初心者でも失敗しない!観葉植物の育て方とおしゃれな飾り方入門ガイド
2025年09月26日
暮らしの中に、ちょっとした癒しと彩りをくれる観葉植物。置くだけで部屋の雰囲気がグッと変わります。とはいえ「せっかく買ってきた植物もすぐ枯らしてしまった…」「育ててみたいけれど自信がない」…植物初心者からよく聞く言葉です。どうすれば観葉植物が上手く育てられるのか、育て方のコツから注意したい部分まで、観葉植物のプロにお話を伺いました。
そして 、観葉植物を室内でおしゃれに飾るポイントもご紹介します。 レイアウトの基本を押さえて、自分らしい居心地の良い空間に仕上げてみましょう。
今回お話を伺ったのは、オフィスや住まいなど人が長く過ごす場を中心に植物のある空間をデザインされているほか、観葉植物のオンラインショップも運営されている、parkERs(パーカーズ)プランツコーディネーターの市野澤さんです。
空間づくりにおける植物の役割とは
素敵な室内を見ると、必ずと言っていいほど花や緑があります。部屋に植物がひとつあるだけで、空間はぐっと居心地よく感じられるでしょう。さらに樹形に特徴のある観葉植物なら、「この人はセンスがいい」「暮らしを楽しんでいる」といった印象まで与えてくれます。 大小様々な観葉植物がありますが、大きさや置き方により部屋の仕切りや視線の誘導などに使え、「インテリア機能」としても担ってくれます。
また、植物は当然のことながら生きています。新芽の可愛らしさに気付いたり、成長を日々楽しんだりと、共に暮らすことで様々な発見があるでしょう。それだけで癒し効果とともに豊かな時間を育めます。
観葉植物の選び方とは? 植物は部屋の雰囲気に合わせてチョイス
植物を育てたことはあまりないけれど、グリーンを飾っておしゃれな部屋にしたい。植物初心者の希望を叶えるには、まずどのような植物を選べば良いのでしょうか?
「基本的にはどんな部屋の雰囲気にしたいか、それに合わせて植物を選ぶことです。」
初心者の方でも育てやすい植物を、お部屋のテイスト別に教えていただきました。
白い色味でやさしい印象のお部屋(ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ モデルルーム)
重みがあり上品な部屋(ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ モデルルーム)
白い色味のナチュラルなお部屋の場合
シンプルで自然な雰囲気を引き立てる小さい葉の植物を飾ると良いでしょう。
- ペペロミア・デッピアナ・・・一鉢置くだけでナチュラルな雰囲気を演出する。芳しい香りを楽しめる植物。
- アイビー・・・シンプルに葉の美しさが際立ち、空間にフレッシュな印象を与えてくれます。鮮やかな緑の葉が茂るので、高い位置で育てるのにぴったり!
- アマゾンオリーブ・・・繊細な葉と白い幹肌が美しいアマゾンオリーブは、部屋を洗練された印象に。
- エバーフレッシュ・・・繊細な樹形にバランスよくついた葉が風に揺れて、木漏れ日を落とす癒しの空間を演出。
ペペロミア・デッピアナ
アイビー
アマゾンオリーブ
エバーフレッシュ
重厚感のあるシックな部屋の場合
葉の面が広くて、存在感のある濃緑色の植物を飾ると、モダンで上品な雰囲気を出すことができます。
- カシワバゴム・・・葉が柏のような形で、肉厚なのが特徴。茶色の幹はシックで落ち着いた印象ながら、大きく波打つ葉には力強さを感じられます。
- カラテア・・・思わず目を奪われるグラフィカルな葉。まるでビロードのようになめらかで美しい葉は一鉢あるだけで空間に重厚感を与えます。
カシワバゴム
カラテア
一方で、観葉植物を選ぶときには注意が必要な場合もあります。とくに小さなお子さんやペットがいるご家庭では、植物を子どもやペットが触れない場所に置いたり、安定感のあるプランターなどで転倒防止をするなどして、危険を回避するようにしましょう。
グリーンを飾ることに「意味を込める」
部屋の雰囲気を変えてくれるだけでなく、植物には“象徴”や“メッセージ”もあります。また贈り物としてもそれらの意味を考えて選ぶと、センスのあるプレゼントにもなります。
