プロが教える!おしゃれな部屋を作る雑貨ディスプレイ術

プロが教える!おしゃれな部屋を作る雑貨ディスプレイ術

[暮らしのアイデア]

お部屋の雑貨ディスプレイに悩んでいませんか?お気に入りの雑貨や、旅先で見つけたお土産をせっかく飾ってはみたけれどおしゃれな感じにならない…と思われる人も多いのではないでしょうか。
今回は、家にある雑貨で空間を一段と素敵に仕上げる方法を、実際の店舗ディスプレイに携わるプロに教えていただきました。初心者でも実践しやすいディスプレイのコツやビフォーアフター例を通じて、おしゃれでまとまりのある空間作りのためのポイントをお届けします。

ディスプレイを成功させるため、
まず初めにすること

ものを飾ることを日常的にしている人でも、センス良く見せることはなかなか難しいもの。まずディスプレイをするための基本ルールを押さえておきましょう。

ルール1
「飾るときに必要なことは? 
先ず、片付け場所を確保すること」

「いきなり片付け?」と思われるかもしれませんが、手順を踏まえて飾っていくことが、おしゃれなディスプレイへの第一歩。

「初心者は一旦部屋をまっさらな状態にしてからディスプレイした方が全体のバランスなども確認できるのでおすすめです。そのためにもまずは日用品をしっかりと片付けられる場所、例えば物入やクローゼットなどを決めておくことが大事です。
片付けが苦手な人は、細かく整理しなくても大丈夫。ざっくりと入れておけるボックスなどを用意しておくだけでもOKです」。飾る前にお部屋が物で溢れないようにしておくことがポイントです。

ルール2
「場所はどこがベストポジション? 
大事なのは“目線”の先に飾ること」

雑貨を飾る場所は、靴箱の上や棚など空いたスペースだけでなく、「目線が集まる場所」にディスプレイしていくのがポイントです。例えば、玄関やリビングに入った時、あるいは部屋やソファでくつろいでいるときに、お客様や自分自身が目につきやすいところが飾り映えします。棚の上以外にも部屋のコーナーなど、意外と飾る場所はあるものです。その目線を意識することで、部屋全体がおしゃれな印象に変わり、ディスプレイが整っていれば片付いているように見せることもできます。逆に、郵便物や学校からのプリント、電源コードなど、部屋が散らかったように見えるものは、目線の正面にこないところに整理棚などを設置して仕舞うようにすると良いでしょう。

左画像:目線を意識にして飾った例。玄関から入ったときに目につく靴箱の上にディスプレイされた小物は、正面からでなく、手前から見た時にどう見えるかを考えて配列を決めています。奥に高さのあるグリーンを置いてメリハリもプラス 右画像:本棚の一段ずつでテイスト(色・素材・アイテムなど)を分けて飾ると、雑多な感じに見えません

左画像:目線を意識にして飾った例。玄関から入ったときに目につく靴箱の上にディスプレイされた小物は、正面からでなく、手前から見た時にどう見えるかを考えて配列を決めています。奥に高さのあるグリーンを置いてメリハリもプラス
右画像:本棚の一段ずつでテイスト(色・素材・アイテムなど)を分けて飾ると、雑多な感じに見えません

ルール3
「飾ったところをキレイを保つためには? 
普段使うものを置ける場所をつくること」

毎日使う鍵やメガネ、時計など、日常的に使うものほど、雑貨の周りの空いているスペースに無造作に置いてしまいがち。そうならないために、例えば 玄関には鍵や荷物を開けるときに使うカッターなど、その場所で必要となるものを予め想定し、ディスプレイに組み込んだおしゃれな置き場所を作ってあげると良いでしょう。物をさまざまな場所に一時置きしがちな方は、注意したいポイントです。
また、小物を入れておくためのトレイを予めセットしておくのも、散らからないようにする工夫です。「トレイも最初から位置を固定してあげることが重要です。位置さえ決めておけば、その上にどんなものを置いても不思議と散らかった感じがしなくなります。水回りでもどこでも、小物は直置きしているから散らかった印象になってしまうんです。だからトレイという“散らかり場所”を敢えて作って上げる。そしてそれをディスプレイされたところに作っておくことで、ディスプレイの一部にすることができます。これだけで片付けのストレスもかなり減ります」。

ついついカウンターに直置きしてしまい、散らかった感じになってしまう小物たち

ついついカウンターに直置きしてしまい、散らかった感じになってしまう小物たち

トレイ代わりのお皿を2枚置いて「散らかり場所」にする例。ものがないときは2枚重ねておけば、ディスプレイの一部に見えます。グリーンを横に添えることで、「散らかり場所」 に見えない工夫もされています

