心安らぐ住まいを叶える、窓装飾の楽しみ方
[暮らしのアイデア]
2020年07月21日
色や柄、素材によって、住まいの印象を大きく左右する窓装飾。
どう選んでよいのか、迷ってしまう窓装飾のノウハウを窓装飾プランナーの木村ちさこさんにうかがいました。
話=木村ちさこ(きむら・ちさこ) 窓装飾プランナー
インテリアコーディネーター、窓装飾プランナー。インテリア専門店に19年間勤務後、独立。2012年よりインテリアデザイン事務所、ダルクデコ(株)取締役・チーフコーディネーター。一般住宅のインテリアデザインの提案とあわせて、関連企業のデザイン展示や窓装飾プランナー養成講座のセミナー講師など多方面で活躍中。
text by Emi Arita
機能性と装飾性の調和で、好みのスタイルに仕上げる
カーテンなどの窓装飾は、遮熱や遮光、プライバシーの保護など、暮らしに欠かせないものですが、カーテン、ローマンシェード、ブラインドなど種類がたくさんあり、どんな風に選べばいいのか、迷ってしまう方も多いと思います。
しかし選択肢が多いということは、その分自由度が高いということです。ほかの家具とは異なり、装飾エレメントや選ぶ生地によって、好きなようにデザインすることができ、自分だけのオリジナルを楽しむことができます。
主な装飾エレメントの種類は、下の通りです。これらを選ぶ際には、機能性と装飾性の調和を意識して選んでみましょう。
遮光やミラーレスといった機能性ばかりを重視した結果、光があまり入らない暗い部屋になってしまったり、シンプルな白のロールスクリーンを取り付けたら、地味で味気ない印象になってしまったり。そんなときは異なる種類の窓装飾エレメントを組み合わせてみるのもおすすめです。たとえば、ローマンシェードにトップトリートメントをあしらったり、ブラインドにレースのカーテンを合わせたり。
多彩な組み合わせで、自分らしいスタイルを表現できるのが、窓装飾の醍醐味とも言えます。
主な窓装飾エレメントの種類と特性
カーテン
最もポピュラーなエレメント。カーテンレールを使用し、左右に開閉。
色や柄、スタイルのバリエーションも豊富。
ローマンシェード
メカを使用して1枚の生地を上下に開閉。
ファブリックの特性や風合いを生かした、さまざまなスタイルを楽しめる。
スクリーン
生地表面を加工したフラットな窓掛け。ロールスクリーンのほか、2枚の生地を組み合わせ光を透過する部分としない部分をつくる調光スクリーン、左右に開閉するパネルスクリーンなどがある。
ブラインド
羽の角度を調整することで、光や風を通しながら外からの視線を遮ることができる。アルミ製や木製、ファブリック製など素材もさまざま。
左右に開閉する縦型ブラインドもある。
トップトリートメント
カーテンやスクリーンの上部に取り付ける装飾。
ファブリックで仕立てたものがバランスと呼ばれ、装飾性が高いのが特徴。
気になる窓の欠点は、窓装飾でカバーする
マンションはもちろん、ほとんどの住宅では、窓そのものの形や大きさを変えることはできません。
天井が低く上部に梁がある窓、カーテンレールが丸見えになってしまう窓、あるいは同じ部屋にある、高さがそろっていないアンバランスな窓……。こうした悩める窓がある場合も「仕方がない」と諦めずに、窓装飾で欠点をカバーすることを目指してみましょう。
たとえば窓上部に梁がある場合は、トップトリートメントをつけると、視線がそこに集まるため、窓や天井を高く見せる効果があります。
より高く見せるには、梁の色とトップトリートメントの色をそろえて、梁と窓の境目をあいまいにするのがおすすめです。
カーテンレールを隠したい場合や高さがそろっていない窓がある場合も、目隠しをしたり、つける位置を調整して窓の高さをそろえたりすることができます。
天井が低く、窓上部に梁がある窓に、トップトリートメントを採用した例。
また、多くの場合が、窓の形や大きさに沿って装飾をしつらえてしまいがちですが、腰窓にあえて床までのカーテンをつければ、天井から床まである縦窓風に演出することもできます。
つまり、窓の形や大きさにとらわれない、自由な発想による窓装飾が、自分が理想とする窓を仕立てることにつながるのです。
左側の壁一面にある腰窓に、床までのカーテンを取り付け、さらに厚手の生地で仕切りをつくり、縦長窓風に演出した例。
窓からの借景や陽の光を生かした演出を楽しむ
窓装飾を選ぶ際に心がけてほしいのが、「とりあえず」で選ばないこと。一度つけたものは、なかなか外すことができないものです。「朝はたっぷり陽の光を浴びて目覚められる窓にしたい」「カーテンは毎日触れるものだから、触り心地のいい素材にしたい」「リビングの窓はやわらかな光を取り込めるようにしたい」というように、日々の暮らしを具体的にイメージしてから選んでみましょう。
また窓は毎日眺めるものなので、見るたびに気持ちを上向きにしてくれるような演出を楽しむのもおすすめです。
私の自宅のリビングは、海に面した大きな窓があるため、シアーのカーテンに、海の波をイメージしたトップトリートメントとフリルをあしらいました。カーテンを開閉するたびにフリルが揺れ、窓の外に見える波とリンクする様子を楽しんでいます。
また都心の高層マンションに住んでいたときには、オパール加工の貴婦人が描かれたシアーのカーテンを取り付けて、まるで窓そのものが一枚のアートのような演出を楽しんでいました。
このように、機能性だけではなく、窓からの借景や差し込む光を生かした窓装飾を取り入れて、暮らしと心に安らぎを与えてくれるような窓を目指してみてくださいね。
木村さんのお宅の窓より。右/現在の住まいの窓。海に面しているため、強い日差しが入る窓だが、透明感のあるシアーのカーテンにより、光を和らげつつ、窓の景色を楽しむこともできる。左/以前の住まいの窓。高層マンションならではの大きな窓を装飾性の高いカーテンで演出。