2020年度グッドデザイン賞受賞hitoto 広島 The Tower
2020年10月01日
広島大学本部跡地の歴史を受け継いだ、未来へとつなげるデザイン
この地はかつて広島大学本部として、学生たちが「まなび」を楽しんだ地であるが、広島大学の移転によりその機能低下が課題となっていた。そこで「知の拠点」の再生をテーマに掲げ、「hitoto 広島 The
Tower」が誕生。
被爆建物として歴史と共に歩んできた広島大学旧理学部一号館外観を基壇部のモチーフとすることで、この場所が歩んだ歴史をデザインとして受け継ぐ。隣接した建物と基壇部を同様の色合いとすることで、訪れる人が一体感を感じられるようデザインを手がけた。
また、かつて学生が利用したアメリカフウの並木を保存し、配置するにあたって、住宅のメインエントランスや車寄せ部分を並木道の先に計画することで、過去の系譜を承継し、未来へと繋ぐ役割を持たせている。
旧理学部一号館をモチーフとした基壇部
アメリカフウの並木道を活かした配棟計画
未来へ繋がる広島の新たなランドマーク
「知の拠点」の活動を担う人々が定着するための交流施設及び住宅として設計。外観は複数のレイヤで構成し、上昇感・未来性を表現。街の全てからの見え方を意識し、周囲と調和のとれた裏表のないデザインとした。
知の拠点の再生と持続可能な社会を目指した街づくり
『知の拠点の再生』のために「常に人々がいて賑わい、知を育み合い未来へ伝え、その知がまちをより良くしていく。」というコンセプトを掲げ、3.8haもの広大な土地を利用し6街区で作る「hitoto広島」の中心に「hitoto 広島 The Tower」を計画した。街区は分譲マンションの他に、病院、スポーツクラブ、ケアハウス、学生向け住宅、シェアオフィスなど、多彩な施設で構成され、その中心にある本計画は居住者と各施設、さらには周辺地域も含めた多世代の交流を繋ぎ、新たなコミュニティを生むハブとしての機能を担っていく。
hitoto 広島 The Tower
hitoto広島ナレッジスクエア
CLiP HlROSHIMA
ルネサンス 広島東千田
ケアハウス ラポーレ東千田
翠清会 梶川病院
自然とコミュニティが生まれる仕組み
居住者だけではなく地域にも開放したマンション内の共有空間に、自然にコミュニティが発生し持続できる仕掛けをつくり、居住者と訪れた人、訪れた人同士の緩やかなつながりが生まれる空間を創出した。
開放された空間とするためのフェンスレス設計
世代を超えて人が集まり、繋がっていくコミュニテイプラザ
様々な人が行き交う南北プロムナード
人と自然が共に響き合う響生ビオトープ
「hitoto 広島 The Tower」の物件情報は以下サイトよりご覧ください。
※販売済みでご確認いただけない場合もございます。
審査員の評価コメント
旧広島大学のキャンパスを、タワーマンションを核に住と職と文化の交錯する場所に変えていこうという再開発プロジェクトで、企画からタウンプランニングまで考えていこうとする事業のビジョンや枠組みが評価された。
デザインとしては、被爆建物の広島大学の旧理学部１号館とタワーマンションが対比される環境のインパクトが大きく、知の拠点にふさわしい態度を感じる。旧大学のランドスケープのモチーフを一部用いているが、もっと積極的に環境の記憶を残しても面白かったかもしれない。タワーマンションによって得られた公園上の環境が今後街づくりの核になると思うが、その際にも旧１号館が残っている意味が大きい。場所の記憶が残ってこそ、新しい住環境が生きてくるので、今後タウンプランニングの中で旧１号館の保存活用のアイデアが多数出てくることに期待したい。