2021年度グッドデザイン賞受賞瀬田の杜 Garden & Terrace
2021年10月20日
まちにおける「ゆとりある新たな拠点」づくり
余白×多様性
駅からやや距離のある世田谷区瀬田エリアに位置する本計画は「地域に貢献するまちづくりがしたい」という土地オーナーの想いによって始まりました。
先祖代々受け継いできた所有地の活用を検討するにあたり、まず、計画地をかつての瀬田の風景=木々が茂る「杜」のような場所に戻すことを目指しました。
【 地域の人々が集う空間 】を実現
本計画では、第一種低層住居専用地域である当該敷地の許容容積率100%に対して、消化容積率を68.6%に留めました。また、「一敷地一建物」という前提で建築することによって建物が大きくなりすぎることを避けるために、道路を隔てた3敷地合計で9,330.89㎡という広大な敷地をさらに9つに分割し、多棟構成としました。
そして街の拠点・新陳代謝のきっかけをつくるために、本計画は【地域の人々が集う空間】として、共同住宅を中心に店舗付住宅、SOHO、クリニック、保育所、集会室など「居住機能に捉われない様々な用途」を建物に持たせました。さらに、かつての風景である「杜」を再現するために、ひとつひとつの建物ボリュームを分節・雁行しながら配置することで余白を生み出し、その余白が「にぎわい広場」「こもれび広場」などの、人々の居場所となる空間を創出できるよう計画しました。
【 多様なライフスタイルを選択できる空間 】を実現
居住者の方々が【様々なライフスタイルを選択】できるよう、住宅用途として、共同住宅の他にメゾネット形式のタウンハウスを設けました。
住戸プランについても、幅広い面積帯の住戸を設けながら、防音室、ライブラリースペース、縁側テラスと称したスペース、庭とつながる土間を持つ住戸等、様々な空間を提案することで、趣味や在宅ワーク、子どものスペースなどのライフスタイルに合わせた利用を可能としました。
住戸を特徴づける “+αルーム”
縁側テラス
土間テラス
防音室
ライブラリー
LDニッチスペース
リビング・ダイニング
審査員の評価コメント
低層の住宅地に、複数のデザインコードで住宅や店舗を挿入した、大変興味深い計画である。デザインコードが複数あることで、計画として周囲から浮かず、まちなみに溶け込みやすくなっている。陸屋根の店舗が動線の要となる場所に配されるなど、実際のデザインと全体計画が適切に連動していることも秀逸である。一方で、地域づくりとしての要となるであろう店舗などの非住宅要素がもたらすものについては、これからの展開が期待されるところである。