと汚れも付きにくくなります。」

「ダイニングテーブルも、天板を伸ばすことでサイズを拡張できるエクステンションテーブルが人気ですが、お客様をたくさん呼びたいという方には椅子の配置が自由になる丸テーブルをお勧めします。
機能性を考えて長方形のテーブルの方がお好みの方は、置き方を工夫してみるのが良いと思います。お子様が小さいうちはキッチンや壁に寄せて出来るだけ室内に何も置かないスペースを作り、お子様が成長して遊ぶスペースが必要無くなったら、テーブルを中央に置いてダイニングエリアを演出するなど、どう置くかで部屋の印象や使い方が変わってきます。」

 椅子の位置を限定しないため、臨機応変に使える丸テーブル。部屋の雰囲気も柔らかくなる(ザ・パークハウス 文京千石一丁目モデルルーム/分譲済)

椅子の位置を限定しないため、臨機応変に使える丸テーブル。部屋の雰囲気も柔らかくなる(ザ・パークハウス 文京千石一丁目モデルルーム/分譲済)

「ダイニングの椅子もベンチタイプのものが結構使えます。
人数を選ばず座れますし、小さいお子様ならその上で横になることもできます。また背もたれがないので、どちら側からも座れるという利点を活かし、ダイニングテーブルと反対側にデスクを置けば、ワークスペースや勉強スペースとして一つの椅子を共用で使うことができます。」

また、部屋に入ってまず目に入るのが、壁やカーテンといった面積の広い部分です。

「お好みにもよりますが、カーテンは飽きのこないもの、ずっと見ていても疲れないものがいいと思います。無地だけだとつまらないなとお感じになる方には、レースだけ色をつけたり、柄のあるものをお勧めしたりします。実際、バーチカル(縦型)ブラインドの数本だけ色を変えてアクセントにしたところ、お客様に大変喜ばれました。カーテンは何百種類とあるので、まずはソファなど部屋に入れる家具を決めてから、どのカーテンにするか決めた方がいいでしょう。」

ソファなど家具の色や雰囲気に合わせて、数本だけ配色を変えたブラインド。これだけでこの部屋の個性が引き立つ

ソファなど家具の色や雰囲気に合わせて、数本だけ配色を変えたブラインド。これだけでこの部屋の個性が引き立つ

壁の使い方としては、プロジェクターを利用して壁に映像を投影するといった事例もあります。壁は面積があるだけに、家具で隠してしまうだけでは勿体無い部分。壁そのものの使い方も教えて頂きましょう。

「アートを飾るのはもちろんお勧めですが、ミラーを貼るのはいかがでしょう。部屋が広く見えますし、グリーンを手前に置くと緑が映り込んで癒しの効果も増します。
あとテレビを壁掛け型にするのも、部屋を広く、有効に使っていただけるので良いかと思います。」

存在感のある大型テレビは壁掛けに。部屋の広さを確保できるだけでなく、生活感も出にくくなる(ザ・パークハウス 早稲田モデルルーム/分譲済)

存在感のある大型テレビは壁掛けに。部屋の広さを確保できるだけでなく、生活感も出にくくなる(ザ・パークハウス 早稲田モデルルーム/分譲済)

照明も大切なアイテムのひとつです。
「家で食事をする機会が増えたので、ダイニングの照明を良いものにしたいという声を多く聞きます。機能重視というよりは、人が来たときにパッと目がいくようなもの。テーブルの上にくるタイプの照明ですと、セオリーとしては天板から70cmの高さですが、少し低いので、頭をぶつけてしまう、光源が目に入るなど使い勝手がよろしくないかと思います。
照明器具の種類にもよりますが、電球が剥き出しになっているようなタイプですと、80〜85cm離れている方がバランスが良いです。」

ペンダントタイプの照明は、部屋のアクセントにもなる。美しさだけでなく、使いやすさも考えて高さを決めるのがBEST(ザ・パークハウス 経堂レジデンスモデルルーム/分譲済)

ペンダントタイプの照明は、部屋のアクセントにもなる。美しさだけでなく、使いやすさも考えて高さを決めるのがBEST(ザ・パークハウス 経堂レジデンスモデルルーム/分譲済)

「リビングに吊り下げ型の照明を設置する場合は、床からの距離が200cm〜210cmは欲しいところです。
シャンデリアなどボリュームがあるタイプのものは、特に床から照明器具までの高さに気をつけたいですね。部屋が狭く見えるなど、リスクをきちんと考えてから取り付けたほうが良いでしょう。
最近は照明というか、天井面をスッキリさせたいというご要望が多いので、スタンドやペンダントなどでアクセントを付けるのも良いと思います。」

 

本当に居心地のいい部屋とは、空間と色のバランスが取れた部屋

お話を伺っている中で、よく出てくるワードが「バランス」。
何をどこに置くかをきちんと考慮した上で家具をセッティングしないと、落ち着かない空間になってしまうそうです。

