今どきのリノベーション 〜住まい選びの新しい選択肢〜

今どきのリノベーション 〜住まい選びの新しい選択肢〜

[暮らしのアイデア]

首都圏を中心に新築マンション価格の上昇が、ニュースなどでよく知られるところとなりました。家を持つのもなかなか大変です。
そこで住まいの選択肢の一つとして、最近注目されているのが「リノベーションマンション(以下リノベマンション)」。
これは既存のマンションを新築同様にリノベーションして販売するタイプのマンションを言います。三菱地所レジデンスでも、リノベーション事業に注目し、買い取りや販売を積極的に行っています。
今のリノベーションのトレンドや、今後の展開など、数々のリノベマンションの設計・施工経験があり、三菱地所レジデンス物件も多く手がける、株式会社インテリックス空間設計の石井さんにお話を伺いました。

 

リノベーションするときに大切にしている目線とは

リノベマンションと一言で言っても、一棟丸ごとリノベーションして再販売するものと、一住戸ごとにリノベーションして販売するタイプがあります。今回は一住戸ごとのリノベーションについて教えていただきました。

「日本の住宅において、これまで新築偏重の傾向がありましたが、昨今は価値あるものをつくって長く大切に使うという考えが広まり、中古住宅の価値が改めて見直されてきています。ただ中古住宅のご購入にあたっては、お客様にとってご不安な要素も多いと思われます。そうした不安を払拭できるよう適切に工事や検査をして商品化しているのが、三菱地所レジデンスや当社の提供しているリノベマンションです。」

(株)インテリックス空間設計 石井さん

(株)インテリックス空間設計 石井さん

三菱地所レジデンスは、2013年より首都圏を中心に一住戸もしくは一棟単位で中古マンションを買い取り、リノベーション後に分譲を行うリノベーション事業をスタート。現在はマンションのリノベーション事業も多く手掛け、インテリックス空間設計とは、当初よりプランニングから完成まで一緒に造り上げています。

「対象物件については、一住戸ごとに三菱地所レジデンスの担当者と一緒に確認に行きます。その際には、次にお住まいになられる方が、安心して住み続けることができる商品にするには何が必要かという目線を大切にしています。内装の仕上げなど目に見える部分だけではなく、配管や床の下地など目に見えない部分についても、ひとつひとつ確認をして必要に応じて更新、改修をしています。また、三菱地所レジデンスが提供しているリノベマンションは、工事をする段階では実際にお住まいになるお客様が特定されていません。立地や価格帯など不動産的な面と、眺望や日当たり等お部屋の状況を確認した上でお住まいになられるお客様を想定して、ライフスタイルに合った間取りや仕様に仕上げていきます。」

 

新しいライフスタイルを柔軟に対応できるのもリノベの特徴

コロナ禍を経て、人々のライフスタイルも変わってきました。
一般的におうち時間が長くなっているため、住まいはただ寝に帰るところというのではなく、仕事をする場所、あるいは家族と長く過ごす空間としての存在が大きくなってきています。実際に相談を受ける際は、どのような希望が多いのか伺ってみました。

玄関横に土間スペースを設置。アウトドア用品や子どもたちが外で使うおもちゃや自転車なども置ける他、外廊下に面した空間ならば、外からの目線や音を遮ることもできる

玄関横に土間スペースを設置。アウトドア用品や子どもたちが外で使うおもちゃや自転車なども置ける他、外廊下に面した空間ならば、外からの目線や音を遮ることもできる

住戸形状によっては、どうしても窓のない居住空間も出来てしまう。その場合でも天井近くにあかり取りの窓を設けることで圧迫感をなくすようにした例。寝室に特化した部屋にするなら、壁紙を黒など好きな色にできるのもポイント

住戸形状によっては、どうしても窓のない居住空間も出来てしまう。その場合でも天井近くにあかり取りの窓を設けることで圧迫感をなくすようにした例。寝室に特化した部屋にするなら、壁紙を黒など好きな色にできるのもポイント

「当社も一般のお客様のリノベーションを承っております。その中で今一番必要とされているのが、ワークスペースです。 コロナ禍を経てテレワークという働き方が日常化しましたが、自宅にワークスペースは欲しいけれど、リビングや居室が狭くなることには抵抗があるという方もいらっしゃいます。そこで三菱地所レジデンスの提案として、和室の押入れをフレキシブルに使えて、可変性のある収納兼ワークスペース化する試みを行っている物件もあります。
現代のライフスタイルに合わせて、リビングに併設された和室を洋室に変更すると共に、和室の押入スペースを単にクローゼットにするのではなく、ワークスペースにもなるフレキシブルな収納スペースとしてご提案しています。」

