エコで暖かい暮らしを手に入れる!知っておきたい住まいの選択肢
2024年11月28日
家へ着いて玄関を開けたときに感じるホワっとした暖かさ。一気に気持ちが緩み、心も身体も安心感に包まれます。寒い季節は体調管理も大変です。室内を快適な温度に保つことは、実はとっても大切なこと。同時に、環境への配慮や長期的な経済的メリットを考慮した住まい選びも求められています。この記事では、気軽にできる「暖かい部屋」の作り方と、ZEHなどこれからのマンションに必要なことを、三菱地所レジデンスの取り組みを通してご紹介いたします。
まずは、今住んでいる部屋を暖かくするちょっとしたアイデア
冬場の寒さを防ぎ、暖かい部屋を作るための基本的な対策には、断熱や隙間風対策、そして暖房設備の効率的な利用が挙げられます。
まずは、窓やドアからの熱の出入りを防ぐこと。窓を覆う断熱シートや裏地のついたカーテンや保温効果の高い起毛素材など厚手のカーテンを活用することで、室内の熱が外に逃げるのを防ぎます。
カーテンやカーテン周りを工夫することで、室内の断熱効果もアップ(イメージ)
次に暖房設備やエアコンなどの使い方も気をつけてみましょう。効率的な暖房を実現するために、エアコン使用時に冬もサーキュレーターを併用することで部屋全体を均一に暖めることができます。
もし部屋に床暖房があり、エアコンに比べて光熱費が上がることが気になるのであれば、床暖房の点け始めにエアコンと併用することをお勧めします。できるだけ早く室温を上げることで、床暖房がハイパワーで稼働する時間が短縮でき、光熱費の節約につながります。
床暖房とエアコンを効率的に使用することで、部屋全体を早く暖めることができ、光熱費の節約にもなる(イメージ)
視覚的・感覚的に暖かさを演出する方法もあります。
例えばカーテンやクッションなどを衣類のように衣替えしてみるのはいかがでしょう。クッションやソファのカバー、床に敷くラグなど、素材を変えるだけで部屋が暖かい雰囲気になり、触れると温もりも感じられます。暖色系で、ウールやフリース素材のものだと、入手もしやすく気軽に取り替えができそうです。素材一つで部屋全体の雰囲気が変わり、冬仕様になるのが魅力です。
ファブリックの素材を冬用に変えるだけで部屋が暖かい印象になる(イメージ)
そして上級者コースとしておすすめなのが、照明と香りです。
こちらは直接暖かい部屋をつくるものではないですが、五感で暖かさを演出できます。電球を白熱色のものに変えたり間接照明にするなど、ちょっとしたテクニックで暖かく落ち着いた雰囲気に。香りはホリデーシーズンに合わせたフレッシュな松の香りや、スパイシーなシナモンの香りがおすすめです。
香りや照明で、暖かさを感じる室内を演出(イメージ)
環境に優しいだけじゃない。
ZEH (ゼッチ)マンションに住むメリット
近年、環境意識の高まりとともに注目を集めているZEH(ゼッチ)マンション。CO2削減や快適な住まいをカタチにした、断熱性やエネルギー効率に優れた省エネマンションのことです。時代は個人の工夫によって快適な住まいにするフェーズから、建物の断熱性能を高めることで、家全体で快適な住まいを実現するフェーズへ、政府目標としてZEHの普及に向けた取り組みを行う時代に移行しています。ZEHマンションは、補助金や税制優遇などの適用も多いほか、大きく4つのメリットがあります。
1)断熱性能の高い住まいになる
住宅における断熱とは、断熱材などを使用して住宅内から外へ、または外から住宅内への熱の移動を遮ること。等級が上がるほど断熱性能も高くなります。現在一般的な新築マンションの断熱性能は等級3と言われていますが、これを等級4にすることが2025年に義務化されます。ZEHマンションは断熱性能が等級5以上です。
2)住み心地の良い住まいになる
高断熱・高気密なため、熱が逃げにくく室内の温度が安定します。その結果、冬場でも足元まで暖かい、室内の温度ムラが少ない快適な空間となります。
3)光熱費が削減される
断熱性能等級5以上となるZEHマンションは、等級3以下のマンションと比べて断熱性能が高いため、エネルギー消費量も削減できます。高断熱の壁や窓、高効率の空調、換気、給湯、照明を導入することで、エネルギー消費量を大きく削減できます。
4)高い断熱性能は健康を作る
高断熱・高気密のZEHマンションでは、冬の室内は暖かくなり、断熱と換気の強化でカビ等の発生が抑制されます。WHO (世界保健機関)は冬季室温18°C以上を強く勧告していますが、暖房を上手に使うことで廊下や水回りも18℃以上とすることができます。
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- 2)3)4)の画像は、面積、階数及び日照などは同条件とし、断熱性能及び機器性能については設定条件によるシミュレーションをイラスト化したものであり、実際の建物ではございません。