- ドラセナ・・・幸福。家の玄関や部屋の入り口に置くと幸運が訪れると言われている。
- パキラ…金運・仕事運。書斎やワークスペースにおすすめ。
- モンステラ…成長・繁栄・チャレンジ。子ども部屋や新生活のスタートにぴったり。
育てるうえでの基本の注意ポイントは「置く場所 」と「水やり」。
揃えておきたい道具も紹介
今まで何度かトライしても上手く育たなかった植物たち。そのうち育てることに不安を感じたり、苦手意識を持ってしまうことがあるのではないでしょうか。
「上手く育てられない初心者さんは、大きく分けて2つのパターンがあります。面倒見が良すぎて水をあげすぎる人と、世話するのを忘れて放置してしまう人。どちらも植物にとって、良い環境を作ってあげられなくなるのです。」
両方に大切なのは、 植物を人のそばに置いて、「植物のサイン」をちゃんとみつけてあげることだと言います。
基本的に注意することは
「置く場所」と「水やり」の2つ
置き場所は「日当たりと風通しがいい場所」。それは人が快適だと思う場所と一緒です。
「日当たりは太陽光が入る明るい風通しのいい窓辺が理想です。直射日光と西日を避けて、レースのカーテン越しに光が当たる場所がおすすめです。植物の種類にもよりますが、本が読めたり普段の生活に必要な明るさがある部屋なら大丈夫。逆に、寒すぎる・暑すぎる・エアコンの風が直接当たる・窓のないトイレや洗面所などの暗い場所は避けましょう。」
人が快適に過ごせる場所に植物を置いてあげる(ザ・パークハウス武蔵新城モデルルーム/分譲済)
水やりのポイントは、「やりすぎない」「忘れない」の2つです。 先に挙げた失敗例も、その多くは水のやり方が原因のようです。土に水が足りないと植物は枯れてしまいますし、反対にずっと湿った状態だと根腐れや虫の発生につながってしまいます。
「水をあげるタイミングとしては、基本的に土が乾いたらあげる。表面だけ乾いていて土の中が乾いているかどうかは、水分計で確認すると良いでしょう。」
初心者が最低限揃えておきたい道具についても伺いました。
「鉢、じょうろ、スコップ 、肥料のほか、霧吹き(ミスト)や土の中の水分量がわかる水分計もあった方がいいと思います。葉水は、霧吹きなどで葉に直接水を吹きかけることで、光合成の妨げになるホコリを払うことができたり、葉裏に潜んでいる害虫を洗い流す効果もあります。」
観葉植物を扱う店やECサイトでは、初心者セットを作っているところもあるので、手軽に揃えられるでしょう。
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体感度を高める植物の飾り方
育てやすい植物の種類や注意ポイントが分かったところで、今度は実際にどのように飾ると部屋をおしゃれな空間にできるのか、空間づくりのコツも伺いました。
「植物にとっても快適な環境を考えつつ、視線の先や生活の動線上といった人の目に入りやすい場所に置くことで、変化にも気づきやすく、植物を育てる楽しさに意識を向けられます。お好きなインテリアの雰囲気に合わせて、植物を選んだり、鉢カバーの衣替えをしたりして季節を演出するのも楽しいですよ。」
植物を置く場所として真っ先に思い浮かべるのは、リビング・ダイニング。人が集う場所であるとともに、住人の好みやライフスタイルがひと目で分かる空間です。こちらを例にとって、飾り方のポイントを編集部でまとめてみました。
1.部屋全体のバランスを考える
高さのある大型の植物は、家具の一部として考えるとレイアウトがしやすくなります。部屋に入ってきたときの目線を考えて、大きさのある植物を奥側や壁際へ置き、部屋の中心に向かって低めの家具や観葉植物を持ってくるというのが、基本的な配置になります。部屋を印象的に仕上げたい人は、逆に中央に立体感でシンボル性のある植物を置くのが良いでしょう。小ぶりな植物は点在させずに、幾つか塊にして置くことで緑量が増して見えます。壁際に寄せると、壁に影が落ちて奥行きも出すことができます。
