ライフオーガナイザー 会田麻実子さんが2013年 EYE'S PLUS KITCHEN - アイズプラスキッチン 開発の秘密に迫る!

ライフオーガナイザー 会田麻実子さんが
2013年 EYE'S PLUS KITCHEN - アイズプラスキッチン 開発の秘密に迫る!

東京・赤坂にあるEYE‘S PLUS LAB(アイズプラス ラボ)は、お客様の目線にプロの視点を加えて「新たな価値をプラス」していく三菱地所レジデンスのものづくりの取り組み「EYE’S PLUS」の拠点。当社の“ものづくり研究所”です。

そのアイズプラス ラボに会田さんが潜入! 以前の記事でもアイズプラスキッチンをチェックしましたが、今回は商品企画部の渡辺尚子さん(写真左)、櫻井紅美さん(写真右)にお話を聞きながら、アイズプラスキッチンの秘密に迫ります。

シンク下は開き戸に。あえてプロの目線で。

渡辺 アイズプラスキッチンのポイントは3つあります。1つめは、キッチンカウンターに23cmの立ち上がりをつけたこと。2つめは、収納場所を明確にしたこと。そして3つめは、作業スペースを広げたことです。幅は2m40cm、標準的な面積・間取りのマンションに合うようにつくられています。


会田 前回からちょっと気になっていたのですが、シンク下の収納は最近多くなっている引き出しではなく、開き戸なんですね。


渡辺 さすが、いいところに目をつけていただきました。アイズプラスキッチンではあえて、シンク下を必ず開き戸にしています。これは本当に「あえて」と力説したいところです。アンケート調査では、シンク下には大きな鍋や使用頻度の少ない調理家電を収納している、という結果になりました。よく使うものならば引き出しが便利ですが、大きなものの収納には開き戸の方が使いやすい。

櫻井 また当社のマンションにはディスポーザーがついています。シンク下を引き出しにすると、引き出しの箱の部分に切り込みができて、収納量が落ちてしまいます。開き戸か引き出しかというアンケートでは「引き出しの方がいい」というご意見も多かったのですが、ここはあえてプロの目線で開き戸にしています。


会田 自宅のキッチンは引き出しで、ディスポーザーがついているので、切り込みがあって使いにくいです。それに排水管の清掃などメンテナンスの時には、大きな引き出しを全部外さなくてはならないので大変です。


引き出しの方がいいという人は多いですが、高さを有効活用できずに収納量が減ってしまうケースも多いです。あえて開き戸を採用していることは大きなポイントだと思います。

決断!シンクを小さくして、作業スペースを広げる

会田 アイズプラスキッチンのポイントの3つめに、作業スペースを広げた、とありました。それだけ聞くといいことだらけですが、作業スペースを広げるためにシンクを小さくしたのですよね。それも大きな決断ではなかったですか?


渡辺 もちろん抵抗感はありました。ですが、まず作業スペースを広くすることを第一に考えました。そのなかで、シンクを小さくするという案について「本当に小さいと使いにくくなるのか」を実際に試作品をつくって検証してみました。


試作品では、作業スペースを15cm広げる場合、どこを広げたらよいか、「真ん中」「シンクの脇」「ガスコンロの脇」と3種類つくって検証しました。洗いカゴを置くことを考えればシンクの脇という選択肢もありましたが、実際に試していただいたり、グループインタビューを行ったところ、真ん中が大きな支持を集めました。

櫻井 あわせて皆さんのライフスタイルについて調べたところ、食事のスタイルが大きく変わってきていることがわかりました。毎日家で夕食を取る人は多いのですが、家族一緒に夕食を食べている回数は、実は週2回だけ。つまり、平日は家族一人ひとりがそれぞれの生活リズムに合わせて食べている。家族揃って夕食を食べるのは週末だけ。ライフスタイルの変化とともに、キッチンの位置づけ、役割もどんどん変わっています。


