2025年度グッドデザイン賞受賞ザ・パークハビオ SOHO 横浜関内
2025年10月15日
地域性と住まい方に向き合う。集合住宅の新たなスタンダードを目指して。
多様なライフスタイルと価値観が重視される現代、私たちは集合住宅の標準概念に対して、挑戦を試みました。
大切にしたのは、街の「地域性」とより良い「住まい方」を追い求めること。
横浜・羽衣町に息づく界隈性や風景の記憶を建築に引き込み、地域と住まいが自然につながる集合住宅を目指しました。また、豊かな住環境の実現に向けて、従来の画ー的なプランを離れ、開放的で多様な暮らしに応える空間構成を探求しました。
シンプルで洗練された外観
街とのつながり
見つめ直したこの街『らしさ』
吉田新田の開発に端を発するこの土地には、周囲（みなとみらいや馬車道、関内駅前）で断続的に続く街の刷新の足跡が迫ってきています。
一方で、商店街や街並みには今もなお、歩行者の会話や生活の気配がにじむ昔ながらの風景が残っていました。こうした「界隈性」をこの街「らしさ」と捉え、建築で受け止めることを目指しました。
周囲で街の刷新が続く傍ら、現地には「界隈性」が色濃く残る
街と建物の開かれた関係性
この街の個性を「界隈性」に見出した私たちは、その再現に取り組みました。
その一歩目が建物の足元周りの工夫です。敷地に設けた公開空地は、前面歩道と連続するようにデザイン。単なる緩衝空間ではなく、街路の延長として機能する「にぎわいの場」となっています。
歩道と一体化した公開空地
さらに、大通り公園（現地より約100m)に連なる緑のランドスケープを引き込み、街並み全体の一体感や潤いを高めています。また、1階の通りに対して連続したガラス面を採用。室内の木質空間の温もりが街ににじみ出る構成とし、街と建物が緩やかにつながっています。
大通り公園の緑の軸線を現地へ引き込む
大きなガラス張りの窓から室内の温もりが街へ表れる
“地域のもの”であることの象徴である貝塚を想起するデザイン
1～2階の基壇部デザインには、この土地に残る歴史と文化を投影しました。
周辺一帯にはかつて貝塚が点在し、儀礼の場等として地域コミュニティにとって特別な意味を持っていたとされています。
そうしたこの土地の記憶に着想を得て、地層が立ち上がるようなファサード（建物正面の外観）を構成。街と切り離されがちだった集合住宅を、街に開かれた存在として再定義する象徴的な意匠としました。
コミュニティの接点を生み出す工夫
地域が持つ「界隈性」を建築全体に取り込むことを意図し、1階と屋上階をシェアスペース化しました。
特に1階には地域住民も利用できる開かれた空間を設け、居住者のみならず地域にとっても心地よい「サードプレイス」として機能しています。
あわせてファサードにおいても、街への立ち現れ方を再考しました。従来の集合住宅ではバルコニーに生活感や設備が露出し、街並みに雑多な印象を与えてきました。本計画では柱・梁を建物外側に出すことでそれらを隠し、落ち着いた外観を実現。街の風景に自然に溶け込み、背景として静かに佇むファサードを目指しました。
躯体の隙間に住空間を埋め込んだような外観
新たな住まい方
土間と逆梁が生む、明るく豊かな暮らし
従来の集合住宅では、画ー的な住戸プランや空間構成が主流であり、多様なライフスタイルに十分に応えることができていませんでした。
特に、定期的な入居者の入れ替えがある賃貸集合住宅においては、柔軟性の欠如が課題となっていました。また、20~30m2台が中心の住戸では、閉鎖的で暗く、狭さを感じる空間が生まれがちでした。今回の計画では、住戸の廊下を排除したプランを採用。住戸の玄関周りに広がる土間空間を共用部との接点として設けることで、専有部との境界が緩やかにつながり、居住者の多様な暮らし方に対応できる柔軟な空間構成を実現しました。さらに、逆梁構造を採用することで、天井いっぱいまで開口部を確保。外光が室内に効果的に降り注ぎ、空間の広がりと明るさを感じられる、開放的な住戸が生まれています。
空間を最大化する工夫
本計画では、日々忙しく生活を送るアクティブな方へ向けて様々なシーンに応える空間を目指し、 18m2台～60m2台まで、合わせて12種類の多様なプランを用意しました。18m2台プランでは、壁面に収納可能なベッドを開発しました。ベッドを壁面に収納して居室面積を最大化することで、家族や友人を招き、賑やかに過ごすこともできます。また、食事を外で済ませる方に向けて、キッチンと洗面化粧台の機能を1つにまとめた住設機器を採用しました。限られたスペースでも快適で、効率的な生活が実現しています。
審査委員の評価コメント
従来の集合住宅らしさを感じさせないモノリシックな外観が特徴的である。一見すると閉鎖的とすら感じさせる外観だが、内部プランは実に丁寧に設計され、無駄な廊下もなく、建具を開け放てばワンルームとしても使えるようなフレキシビリティも兼ね備えている。外観からは想像もできないほどに明るく開放的な空間は心地よく、住む人が楽しく生活を組み立てていくことのできそうな場となっている。また低層部の共用スペースが地域に開放されている点も、従来の集合住宅にはない素晴らしい試みである。今後は、地域インフラとしての役割も担っていくことになるのだろう。これからの集合住宅がモデルにすべき数々の試みがここにはある。
賃貸マンション「ザ・パークハビオ」
その瞬間に、心がはずむ。
ここで暮らす一瞬一瞬が、心はずむものであってほしい。
その想いから生まれた、三菱地所レジデンスの賃貸マンション
「ザ・パークハビオ」。
マンション分譲事業で培った高い基本性能・品質とその洗練されたデザインで、
上質な住まいを提供します。ザ・パークハビオだからこそ、実現できる
「私の（io）住まい（habitat）」を。