押入れの奥行きを活かして、ワークスペースにした例(写真左)。デスク棚のほか、可動式の棚やハンガーバーを取り付けることで、ワークスペースを必要としない人は、ウォークインクロゼットにすることも可能(写真右)

押入れの奥行きを活かして、ワークスペースにした例(写真左)。デスク棚のほか、可動式の棚やハンガーバーを取り付けることで、ワークスペースを必要としない人は、ウォークインクロゼットにすることも可能(写真右)

「引違戸を閉めてしまえば、通常のクローゼットにしか見えませんが、内部にはデスクとしても使用できる棚や、PCの使用を想定してコンセントやLAN配線を設けていたり、壁面にマグネットボードを採用したりと様々な工夫を施しています。また、ワークスペースとして使用しない場合も様々な収納用途に対応できるよう、可動式の棚のレイアウトや仕様にもこだわっています。」

フレキシブルなクローゼットについてはこちら

壁にマグネットボードを設置することで、メモクリップやフックなどを取り付けて、自分が使いやすいようにカスタマイズできる

壁にマグネットボードを設置することで、メモクリップやフックなどを取り付けて、自分が使いやすいようにカスタマイズできる

「また、非接触型の設備のご要望も多くなりました。キッチンだけでなく、洗面化粧台やトイレ手洗器でも「オート水栓」の採用が増えています。三菱地所レジデンスのリノベマンションでは、外から帰ってきたらすぐに手が洗えるように、玄関近くの廊下に手洗いスペースを設けた事例もございます。また、外の埃や花粉を室内に持ち込まないよう、玄関にコートが掛けられる一時掛けフックも、時代を反映した設備だといえます。」

時代のニーズに合わせた住まい作りができる柔軟さ。これもリノベマンションの特徴でしょう。

外から帰ってきたらすぐに手洗いができるよう、玄関先に手洗いスペースを設置。扉を閉めれば洗面部分を隠すことができ、玄関周りがすっきり見える

外から帰ってきたらすぐに手洗いができるよう、玄関先に手洗いスペースを設置。扉を閉めれば洗面部分を隠すことができ、玄関周りがすっきり見える

収納にこだわるザ・パークハウスの仕様を、リノベマンション向けにアレンジされた事例もあります。

「ロボット型掃除機の基地局を想定したことです。通常の収納キャビネットの足元部分の一部をオープンにしてコンセントを設け、ロボット型掃除機が自由に行き来でき、充電もできるスペースにしました。また、一般的な収納内にもコンセントを設け、コードレスタイプ掃除機の収納兼充電スペースとして提案した事例もございます。」

収納スペースの下を開放することで、ロボット型掃除機の基地にアレンジ。床と続きになっていることで、収納床そのものの掃除もしやすい

収納スペースの下を開放することで、ロボット型掃除機の基地にアレンジ。床と続きになっていることで、収納床そのものの掃除もしやすい

 

時には、新築マンション用に開発された設備も取り入れる

リノベマンションでは、最新の設備機器や仕様、時代のニーズに即したプランニングをいち早く取り入れられることも魅力のひとつです。
新築マンションでは事業が計画されてから購入者が入居するまで、数年かかる例も少なくありません。リノベマンションであれば、住戸の買取りからリノベーションを経て再販売するまで通常数ヶ月と事業期間、または商品化までの期間が短く、時代のニーズを反映させやすいのです。そのため、ザ・パークハウスで取り扱う予定の設備やプランなどを先にリノベマンションで使用することもあるとのこと。

例えば、キッチンカウンターの下に入るキャスター付き収納キャビネット。元々新築マンション用に開発されたもので、キッチンカウンターの面材と同じ素材が使われ、カウンター下に綺麗に収まるサイズのキャビネットです。

このキャビネットはダイニングで仕事をするときにPC用のデスクにしたり、仕事で使う資料をまとめてしまっておくことができます。キャスター付きのため、使う場所まで自由に移動可能。使い終わったらカウンター下にそのまま収まるという優れもの収納です。カウンター幅などの関係で、採用できる物件が限られますが、すでに数件で設置済みとのことです。

ワゴンデスク・ワゴンキャビネットの詳細はこちら

今あるスペースに、仕事空間を創出する「ワゴンデスク」と「ワゴンキャピネット」。カウンターの高さに揃えてあるので、使い終わった後は、そのままカウンター下へしまうことができる

今あるスペースに、仕事空間を創出する「ワゴンデスク」と「ワゴンキャピネット」。カウンターの高さに揃えてあるので、使い終わった後は、そのままカウンター下へしまうことができる