渡辺 平日の夕食は買って済ます人が多いこともわかりました。平日に家でつくるのは、ご飯とお味噌汁とサラダの3品。メインのおかずは買ってきて済ます。それなら以前より洗い物の数も減り、さらにアイズプラスキッチンには食洗機が標準装備されていますから、シンクが小さくなっても問題ないはず。そのようにライフスタイルの変化を実感できたことで、シンクの大きさなどキッチンも変化して大丈夫、むしろ変化させるべきと決断することができました。


会田 シンクは大きなものと比べたら「少し小さいかな」と感じる人もいそうですが、この大きさだからといって「あの鍋が洗えないかも」と心配になるような人はいないと思います。逆にシンクが大きいと洗い物をそのまま放置しがちですよね。大き過ぎないことも大事です。


私がアドバイスさせていただくお客様には「人を呼んでホームパーティーができる家にしたい」という人が増えています。ホームパーティーを開けるようになることが最終目的。そう考えると、キッチンの作業スペースは大きい方がいいですよね。

吊り戸棚は、敢えて1つだけ

渡辺 吊り戸棚は、キッチンの開放感と収納のバランスを考えて、45cm幅のもの1箱だけにしました。さらに内部の形状にこだわって、必要な物がきちんと収納できる工夫をしました。


会田 扉を閉めたままキッチンペーパーを使える工夫は、前回知ってビックリしました。本やまな板を収納できることもよく考えられていると思います。


櫻井 まな板はサイズ違いや肉用、野菜用など使いわけている人も多く、一家に1つだけではありません。その割にはこれまで、収納場所についてはあまり考えられていませんでした。


会田 シンクの横に立てかけたり、困っている人は多いですよね。


渡辺 使ってすぐしまうわけではなく、乾かしてからしまうのであれば、取り出しやすいところに明確な収納場所をつくろうと考えました。


会田 「絶対にここに置いてください」というわけではなくて、収納できる場所があると思えるだけで、いろいろ決めやすくなります。どこに入れたらいいかわからないものは、そのままになりがちですからね。

取り外しできる調味料ラックは細かい改良を重ねる

会田 調味料ラックの上の部分は取り外しできるのですね!


渡辺 持ち手まではつけていませんが、可動式になっています。調味料ラックはカゴのみだったのですが、スパイスを入れると底が網目で安定しないという意見があり、2015年4月に見直しをした際、底に敷板を入れ、カゴの中央に「あばれ防止バー」を追加してスパイスが滑らないようにしました。


会田 すごい気遣いですね。調理中には取り外して近くに置いてもいいし、ダイニングにそのまま持って行ってもいい。


根菜ストッカーもいいですよね。「根菜は、どこにしまえばいいのですか」って、多くの人から聞かれます。


櫻井 玄関やベランダなど、キッチン以外の場所に置いている人も多いですからね。


会田 収納って「足りない、足りない」とおっしゃる方がほとんどですけど、家のサイズが決まっている以上、無制限に広げることはできません。だからこそ、それぞれの収納場所を明確にすることが大切です。



収納に関するモノサシを提示する

渡辺 特にマンションでは「収納は、このように考えています」と言えるモノサシを提示することが大切だと考えています。それがないと「足りない」とおっしゃっている方に対して、私たちの考え方を伝えることができません。


収納を広くするためにリビングが狭くなっては本末転倒です。いいバランス感の中で、必要なものが、それぞれふさわしい場所に収納されている。「こんな暮らしをしてみませんか」と私たちからご提示して、そして実際にお住まいになった皆様から、「こういう使い方がある」「こんな工夫をしている」と教えていただき、どんどんブラッシュアップしていきたいですね。


会田 今日、お話を伺って、お客様と真摯に向き合った結果から、アイズプラスキッチンが生まれていることを実感しました。それにアイズプラスキッチンが目指していることと、私が収納のアドバイスを通してお客様にお話していることは同じです。


最近は、テレビや雑誌の影響で、何も置いていないまっさらな状態にしたいと思う人もおられますが、何もかもしまい込むのではなく、日常的に使うものは使いやすい場所にあり、全部しまいたいときには、そのための収納場所がある。収納場所を明確にしつつも、使う人の思いやニーズで自由に使える。そのひとつの回答と今日、出会ったように感じました。


Text:太田綾子
Photo:広井一成(H2studio)

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