型枠木材のトレーサビリティ認証スキーム

2021年度グッドデザイン賞受賞型枠木材のトレーサビリティ認証スキーム

[グッドデザイン賞]

コンクリート建築で型枠材に多くの木材を使う日本。
認証木材の取引量を増加させ、生産地の持続可能な森の再生を促進する。

コンクリート型枠に木材を利用するのは日本独自。土地の形状に合わせて建物を作る必要上、加工しやすい木材の型枠が主流となっている。
現状では、マンションの建築で利用する木材のうち、型枠材が約45%を占めている。この木材は主にマレーシアなど東南アジアから輸入しているが、生産地では伐採が禁止されている森林から木材を切り出す企業や木材の窃盗により、森の消失や優先利益に伴う児童労働等が問題となっている。
このような状況を改善する為には「持続可能で健全な経営を行っている森」から生産された型枠木材を使用することが必要だが、型枠への認証材利用の関心の低さや、管理・監査のルールが無いことから、認証材は取引全体の約14%とまだまだ少ない状況であり、木材生産地の森の再生を促進させるためには、コストがかかっても認証材が流通過程で混在しない、管理・監査の仕組みを新設すべきと考えた。

Before

国内流通過程において、型枠木材のトレーサビリティを実現するための認証システムは存在していなかった。
このため海外から認証材を購入するモチベーションが保てず、国内を流通する約86%が非認証木材となっている。

Before

【課題】

  • 関わる企業が多く、ルール統一が難しい。
  • そもそも木材を選別・管理する文化がない。
  • 管理・運営コストが甚大にかかる。
  • 第三者的に審査する機関が無い。

After

既存の監査会社と協力し、型枠木材の流通過程における認証スキームを創出した。
複数の業種間において管理・運用ルールを統一し、第三者機関による認証を開始した。

After

【効果】

  • 手順通りに進めることで、木材の管理記録が可能になる。
  • 認証材とその他の材料が混在せず、流通過程でも在庫管理・出所の識別ができるようになる。
  • 型枠に使用される木材の出所・流通が作業日報で客観的に管理され、認証材の型枠が確実に指定のマンションに届くようになる。

木の守PROJECT

三菱地所レジデンスでは、2016 年に分譲マンションでは初の二重床下地合板におけるFSC 部分プロジェクト認証を取得する等、木材のトレーサビリティの向上に寄与する国産材及びFSC 認証材を積極的に採用してきました。
それらを背景とし、地球環境を守り、未来につながる木材利用の推進を目指す「木の守PROJECT」を始動させました。
型枠木材トレーサビリティの取組みも、「木の守PROJECT」の一環です。

木の守PROJECT

「木の守PROJECT」の活動を通じ、合法木材や国産材の活用、リサイクル、新築分譲マンションに使われる型枠木材のトレーサビリティの向上により、違法な木材を極力使用しないよう協力業者に働きかけるなど、森を守り、人々の暮らしを思う輪を広げてまいります。

「三菱地所レジデンスのサステナブルな取り組み」について、以下サイトよりご覧ください。

三菱地所レジデンスのサステナビリティ

審査員の評価コメント

いかに地球全体で、木材の生産や持続可能な仕組みや流通を作ると良いかを考えた際に、劣悪な生産地の労働環境を変えるために、認証している材料を日本の流通でも顕在化し、材料が常に生産地とつながるスキームとなることが素晴らしい。このようなデザインがスタンダードになると、日本の建築業界でも世界標準の木材流通の考え方やトレーサビリティのチェックが効くようになるので、今後は、この価値を業界全体に広げていくことが大切である。

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