トレイ代わりのお皿を2枚置いて「散らかり場所」にする例。ものがないときは2枚重ねておけば、ディスプレイの一部に見えます。グリーンを横に添えることで、「散らかり場所」 に見えない工夫もされています

おしゃれにディスプレイするための、
ポイントは3つ

3つのルールを踏まえた上で、実際に飾ってみましょう。飾るときのポイントは高さ、テイスト、遊び心の3つです。

ポイント1:高さ

レイアウトを決めるときは、目線の手前から奥にかけて高さを上げていくようにします。同じ大きさや高さだけのものを飾るのではなく、一つは高さのあるものをセレクトすると、全体がすっきりとみえます。このとき高すぎて圧迫感のあるものは避けるようにしましょう。

額に入った絵、グリーン、陶器の小物と、少しずつ高さを変えることで圧迫感が軽減され、バランス良く配置しています

額に入った絵、グリーン、陶器の小物と、少しずつ高さを変えることで圧迫感が軽減され、バランス良く配置しています

ポイント2:テイストを揃える

ものを集めるのが好きな人は、いろんな雰囲気のものがたくさんあると思います。「色味」「質感」など、同じテイストのものを揃えて飾るとまとまりが良くなります。色味は寒色系・暖色系でまとめてみたり、質感はアイテムの素材や手触りを揃えるなど、共通している部分を見出してあげると良いでしょう。テイストを統一する例として、とっつきやすいのが季節感を揃える飾り方です。

~季節感を大切にして日常を豊かにする。
飾り方のインスピレーション~

それぞれの季節をイメージさせる素材や色合いは想像しやすいと思いますが、いろんな季節のものが混ざっていると部屋がチグハグな印象になります。季節感を統一することでまとまりが出て、おしゃれな雰囲気になります。季節別の飾り方の例を見てみましょう。

春は植物が成長する季節。球根から芽吹く花や切花でも勢いを感じさせる明るいピンク・柔らかい緑色のものを飾る。

春は植物が成長する季節。球根から芽吹く花や切花でも勢いを感じさせる明るいピンク・柔らかい緑色のものを飾る。

暑さを紛らすために、透明感のあるグラスやガラス製の小物を多用する。色も水色など爽やかなものにして、涼しさを演出。

暑さを紛らすために、透明感のあるグラスやガラス製の小物を多用する。色も水色など爽やかなものにして、涼しさを演出。

豊かさを感じさせる紅葉カラーや落ち着いたブラウン系の色を取り入れ、暖かみのある素材、ぽってりとした陶器などを飾る。

豊かさを感じさせる紅葉カラーや落ち着いたブラウン系の色を取り入れ、暖かみのある素材、ぽってりとした陶器などを飾る。

クリスマスのオーナメントをツリーに飾るだけでなく、敢えて器にまとめてみるという大人っぽいデコレーション。冷たい印象のガラスでも、クリスマスカラーだと思いのほか冬の景色になる。

クリスマスのオーナメントをツリーに飾るだけでなく、敢えて器にまとめてみるという大人っぽいデコレーション。冷たい印象のガラスでも、クリスマスカラーだと思いのほか冬の景色になる。

ポイント3:遊び心をプラス

収納場所、実用的な場所にも遊び心を加えると、ディスプレイっぽくなります。例えば、ステンレスなど無機質な素材の棚などにポストカードを飾るとおしゃれ感が増しますし、子どもの頃から大事にしていたぬいぐるみなども、そこだけホッとさせるスポットになります。また、表紙が素敵な本を絵のように飾ったり、お気に入りのお皿をトレイの代わりに使ってみることでもディスプレイになります。

左画像:無機質なステンレス 壁に調和するよう表に出している鍋やツールはグレーや黒で統一。それだけだとクールになりすぎるので、換気フードの横にポストカードを飾っています。わざと斜めに貼ることで遊び心も演出 右画像:本のデザインや装丁はそれだけで一つの絵のよう。鳥の絵の横に添えた九谷焼の犬の置物が可愛らしい

左画像:無機質なステンレス 壁に調和するよう表に出している鍋やツールはグレーや黒で統一。それだけだとクールになりすぎるので、換気フードの横にポストカードを飾っています。わざと斜めに貼ることで遊び心も演出
右画像:本のデザインや装丁はそれだけで一つの絵のよう。鳥の絵の横に添えた九谷焼の犬の置物が可愛らしい

実際のお部屋をディスプレイ。
ビフォーアフターに注目

「高さ」「テイスト」「遊び心」の3つの基本ポイントを押さえたところで、実践をしてみましょう。
今回ご協力頂いたHさま宅は、シックな色合いでまとめられたおしゃれな住空間。洗練されたお部屋の印象です。Hさまからは、「つい買い足してしまう食器や季節物の飾り、家族写真などを上手に飾りたい」「生活感満載になりがちなキッチンカウンターを、おしゃれな空間に変えたい」とのご希望をいただきました。

