2017年度グッドデザイン賞受賞ザ・パークハウス 市谷甲良町
2017年10月04日
「自然を感じる開放的な暮らし」と「地域の住環境向上」の実現
「ザ・パークハウス 市谷甲良町」の建設地は、かつて江戸幕府大棟梁の甲良氏の屋敷があったことに由来する「市谷甲良町」の一角。中小の住宅群が肩を並べるこの地において、「自然を感じる開放的な暮らし」と「地域の住環境向上」を実現させる集合住宅を目指しました。
不規則に配置したバルコニーと庇がもたらす「暮らしの付加価値」と「街並の付加価値」
広葉樹がバルコニーとバルコニーの間に入り込むように庇を雁行させ緑との有機的なつながりを創出するとともに、住戸ごとにバルコニーを単独で設けプライベート感あふれる空間を創出。また、住戸ごとに分節したバルコニーを不規則に配置することで、建物に立面的な軽やかさをもたらし周辺環境への圧迫感を軽減させています。日本の伝統色である紫鳶色の外観と和名植栽による沿道形成が相まって、歴史を纏う甲良町の風景の一部として溶け込む建物を実現しました。

バルコニーとバルコニーの間に入り込む広葉樹

狭小幅員の前面道路に退避スペース

エントランスアプローチ

ラウンジ
審査員の評価コメント
バルコニーと庇がランダムな水平ラインをつくり、全体の量感を抑えるとともに、建物に表情を与え、また暮らしの表情を程よく周辺ににじませている。その場所の歴史的なコンテクストに呼応しようとしたデザインが、集合住宅というスケールの中で、相応しいデザインとすることが案外に難しい中で、この計画は、そうした歴史的な背景と現在の周辺状況をうまくつないだデザインとして成功していると言えるだろう。