「私たちコーディネーターが室内空間をご提案するとき、人が移動するスペースとして最低60cmは確保するように、家具の配置をします。できれば70cm以上はあるとベストですね。
家具を買うときに気をつけたいポイントとしては、高さもあります。
例えばソファ。背もたれが高いものは頭を預けられるので座り心地は良くなりますが、部屋全体としては圧迫感がかなり出ます。高さとゆとりのバランスが良いと、見た目も美しいですし、ゆとりを感じられる部屋になります。」

お客様の好みを伺いながら、部屋のイメージが湧きやすいようタブレットなどを使って説明することが多い

お客様の好みを伺いながら、部屋のイメージが湧きやすいようタブレットなどを使って説明することが多い

また、色や素材のバランスも大切な要素。
「年代によっても色や素材の好みがあります。若い方は明るくて軽めの素材、年を経るごとに落ち着いた色や上質感を好まれる傾向にあります。明るめの色を差し色で使うのはアクセントとしてとても良いので、カーテンやソファなど面積の大きいものはシックな無地系にして、クッションや小物などで遊ぶのも良いでしょう。季節や流行りなどに合わせて、その時々で気軽に変えられると好評です。
また、お勧めなのがアクセントクロスです。タイルや石張りだと大掛かりな工事になりますが、アクセントクロスなら手軽にお部屋の雰囲気を変えることができますし、一面を変えるだけでもかなり素敵な空間になります。」

壁面のひとつをアクセントクロスに変えるだけで、部屋が上質な雰囲気になる。寝室もただ寝る部屋ではなく、寛ぐ場所へと変わる(ザ・パークハウス 名古屋伏見モデルルーム/分譲済)

壁面のひとつをアクセントクロスに変えるだけで、部屋が上質な雰囲気になる。寝室もただ寝る部屋ではなく、寛ぐ場所へと変わる(ザ・パークハウス 名古屋伏見モデルルーム/分譲済)

 

プロに頼むほどではないけれど、簡単に自分でできる工夫も教えてください

造作家具などもご提案されるということですが、市販のものを利用して整えるアイデアも教えて頂きましょう。

「ご自身でDIYをされる場合は、壁や天井面に釘を打つようでしたら、下地の有無や建築上の取り付け可否の確認が必要となりますが、市販の収納などを使って整える方法はあると思います。

例えば、部屋内に柱などがあったら、柱を取り込んでデスクにされるとか。柱と柱の間に板を渡したり、柱の奥行きにデスクサイズを合わせたりすると見た目もスッキリします。リビングに設置する場合は、散らかった印象にならないよう書類やプリンターを置ける程度の収納は、一緒につけたほうがいいと思います。
またマンションの構造上できてしまうデッドスペースや、ウォークインクローゼット内など、ニッチなスペースには細かな収納を増やすと便利です。奥行きがあまりない小さな収納でも、キッチン付近ならパントリー、クローゼット内なら小物収納にするなど、少ないスペースを利用すると格段に収納力は上がります。」

建築上どうしても出てしまうデッドスペースをうまく利用して、本棚やデスクを造作。ちょっとしたワーキングスペースにできる(ザ・パークハウス 赤羽フロントモデルルーム/分譲済)

建築上どうしても出てしまうデッドスペースをうまく利用して、本棚やデスクを造作。ちょっとしたワーキングスペースにできる(ザ・パークハウス 赤羽フロントモデルルーム/分譲済)

リフォームするほどではないけれど、市販のものを上手に取り入れて部屋をカスタマイズしていくのも楽しそうです。収納小物などたくさん種類がありますが、同じ場所で使用するなら色や素材を考えておかないと、かえって雑然とした感じになりますのでご注意。ここでもバランスを見ながら整えていきましょう。

集合住宅の躯体(壁・床など)は共用部分です。躯体を傷つけるような穴を開けたり釘を打ったりすることは出来ません。詳しくは、管理規約・使用細則等をご確認ください。

家を購入するとき、ほとんどの場合、その道のプロがいます。
自分たちでSNSや検索サイトを使って調べることは楽しいですし、夢も広がりますが、情報が錯綜したり、過多だったり。意外とまとまらないのが実情ではないでしょうか。
困ったときは購入先の建築士やコーディネーターに相談するのが賢いやり方。情報の交通整理をして、適切なアドバイスで「部屋を創るコツ」を伝授してくれるに違いありません。せっかくの我が家、ぜひ理想の住まいに近づけましょう。

(テキスト)山田江理子
(インタビュー写真)清水タケシ

株式会社メック・デザイン・インターナショナルのご紹介

MEC DESIGN INTERNATIONAL

三菱地所グループのインテリアデザイン会社として、オフィス・ホテル・店舗・住宅インテリアなどのデザインおよびインテリア物販に関する多様なサービスを提供しております。住宅インテリア部門においては、内装素材の選定、モデルルームのデザインなど、住まいに関するインテリアに対して総合的に携わっております。

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