また、棚のような直線的なところや物が多く置かれた場所に、あえて葉が垂れ下がる植物を置くと、曲線が生まれてバランスが良くなり、見た目も柔らかになります。
そして、植物の種類だけでなく、鉢カバーの模様や素材にこだわったり、デザインされたスツールやプランタースタンドなどを用いると、住んでいる人の個性が反映しやすくなります。
2.左右対称と三角形。
配置の法則を押さえておく
飾る植物が複数個ある場合は、左右対称になるように飾ると部屋が落ち着いた印象になります。例えば、TVの両脇やソファの横に高さや種類を揃えて設置。同じ植物でなくとも、葉の色や鉢の素材を合わせるだけでもシンメトリーな印象になります。
複数の鉢を置くときのポイントは、鉢を三角形にレイアウトすること。バランスが良くまとまりが出ます。これは植物だけでなく、小物などのレイアウトでも活用できる方法です。テーブルや棚などに飾る場合、植物だけでなく、例えばディフューザーなどを組み合わせて、三角形レイアウトにしてみるのも上級テクニックです。
3.カウンターや窓際などの小スペースでは遊び心もプラス
キッチンカウンターや窓辺など、スペースがあまりない場所への飾り方も考えてみましょう。
狭い板の上などに飾る場合、小さめの鉢を等間隔に置くと可愛らしい印象になります。鉢のサイズは同じでも植物の種類を変えたり、鉢の色をカラフルにする、人形などと組み合わせて物語性を出すなど、大きなスペースでない分、遊び心が発揮できます。
キッチンやテーブルには土のものを置きたくないという人には、最近、土を使わない観葉植物も人気です。ネットで注文でき、届いた植物は切花のように水を与えて育てるだけという気軽さです(&Green https://andgreen.direct.suntory.co.jp/)。
4.空間を有効活用したいなら、吊るして飾るハンギングがオススメ
空間をもっと上手に使いたい、ペットや小さなお子様がいるという人にお勧めなのが、ハンギングです。
鉢や植物の重さを考慮しなくてはなりませんが、初めてハンギングに挑戦する方は、カーテンレールにS字フックをかけて飾ってみるとお手軽に楽しめます。他にも、ピクチャーレールや照明のダクトレールなどを活用するアイデアもあります。
また、壁に直接掛けて飾る、縦型の突っ張り棒やラダーラックに飾るというやり方もあります。吊るす植物は、垂れ下がる茎や葉を持つ植物にすると、葉やツルなどが視線に入りやすくなり、また鉢の土が見えないように植えることで、緑が映えて部屋のおしゃれ度がアップします。
いずれも植物が光合成できる場所であること、温度・湿度が適切であることが前提です。育成条件が整うかどうか確認してから飾ることをお勧めいたします。
ワンランク上の植物の楽しみ方
一通り、植物を育てる基本が分かったところで、初心者を抜けた人が挑戦したい「植物の楽しみ方」も教えていただきました。
「大きく育った植物の剪定や、植え替えに挑戦するのはいかがでしょうか。形を整えて、鉢とのバランスを考えたり、部屋に合わせた鉢に植え替えたりと、植物を活かして、より自分らしい室内空間を造ることができます。またぜひお勧めしたいのが、木漏れ日を楽しむということ。刻々と変化する光の様子や、葉の形・重なりによって様々な表情になり、それを眺めているだけで豊かな時間を過ごすことができます。デスクに落ちた影の揺らぎも心地良いですね。そのことで、自分が育てている植物たちへの愛情がより増してくるはずです。」
植物と会話し、表情を見る。植物と一緒に暮らしている感覚になることが、自分らしい癒しの空間を創る近道になりそうです。
parkERs(パーカーズ)
株式会社パーク・コーポレーションが展開する空間デザインブランド。 「日常に公園のここちよさを。」をコンセプトに、オフィスや商業施設、公共空間に緑と癒しを融合した心地よいデザインを提供。
HP:https://www.park-ers.com/
Instagram:https://www.instagram.com/parkers_official/
(テキスト)山田江理子
(イラスト)榎本直哉
(植物画像提供)株式会社パーク・コーポレーション parkERs