最初に目についたのが素敵な家族写真が飾られたリビングのチェスト。 小さなお子様がいるお部屋としては色もまとまり、綺麗に整えられた印象ですが、普段はお子様のおもちゃが部屋にあり、散らかってしまうというお話しから、いっそのこと、そのおもちゃを「飾るアイテム」として、「テイスト」と「遊び心」を加えたコーディネートをしてみました。
「せっかくキレイに飾られた場所でお子さんがいたずらしてしまわないか、お呼ばれされた親御さんは気にしてしまうかもしれません。普段は絵や写真を飾られているところでも、お友達が来るときには先におもちゃを並べておくのはいかがでしょう。お子さんも手に取りやすく、親御さんもあまり気にせず遊ばせておけます」。

BEFORE:同じ黒のフレームに飾られた写真。手前に木のおもちゃを均等に配しています。まとまっているけれど、インパクトは少なめのレイアウトです

BEFORE:同じ黒のフレームに飾られた写真。手前に木のおもちゃを均等に配しています。まとまっているけれど、インパクトは少なめのレイアウトです

AFTER:カラフルなおもちゃを並べても、同じテイストでまとめられているため、散らかった感じにはなりません。グラスに飾った写真もうまく馴染んでいます

AFTER:カラフルなおもちゃを並べても、同じテイストでまとめられているため、散らかった感じにはなりません。グラスに飾った写真もうまく馴染んでいます

おもちゃのほか、家族写真もグラスに入れて飾るというアイデアも盛り込みました。
四角い額に入れてしまうとどの写真も同じ印象に見えてしまいがちですが、グラスに入れただけで写真の表情がクローズアップされ、印象がガラッと変わります。写真の入れ替えも楽なので、お気に入りの写真はもちろん、日々撮り溜めた写真をその時々に入れ替えて、お子様の成長や季節感を楽しむこともできます。遊びに来た方とも写真を見ながらお話も弾みそうです。

そして、どうしても生活感が溢れてしまうダイニング周りで、ものを置いても素敵に見せるレイアウトをご紹介します。
キッチンカウンターの上は、つい、いつもものを置きっぱなしになりがちな場所であるとともに、Wi-Fiルーターなどの置き場所としてちょうど良いのですが、電気機器などは生活感が出てしまいます。雑然となりがちなコードを隠す工夫として、目隠しにちょうど良い「高さ」の絵や写真の額を使いました。また、トレイの上に小物をまとめておけば散らからず、使うときも取り出しやすくなります。

BEFORE:コーナーにあるコンセントを使って、WI-FIルーター置き場になっているキッチンカウンター。同じように小さな家電なども置きがちで、一気に生活感が出てしまいます

BEFORE:コーナーにあるコンセントを使って、WI-FIルーター置き場になっているキッチンカウンター。同じように小さな家電なども置きがちで、一気に生活感が出てしまいます

AFTER:ルーターの隣に絵を飾ってコードを隠しました。絵の大きさによってはルーターそのものを隠してしまってもいいでしょう

AFTER:ルーターの隣に絵を飾ってコードを隠しました。絵の大きさによってはルーターそのものを隠してしまってもいいでしょう

好きなものだから捨てられないですし、溜まってしまうのは誰にでもあること。それを美しく飾ることで、いつでも慈しむことができます。グリーンや頂き物のきれいな箱ひとつでも飾ることで印象が変わりますし、緑の美しさや思い出の余韻を楽しむ時間まで生まれます。ただやみくもに物を並べるだけでなく、季節感や配置の工夫を取り入れることで、好きなものに囲まれた快適でおしゃれな暮らしを実現できます。ぜひ、今回ご紹介したディスプレイのコツや実際のビフォーアフター事例を参考に、統一感のあるインテリア作りを楽しんでみてください。

松坂香里さんプロフィール

松坂香里さん

クリエイティブ・ディレクター / デザイナー
女子美術大学卒業後、欧米ブランド服飾雑貨の企画デザインに従事。海外から見た「日本の価値」に気づき、2007年よりMade in JAPANのものづくり支援をスタート。産地ブランディングや商品企画、店舗開発やVMD、WEB制作や販促PRなど幅広い領域で活動。コロナ禍でのライフスタイルの変化に伴い、パーソナル空間や個人宅のコーディネートも行っている。部屋の設えなど、季節感のある日々の暮らしをSNSでも紹介している
Instagram:https://www.instagram.com/km_note

(テキスト)山田江理子
(インタビュー写真)清水タケシ

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