- 廃棄物削減
木の端材がつなぐ、
暮らしの安心と森の未来
木軸端材を使ったマグネット&入居後連絡先一覧表
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入居したお客様が安心して暮らせるように。三菱地所レジデンスでは、日々の「ちょっとした不便」を解消しながら、サステナブルな価値を加える新たな取り組みを進めています。今回は、木軸端材を利用したマグネットと、入居後の連絡先一覧表を組み合わせたユニークなプロジェクトをご紹介します。
※木軸端材とは、マンション建設時に使用する木軸をカットした際に発生する端材のこと。
冷蔵庫の光景から生まれた、お客様目線の工夫
電子化が進んでいるものの、マンションのご契約から引渡しまでには、まだまだ多くの書類を保管していただく必要があります。その中には、管理室やコンシェルジュカウンター、メンテナンス窓口など、暮らしに欠かせない大切な連絡先も含まれています。
しかし実際には、たくさんの書類の中に埋もれてしまい、必要なときにすぐ取り出せないこともしばしば。その結果、「とりあえずの番号」に電話することが長時間の保留につながるなど、お客様のストレスになっていました。
その課題に気づいたのは、同社が実施する定期メンテナンス同行研修でお客様宅を訪問した場面でした。冷蔵庫に貼られたメモやカードの数々を目にして、「ここに必要な連絡先があれば便利ではないか」とアイデアが芽生えたのです。
こうして、マグネットと入居後の連絡先一覧表の制作が始まりました。
木材のプロと手を取り合い、アイデアを形に
この取り組みを支えたのは、木材の専門商社・丸紅木材株式会社との協業です。
マグネット制作にあたり、今回はマンション建設で発生した廃棄予定の端材を活用。その木材は、「LVL(単板積層材)」と呼ばれる、薄い木材を重ねて強度を高めた工業製品でした。
建築現場で広く使用されるこの素材に、新たなサステナブルな価値を吹き込みました。
「端材ということであまり大きく長い材料ではないので、その中で最大限魅力を引き出せるような形状を検討。捨てる部分ができるだけ出ないようにサイズを調整する等の工夫をし、弊社商品のテーマでもある『無駄なく使い切る』ということを念頭に進めています」と吉水氏は話します。
当初、端材を利用して制作するのはマグネットのみの予定で、連絡先一覧表は再生紙での制作を検討していましたが、同社の吉水氏から「間伐材を薄くスライスして印刷するのはどうか」との提案が寄せられ、プロジェクトは新たな方向へと広がりました。
連絡先一覧表には、杉の間伐材(静岡県浜松市産)を採用しました。浜松市には「天竜美林」と呼ばれる地域があり、古くは戦国時代から植林が続けられ、吉野・尾鷲と並んで日本三大人工美林の一つに数えられる場所です。美しい景観とともに、良質な木材の産地として全国に知られています。
制作中の連絡先一覧表のサンプル
吉水氏は、この取り組みに込めた思いをこう語ります。
「多くの方々に山の役割や日本の森林事情を知っていただき、木材利用の大切さや木に触れる体験をしてもらいたいと思います。間伐材を利用することで森林保全と資源利用のメリットがあり、豪雨災害に強い山の育成や未来のための資金調達に役立てると考えています。
また、現在は間伐だけでなく「皆伐」も推進しています。山からすべての木を切った後に、成長力の高い若い樹を植えることも大事です。1950年代から1960年代にかけて国策として進められた『拡大造林計画』から70年近くが経過し、すでに成長限界を迎えている山も多い。木の成長や山の保全を促す間伐も必要ですが、皆伐も同時に必要な時代に来ていることを知っていただきたいのです」
■間伐:森林の木を一部間引き、残った木の成長や森全体の健全性を保つための伐採。
■皆伐:一度にすべての木を伐採し、新たに苗木を植えて山を更新する方法。
小さなアイデアから広がる、暮らしと環境へのつながり
プロジェクトの途上では、思わぬハプニングもありました。端材をベトナムの工場に送ったところ、「大きさや形が不揃いな木材が詰め込まれているが、これは何か」ということで、X線検査で止められてしまったのです。
「幸い弊社は木材輸入商社ですので、各種証明書類が手元にあり、すぐに対応して大事を免れることができました」と吉水氏。商社ならではの経験が生きた場面でした。
そうして完成したマグネットを手にした吉水氏は、その魅力についてこう語ってくれました。
木軸端材を利用して制作したマグネット
「木材は自然が生み出す温もりや香りを持ち、一つ一つ異なる木目や表情が魅力です。マグネットの素材であるLVL(単板積層材)は工業製品で均一な品質や見た目が特徴ですが、それでも加工すると一つ一つ表情が違います。やはり木材なのだなあ、と感じました」
丸紅木材には、加工の段階で発生する端材の有効活用にご協力いただき、廃棄物削減に取り組みました。
同社では現在、ベトナムで植林した木をもとに、LVL製造から輸出、建設、端材利用、そして再び植林へとつなぐ、循環型の仕組みづくりにも挑戦しています。
打ち合わせ時の様子
「木材は環境にも優しく、安心して未来へつなげられる再生可能素材です。『伐って終わり』ではなく、暮らしの中で形を変えながら循環していくもの。建材から日用品まで幅広く活用し、使った分は植林によって未来へ還元する。そんなサイクルが広がることで、人にも地球にもやさしい持続可能な暮らしが当たり前になる社会を実現していきたいですね」
完成したマグネットと連絡先一覧表は、「ザ・パークハウス 大阪梅田タワー」の引渡し会でお客様の手に届けられる予定です。三菱地所レジデンスにとって引渡しは終わりではなく、むしろ始まり。端材から生まれたそれぞれの制作物に込められた思いは、お客様の安心と未来の環境をやさしくつないでいきます。
※この記事の内容は2025年11月7日掲載時のものです。
この取り組みに関連する物件
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※2025年10月分譲済。