他にも、三菱地所レジデンスの賃貸物件であるパークハビオ用に開発された「MIXINK」を、いち早くリノベマンションに取り入れた例もあります。
三菱地所レジデンス側の担当者は、建築関係者だけでなく新築マンションの販売に携わっていた担当者など、それぞれの経験を活かして取り組んでいます。実際にエンドユーザーに接してきた人だからこその意見や目線を持ち合わせているので、設計・施工に携わっている側も気づかされることが多いといいます。

MIXINK(ミキシンク)の詳細はこちら

キッチンと洗面化粧台をひとつにし、スペースの有効化を可能にした「MIXINK(ミキシンク)」

キッチンと洗面化粧台をひとつにし、スペースの有効化を可能にした「MIXINK(ミキシンク)」

そしてリノベマンションは、変化し多様化していく社会にフレキシブルに対応できる住まいです。そのためトレンドをいち早く取り込む工夫もしているとのこと。
「トレンドを取り込みやすいものとしてカラーリングが挙げられます。現在は、重厚感よりはニュートラルなもの、ミディアムペースが好まれる傾向があります。ザ・パークハウスで使用しているカラーをベースにし、より時代に合ったものをプラスしたリノベーション版のカラースキムを4パターンほど、三菱地所レジデンスと共同で作りました。今後はそれをブラッシュアップしながら進化させていく予定です。」

多様化する環境や社会のトレンドに寄り添う、三菱地所レジデンスのカラーラインナップ

 

持続可能な社会に必要な、リノベマンションのスタンダートをつくるために

一方、インテリックス空間設計は、実際に施工する会社だからこその技術も活かされています。

「リノベマンションは一住戸ごとに現場で調整しながら造り上げていくことが殆どです。押入れを改良したワークスペースにしても、奥行きや高さはそれぞれの住戸ごとに異なるので、それぞれの寸法に合わせて造らなくてはなりません。汎用性があり、使い勝手も良い、ベストな形での標準化を目指して、三菱地所レジデンス担当者と相談しながら、現在進行形で改善・改良に取り組んでいます。」

本当は室内をスケルトン状態にしてから造る方が楽ということですが、元々の部屋の良さを活かしながら造るというこだわりで仕上げていくのが、三菱地所レジデンス仕様なのだそうです。

もともと独立タイプのキッチンでも一部の壁を取り払っただけで、空間が広がる。住まいの在り方や暮らしの好みに合わせてスタイルも日々進化している

もともと独立タイプのキッチンでも一部の壁を取り払っただけで、空間が広がる。住まいの在り方や暮らしの好みに合わせてスタイルも日々進化している

スクラップ&ビルドが主流だった日本の住宅事情ですが、近年、世界的に持続可能な社会を作ることが主流になりつつあり、住宅もその流れになっています。新築マンションでいえば、ゼロカーボンを謳う物件が増えてきました。
これからのリノベマンションはどうなっていくのか、最後に伺いました。

「2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、2025年には新築住宅の全物件に省エネ基準への適合が義務化されます。既設の建物に関してはまだ法的な規制などはありませんが、リノベーションの分野においても同様の目線を持って、住宅ストックの省エネ化に積極的に取り組んでいく必要があると強く感じております。既存マンションの省エネ化を実現するためには断熱・気密性の向上や高効率設備の採用等が考えられますが、マンション管理規約や共用部との調整、省エネ基準の数値的な証明根拠など様々な問題があるのが実情です。

省エネ基準を達成するべく、これからのリノベマンションに求められるスタンダードを各社模索中です。何か新しいものを取り入れる時には、様々な障害がはあることは当然です。今まで業界としてリノベーションのルールや検査方法を確立してきたように、今後はリノベーションにおける省エネのスタンダードを構築していくべく、業界として大きなムーヴメントを一緒につくっていきたいと思っています。」

(テキスト)山田江理子
(写真)清水タケシ

 マンション購入の新しい選択肢、 三菱地所レジデンスが手掛けるリノベーション物件

マンション購入の新しい選択肢、
三菱地所レジデンスが手掛ける
リノベーション物件

ご自身でリフォームする手間や時間を省けるだけでなく、付加価値がついた住まいを安心して購入できる「三菱地所レジデンスのリノベーション」をご紹介。

詳細はこちら

株式会社 インテリックス空間設計

株式会社 インテリックス空間設計

https://www.intellex.co.jp/renovation/
リノベーション業界随一の実績を誇るインテリックスグループで、首都圏のマンションリノベーションを専門に設計・施工を行い、20年以上にわたり事業展開。毎年1000件超のリノベーションにより蓄積したノウハウと施工力により、一つひとつ、丁寧にリノベーションをしています。

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