三菱地所レジデンス

京の一生もん×ザ・パークハウス

        
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手ぬぐい

永楽屋

えいらくや
2022.09.20
#サステナビリティ#細辻伊兵衛14世

その時々の潮流を映す
古くて新しい手ぬぐいの世界

古くは奈良時代に祭礼の装飾品として
用いられたと伝わる手ぬぐい。
以来、貴族や大名などの間でさまざまな色柄が
考案されて重用されました。
その後、江戸時代になると庶民の間でも
多用されるようになったといいます。
400年以上の間、
木綿問屋として商いを続けてきた永楽屋。
その歴史や時代を映す文様、
現在の取り組みについて
14世細辻伊兵衛さんにお聞きしました。

400年続く永楽屋の歴史

400年続く永楽屋の歴史

昭和7年の作品「都踊り夜景」

昭和7年の作品「都踊り夜景」

最先端デザインにこだわり作った
永楽屋の歴史と今

永楽屋は1615年(元和元年)の創業以前、織田信長より永楽屋の商標と細辻の姓を賜ったのがはじまりといわれます。以来、太物問屋(木綿問屋)として、木綿織物を商ってきました。本格的に手ぬぐいを手掛けたのは、江戸後期から。10世細辻伊兵衛の時代(大正~昭和初期)には、年間100柄以上もの手ぬぐいをつくり、手ぬぐいコレクターや愛好家を楽しませました。
「当時、京都には日本中から有名な画家たち、つまりデザイナーが集まっていました。10世は、彼らに依頼して、他にはないデザインの手ぬぐいを作っていたそうです」
その後、戦争を経て手ぬぐいからハンカチの時代が来ると、手ぬぐいの需要は減っていきます。永楽屋も、一時期は手ぬぐいではなくタオルを主に扱っていた時代がありました。そんな中、14世である細辻さんが明治から昭和初期の手ぬぐいの復刻版を製作。すると、そのデザインの面白さや使い勝手の良さなどが注目を浴び、「手ぬぐいブーム」を巻き起こしたのです。
「蔵に眠っていた当時の見本を見つけ、こんな素晴らしいものを世に出さないのはもったいないと思いました。改めて、手ぬぐいの染め織りや製造技術について勉強し直し、現時点で最先端かつ最高の技術で手ぬぐいを作ろうと決めたんです」
細辻家に入る前はアパレル企業に勤めていたこともあって、スカーフやハンカチを染める技術については知識があった。ならば、友禅や注染という昔ながらの染の技術を用いながらも、それを改良して100年先も200年先も色落ちしない手ぬぐいをつくる技術を、と力を尽くしたのです。
丁寧に手染めされる型友禅

丁寧に手染めされる型友禅

手ぬぐい 「竹林と満月」

手ぬぐい 「竹林と満月」

染め織りの品質を追求する歩みが
永楽屋を存続させる力に

永楽屋が何より大切にするのが品質です。中でも、「染め織りのレベルは妥協しない」と細辻さんは公言してきました。
染色のベースになる友禅染は、江戸時代の画家・宮崎友禅の画風を、小袖など着物の文様に応用したのがはじまり。永楽屋で用いるのは、図案をもとに型紙を作り、それを生地の上に置いて染める型友禅です。伝統技法に則り丁寧に手染め。一色につき一枚の型で染めることから、多色使いの文様では何枚もの型を要するそう。複雑で多彩な文様を鮮明に染め出すには、熟練の職人技が必要です。
基本的に手ぬぐいは、少しでも速く乾燥させることや、縫った部分に菌が発生することを防ぐため、切りっぱなしになっています。糸の質によってはほつれてくるものもあるといいます。
「当社の手ぬぐいは、生地も最上質だから、縫製せず切りっぱなしでもほつれてこない。ほぼ原形のままで長く使えるのは、糸の力があるからです」
綿100%のオリジナル生地を使い、不純物を取り除く「さらし」の工程を、一般的な手ぬぐいより時間をかけて行います。きめが細かく目のつまった生地は、滑らかで上質な肌触り。何度か洗うと多少やわらかくはなるものの、その風合いや上質さは変わりません。
美術館には歴史ある貴重な作品が多数展示

美術館には歴史ある貴重な作品が多数展示

「金継ぎ」を手ぬぐいで表現

「金継ぎ」を手ぬぐいで表現

サステナビリティを実現する
手ぬぐいの可能性と未来

「木綿は天然繊維だから土に還るんです。ゴミにはならない。そういうことを考えても、これからの時代に添っています」と細辻さん。14世を継いでから年間50~100種の新作を精力的に制作。保存してあった歴代の手ぬぐいの数を、すでに凌いでいます。
「手ぬぐいは、実用的なものであるとともに、アートでもあります。今の時代を反映するデザインを未来に残すことが大切。さらには、伝統工芸の技を継ぐためにも作り続けるべきものです。『繁栄=最善』ではなく、イノベーションだけが最良ではありません」
そんな手ぬぐいを未来にも継ぐためにと細辻さんが取り組んだのが「細辻伊兵衛美術館」の開館です。展示されるのは単なる手ぬぐいコレクションとは一線を画すもの。現存する最古の手ぬぐい(江戸後期・円山応挙作)や400年に亘り作ってきた、その時代の流行や経済、時事などを反映したものです。
「一枚の手ぬぐいから、ファッションや人々の嗜好、街の造りまでが見て取れる。さらには、当時の手ぬぐいのデザイン性や染め織り技術のレベルも分かる。まさに学問の集結とも言えるものです」と細辻さんは言います。
「この美術館を開いたのは、唯一無二の永楽屋の手ぬぐいを、国内外の多くの方に観ていただきたいから。世界にまで広げ、日本文化の真価を問いたいですね」
手ぬぐいは、ハンカチや布巾のように使うだけでなく、プレゼントのラッピング用にも、エコバック代わりにも、また額装すれば絵画のようにと、一枚で何通りにも使える優れものです。次の15世の時代には、さらなる改良やアイデアでより幅広く使われるようになってほしいというのが、細辻さんの願いです。
技術や潮流の学びの場が、
京都にはある

京都は世界の財産です。京都にしかないものがたくさんある。うちが作る手ぬぐいもそのひとつだと自負しています。世界遺産もあれば自然もある、食文化、伝統芸能、日本建築と挙げればきりがない。町そのものが歴史博物館です。それは百年やそこらでできるのもではなく、千年以上の時間を費やしたからこそです。うちの手ぬぐいもご先祖さまが残してくれたものですが、今や自分達だけのものではない。そんな文化遺産を伝えていくのが、私の役割だと思っています。ひとりでも多くの方に先人が残したものを見ていただく。それこそが継承です。さらに言うならば、そこには学びがあります。学びは私にとっても一生ものです。生きて暮らすことのなかには、さまざまな学びがあります。美術館を開くことで、芸術やエンターテインメントに興味がある人にも来ていただける。学びの場をつくることも、一生涯をかけてやっていきたいことのひとつです。

永楽屋14世 細辻 伊兵衛
永楽屋14世 細辻 伊兵衛
永楽屋
(えいらくや)
細辻伊兵衛美術館
(ほそつじいへえびじゅつかん)
所在地
/ 京都市中京区室町通三条上ル役行者町
368
交通
/ 京都地下鉄烏丸線烏丸御池駅より
徒歩3分
細辻伊兵衛美術館
※記載の写真、内容は取材当時(2022年6月)のものです。
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