2020年度グッドデザイン賞受賞ザ・パークハウス 神戸タワー
[グッドデザイン賞]
2020年10月01日
維持保存が困難とされた歴史的建築物を“安全に残す手法”の確立。
従前建物は明治33年に竣工。神戸市が指定する景観形成重要建築物であった。戦災や阪神大震災で受けた損傷は大きく、そのままの形で維持管理していくことは非常に困難な中、保存手法として経済合理性を担保するマンション事業での生捕工法を選択。取り壊わされる歴史的建築物を再生し、美しい街なみと暮らす人々へ過去と未来を繋ぐ手法を確立した。
3Dスキャニングで設計図面を再現
3Dレーザースキャナを用いた測量で点群データを取得して作成した精度が高いBIMデータを、外観やインテリアの計画に活用し設計図面の再現を試みた。

・3Dスキャンデータ
3Dレーザースキャナーで捉えた「旧ファミリアホール」の形状(CG画像)。※掲載のCG画像およびBIMデータによる立体図画像は、実際の復元状況と異なります。

・BIMデータ
BIMデータを図面化し、復元に向けた設計に反映。
外壁の開削
超音波検査
3Dレーザーでの建築物測量
石を積み戻す「生捕工法」で既存外壁を復元
解体により煉瓦と石の組積技術を再認識しながら、5,327点に及ぶ膨大な石材をナンバリングして保存・補修・加工。戦災や阪神大震災による歪みを補正し既存外壁を復元した。

解体後ナンバリングして保管


取り外した外壁(石材)ひとつひとつの「ナンバー」を記した解体時の資料

壁位置の検討(イメージ図)
ばらつきのある石厚を調整し、強固な支持方法で壮麗な既存外壁を復元。
①石材は強固な引き金物でRC壁に接合し、石とRC壁の間はモルタルで充填。②RC壁に当たる場合は石の厚みを切削加工とした。
地域の愛着を次代へ育む「場」の提供
歴史的価値のある既存建物の内部インテリアを再活用。新旧建物の雁行配置によって生まれた隙間空間には組石アーチや金庫扉などのエレメントを再利用。かつて親しまれた従前建物内の威風を新しいコミュニティラウンジとして再現した。
外構においては、地域に開かれた心地よいオープンスペースを創出。屋外ギャラリーとして公開し、既存外壁の柱頭や煉瓦と石の組積を展示。この地に暮らす人々に歴史文化の継承と新生を発信しながら、時間と空間が融合し共有できる場を創出した。
プロジェクトリポート「ザ・パークハウス 神戸タワー」
歴史的建造物の復元に至るまでの過程、こだわり抜いたデザイン・施工を様々な角度から解説。古くも新しい、近代建築の美を堪能できます。

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審査員の評価コメント
歴史的な建築物の保存と不動産開発との関係は、これまで長い間価値観の解離があった。 近年では、維持保存が困難になった歴史的建築物を、むしろ開発の価値として位置付ける手法も、商業施設・文化施設・オフィスなどでは徐々に増えつつある状況だが。大規模な集合住宅では、なかなか見られなかった。 この計画は、集合住宅で歴史的建築物の再生を行うという、極めて稀な挑戦を行なったものであり、この後の良い先例となってほしい。