「みやこ杣木」の認証を受けた北山杉
- 木の守プロジェクト
京都の木を、街の記憶に
新築分譲マンションへのみやこ杣木の導入
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京都市では現在、京都三山の美しい景観を再生し、次世代へとつないでいく取り組みを進めています。そんな中、京都市との対話を通じて、「市内産の木材をもっと建築に活用していきたい」という想いに触れる機会がありました。三菱地所レジデンスでは「木質化」に取り組んでいる背景があり、その想いに共感。2026年完成予定の新築分譲マンション「ザ・パークハウス 京都聖護院」では、京都市の木材活用方針をふまえ、京都市認証材「みやこ杣木(そまぎ)」の活用を意識したものづくりを進めています。
京都市が進める“木の地産地消”
「杣木(そまぎ)」とは、杣山(そまやま:材木用の樹木が茂った山)から伐り出された木材を指す言葉。「みやこ杣木」は、京都市内の森林で育ち、適切に伐採・加工された製材品や合板に与えられる認証の名称で、京都市が「森林の地産地消」を進めるために設けた制度です。(※1)
三菱地所レジデンスはこれまでも「木質化」を推進するワーキングチームを立ち上げ、木の魅力を活かした住まいづくりを進めてきました。その想いと京都市の方針が重なり合う「みやこ杣木」の活用は、都市と森林をつなぎ、未来の持続可能な街づくりを支える象徴なのです。
森と街をつなぐ、100年先のための選択
京都市の面積の約4分の3は森林が占めており、そのうち約4割には建築用材に適したスギやヒノキが植えられています。これらの多くは、すでに「伐って使うべき時期(標準伐期齢)」を迎えているにもかかわらず、手入れが追いつかず、放置されている森林も少なくありません。(※2)
単純に木を使うだけでは森林は守れません。伐って、使い、また植えて育てることで、初めて持続可能な資源となります。そのサイクルがひと回りするには、数十年という時間が必要です。スギやヒノキは苗を植えてから伐採できるようになるまで約40年、長いものでは100年かかるともいわれています。今日植えた木が使えるのは、子や孫の世代。だからこそ、いま木を使うことが、未来の森を育てる一歩になるのです。
もし循環が滞れば、森は荒れ、土砂災害や生態系への影響も避けられません。木を使うことは、私たちの暮らしや地域を守る行為でもあります。
・地球温暖化の防止(CO₂を吸収・固定)
・きれいな水の供給(森林が水を蓄え、浄化する)
・土砂災害や洪水の防止(健全な森林が地盤を支える)
・自然とふれあえるレクリエーションの場の提供
・地域経済の活性化(林業、製材業、建設業などへ波及)
(※1)
都市の暮らしと森林が切り離されがちな現代。だからこそ、街づくりを通して森とつながることは、環境・社会・経済の持続可能性につながっていくのです。
“見える場所”に京都の木を使うという選択
現在建設中の「ザ・パークハウス 京都聖護院」では、木軸や共用部の一部に京都市内産の木材「みやこ杣木」を取り入れる予定で、木質化を積極的に進めています。
注目すべきは、”見える場所”でもある共有部にも用いる予定だということ。
天然木は木目や節の出方が均一ではないため、これまで見える場所に使うのは難しいとされてきました。そうした中、三菱地所レジデンスでは担当者が実際に木の質感や表情を確認しながら採用を決定。“見える場所”に使うことで木の魅力を伝え、その価値を再発見してもらいたいと考えています。
また、こうした取り組みと歩調を合わせるように、京都市でもこれまで手入れが行き届いていなかった森林の環境改善を進めています。木々が密集し、光が林床に届かず、生態系への影響も懸念されていたエリアも、適切な伐採を進めることで、多様な植物が育つ明るい環境へと整いつつあります。(※3)(※4)
適切に伐採された京都市内の木材を活用することは、森林環境の改善にもつながります。このプロジェクトは京都市が目指す景観を守る取り組みとも重なり、景観と森林保全の両面からの貢献となりました。
“見える場所”に京都の木を使うことから、街に暮らす人々の森へのまなざしを育てる。
街と森をつなぐ、新たな一歩です。
これからの街づくりに、京都の木を
街の中で木が使われることには、ただの建築デザイン以上の意味があります。
「ザ・パークハウス 京都聖護院」にお住まいになられたお客様がふとした瞬間に感じるだろう木の香りや、やさしい手触り。そうした何気ない体験は、心地よさをもたらすだけでなく、森や環境について考えるきっかけになれば――と担当者は願っています。
「ザ・パークハウス 京都聖護院」のモデルルームで使用されているみやこ杣木。
※ダイニングテーブルとアクセントウォールに使用
モデルルームのアクセントウォール(みやこ杣木で制作)
木の魅力にふれる毎日が、都市と森林のつながりを意識する一歩になることを願い、三菱地所レジデンスでは、これからも京都エリアの物件において、地元・京都の木材を積極的に活用していきたいと考えています。
京都の木を使うという選択が、やがてこの街の風景となり記憶となっていく。
森と街、暮らす人と自然、そして今と未来をつなぐ京都ならではの街づくりが、ここからはじまろうとしています。
出典一覧
- (※1)京都市『京都の木を使った建物や空間のススメ』(令和5年度)
- (※2)京都市の木材利用に関する現状(令和6年8月)
- (※3)京都市都市計画局『京都市三山森林景観保全・再生ガイドライン』(2011年)
- (※4)京都伝統文化の森推進協議会『古都の森・東山を歩いてみませんか』
※この記事の内容は2025年9月18日掲載時のものです。
この取り組みに関する物件
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