2021年度グッドデザイン賞受賞ザ・パークレックス 大濠公園
2021年10月20日
大濠公園前の立地を活かし、
宿泊機能に留まらない街と公園のインターフェイスを実現
テイクアウトカウンターで買ったコーヒーを片手に大濠公園を散策し、ランニング帰りにはシャワーを浴びてカフェでゆっくりくつろぐ。
泊まりの日には5階の大きなコモンルームで大濠公園の緑を眺めながら仕事が出来る。公園と街をつなぐ結節点となる施設を目指した。
※ザ・パークレックス 大濠公園は、『UNPLAN Fukuoka』として運営しております。
1F ホステルレセプション
スタッフと宿泊者、利用者に自然と交流が生まれるように、長いカウンターで仕切るのではなく、境界を作らず、小さな家具を囲むようにして交流が生まれるようにしている。
POD & ドミトリーユニット
元々オフィスであった広い空間を家具で空間を仕切り、一定のプライバシーを確保しながら収容人数を最大化した。
オーナーズストア
建物オーナーであるブルーミング中西のハンカチ店を1 階の一部に残した。ハンカチの文化を外国へ広めたいというオーナーの想いを宿泊施設マッチさせた。
エントランス&コーヒースタンド
1F カフェ&ラウンジ
5F コモンルーム
ランニングステーション(ロッカールーム)
ランニングステーション(シャワー室)
レンタルサイクル
「Re ビル事業」初の宿泊施設へのコンバージョン
本プロジェクトは2014 年に三菱地所レジデンスの新規事業として始まった「Reビル事業」スキーム(2015 年に「築古ビルのバリューアップ転貸事業」でグッドデザイン賞ベスト100を受賞)を用いている。オフィスだけではなく、飲食・物販店舗や共同住宅、シェアハウスなど多様なアセットへ転用を行なっており、宿泊施設は本物件が初となる。
Reビル事業 基本スキーム
1.経年建物を当社が一括してマスターリース(約10~15年)
空室の有無にかかわらず一定の賃料をお支払いする、空室保証型の定期建物賃貸借契約を結びます。
そのため、マスターリース期間中は安定した収入が得られます。
2.当社がリノベーション工事を実施
建物の現況を極力活かしながら、新たなコンセプトに基づき、ニーズを捉えたリノベーション事業を提案、実施します。
※耐震補強工事等の建物の根本的工事以外は当社が負担します。
3.当社がテナントに転貸
テナント様と当社で転貸借契約を結びます。
オーナー様はビル賃貸から手離れすることが可能です。
清掃・警備などの管理、建物の修繕、テナント募集の広告宣伝や仲介手数料なども当社が担当・負担します。
4.リース期間終了後、リノベーションしたビルを返還
マスターリース期間終了後、建物の現状有姿にてオーナー様に返還します。
結果的に少ない投資でリノベーションした建物が戻るため、その後も賃料収入を得られます。
一部に建物所有者の物販店を残し、
事業を想起させる仕掛けを宿泊施設に作ることで物販店とのシナジーを創出
建物オーナーであるブルーミング中西はハンカチの企画販売事業は国内シェアNo.1の老舗企業。
特にこの建物は思い入れがあった為、建物の一部に所有者の物販店を残し、日本独自文化のハンカチなどを宿泊施設で活用し、宿泊者に日本文化を伝達する機会を設けた。
審査員の評価コメント
近年様々な特徴を持ったホテルができてきている。それぞれに工夫を凝らした企画が増えてきている中、この福岡の築40年のオフィスを改装したホテルは福岡の繁華街からは離れているが大濠公園に近接しているという恵まれた立地を活かし1Fにカフェとランニングセンターを設け、公園という地域資源を活性化することに一役買っている。
昨今の健康ブームによりランニング人口が増えていることを考えると十分な需要があることが予想できる。外装内装共に華美ではなくビシャン仕上げなど質感にこだわったデザインで泊まる人の居心地を考えた空間作りとなっている。企画、そしてデザイン共に地域性をうまく捉え、実現させている点が評価された。