永く快適に暮らすために、
マンションは基本性能から選んでいく
快適な住空間とは何か。三菱地所レジデンスは、2010年から導入を開始した太陽光発電「soleco(ソレッコ)」をはじめとして、断熱はもちろん環境に優しい住宅について、早い時期からこの問題に真摯に取り組んでいます。2022年には「CO2排出量を2030年までに2019年比で50%削減する」という全社目標を掲げて、それ以降に設計開始したマンションは断熱性能等級5級以上に設定されています。今後主流となるZEHマンションへの取り組みについて、経営企画部の渡辺尚子さん、澤野由佳さん、そして商品企画部の中村摂子さんにお話を伺いました。
ーー断熱性能をZEH基準にするために取り組まれたことを教えてください。
「ザ・パークハウスをZEHマンション基準の等級5に引き上げるためにしたこととして、一つはサッシの複層ガラスの空気層の厚みを、6ミリから12ミリに変更したことです。窓の空気層が厚くなるほど、熱の伝わり方が遅くなり、断熱性能が上がります。」
「もう一つはLow -Eガラス※の設置箇所を増やしたことです。マンションの場合、向きや建物の端に位置する妻側住戸、中住戸など、部屋によって受ける環境が違います。そのため、マンション全体で基準をクリアするように調整しています。例えば、中住戸の窓には12ミリの複層ガラスを、外部環境の影響を受けやすい妻側の住戸には、外壁に断熱材を入れるとともに窓にはLow-Eガラスを、適材適所に設置するようにしています。」
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- Low -Eガラスとは、ガラスにコーティングされた特殊な金属膜が太陽の熱や部屋を暖房で暖めた熱を吸収・反射します。その効果として、夏の暑さを和らげ、冬の暖房効率を高める等、室内の快適性を高めることができます。
三菱地所レジデンス 経営企画部 渡辺尚子さん
ーー全物件をZEH化するために工夫したことはありますか。
「社外に発信したのは2022年ですが、その前から、準備をし、全社でZEH化に向けて取り組んできました。新しく物件をつくる際に、どこをどうすれば基準がクリアになるか、物件ごとに私どもが持っている知見を図面の仕様書に落とし込んでいます。2025年以降の全ての分譲販売・賃貸募集のマンションにおいてはZEH-M Orientedを標準化し、今後は老人ホームや学生マンションなどにも広げていきたいと思っています。」
三菱地所レジデンス 商品企画部 中村摂子さん
ーー今までのマンションは、立地の他にどのような設備がついているかなど、スペックで選ぶ方がほとんどだったと思います。今後のマンション選択に変化があると思いますか。
「ZEHの基準を満たすために必要な断熱を適材適所に施して、マンション全体が断熱性能をアップされていることに注目していただきたいし、そこが選ぶ理由となってほしいと思います。窓の断熱だけ考えれば、インナーサッシなど個人で設置して対応することもできますが、外壁の厚みやサッシなどの外側の断熱はマンション全体に関わることなので、なかなか後から変更することが難しいのです。」
「もちろん性能が上がっている分、購入されるときは若干物件価格が高いと思われるかもしれません。ただ光熱費は断熱性能が高い方が抑えられます。光熱費は毎月払うランニングコストですので、トータルバリューで考えていただければ、ご納得いただけると思っております。」
三菱地所レジデンス 経営企画部 澤野由佳さん
かしこく快適に暮らすヒントが詰まった
「マンション家計簿」
車を買うときに燃費を調べるように、マンションの光熱費も事前にチェックできたら安心です。「マンション家計簿」は、マンションの各住戸におけるエネルギー使用量を、冷暖房費やCO₂排出量に置き換えて、1住戸単位でシミュレーションしてご紹介します。こちらは新築分譲マンション「ザ・パークハウス」シリーズの販売時、原則全物件で作成されます。他にもザ・パークハウスで採用している設備のCO2削減量や、暮らしの中でできるエコの工夫などをご紹介。毎月かかる水道光熱費を把握することで、マンションの環境性能を知ることができます。
「マンションのランニングコストの見える化」として「マンション家計簿」は、2015年度のグッドデザイン・未来づくりデザイン賞を受賞しています。
マンション家計簿「今日からできる、かしこい暮らし方」
快適で暖かい住まいを実現するためには、自分でできる工夫だけでなく、断熱性能の向上やエネルギー効率の良い設備の導入も一つの手段です。マンション購入の検討材料として、断熱性能の高いマンションに目を向け選択すること。それが地球環境に優しい生活を送ることにも繋がります。ZEHマンションや日々の工夫により、エコでかしこい暮らしを始めてみませんか?
(テキスト)山田江理子
(インタビュー写真)清水タケシ