ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン

2023年度グッドデザイン賞受賞ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン

[グッドデザイン賞]

地域の方に大切にされてきた、屋敷跡地の継承にあたって

「ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン」建設地は、「愛犬王」と呼ばれたイヌ科動物の研究者、故・平岩米吉氏の邸宅「白日荘」が存するお屋敷跡地です。昭和初期に建てられた主屋と付属の建築群および庭園が残され、敷地内に動植物が生息するその環境は、地域の方からも愛されてきたものです。
私たちがこの大切な土地に対して行えるのは、その大切な想いを、未来へ引き渡していくこと。その環境の豊かさを、かけがえのないものとして住まう方、地域の方に実感していただくことだと考えました。

白日荘(平岩家住宅)主屋 出典:『狼と生きて』

白日荘(平岩家住宅)主屋 出典:『狼と生きて』

「BIO NET INITIATIVE」(生物多様性保全の取り組み)

三菱地所レジデンスには「BIO NET INITIATIVE」という、地域の植生・生態系に配慮された外構・植栽計画を行ったマンション開発を、周辺の自然・公園と連鎖させることで生物多様性保全に寄与するという従来からの取り組みがあります。この大切な土地の記憶を少しでも後世に継承するためには、私たちの従来の取り組みを超える発想を持たなければならないと考えました。

既存の庭園や自然環境の植生・生態系について
着工前に調査と記録を実施

まず行ったのが、既存家屋・庭園・自然環境の調査・記録保存の実施です。工事着工前に計画地内の植生や生態系を、外部専門家の協力のもと、緻密かつ本格的に調査するのは私たちにとっても初めての取り組みでした。

「ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン」では、日本自然保護協会と連携し、既存の家屋や家具、庭園や自然環境の植生・生態系について、着工前に調査・記録を実施しました。緑化方針の策定と、継承すべき生態系についての検討を行うと共に、私たちの「ビオネットイニシアチブ」を着工・引き渡し後にも推進・活用するための調査記録としました。
調査内容・調査結果は、報告書にまとめ、これからのまちづくりや環境創造に活かすために、地域に記録保存し共有することにしました。調査結果は「日本近代文学館」、及び自由が丘の街作り会社「ジェイ・スピリット」に寄贈。「ザ・パークハウス 自由が丘ナディアガーデン」は、地域におけるひとつの環境指標として、継承されています。

主屋 東側外観

主屋 東側外観

生物多様性保全の取り組み

大規模な緑化空間による緑量の確保と生物誘致

中高木は260本以上(区基準の約2倍)、低木は3,900株以上(都基準(区基準無し)の約23倍)を植樹。
周辺の自然環境や土地の成り立ちに関する調査に基づき、従前の植物や地域の在来種を改めて植樹しました。敷地境界や沿道をはじめ、敷地内だけでなく、周囲の自然と調和した緑地の創出を目指すことで、地域の生物多様性の保全を図りました。
また、屋上緑化や地下1階の専用テラスにも植栽を配置することで、敷地全体に緑の一体感を生み、生きものが移動しやすい環境を創出しました。
約25%の緑化面積だけではなく、生物の避難経路など生息環境に配慮された等非舗装面を合わせた敷地の29%超が「生物多様性に貢献する面積」とされ、ABINC認証を取得しました。

既存樹木や表土、希少な植物の保存

マツの大木2本をはじめとした既存樹木を、南側の公開広場や西側沿道部から望める位置に、原位置保存ないし敷地内に移植予定としています。敷地南側は原位置保存及び従前の生育環境に近しい場所として、建設地の自然環境保全に寄与する緑地帯としました。
また2本のマツの周辺においては、表土を保管し、再利用することで、土中の生き物の生息環境の保全に努めています。
建設地においてもとりわけ印象深い樹木だったヤマグワやイノバラをはじめとする樹木や草花は、畑などの生育環境を確保したうえで保管し、再移植しています。

ヤマグワ:(左)建設地内(着工前)/(右)敷地外で生育・保管

ヤマグワ:(左)建設地内(着工前)/(右)敷地外で生育・保管

イノバラ:(左)建設地内(着工前)/(右)敷地外で生育・保管

イノバラ:(左)建設地内(着工前)/(右)敷地外で生育・保管

土中整備から生育環境創出を目指し、より幅広い生物多様性保全を目指す取り組みへ

表土の保管・再利用は、三菱地所レジデンスにとっても初の試みです。「その土地固有の価値を継承し、次代へとその価値を高めていく」ことは、住宅開発にとっても大きな使命ですが、「土壌そのものを継承していく取り組みを行うべき土地」に私たちとして巡り会ったのが初めてということになります。私たちの「ビオネットイニシアチブ」及びマンション建築においても、「ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン」は、今後に活かしていくべき方法論を活用した初めてのプロジェクトということになります。
土中には微生物をはじめ、生物が多様に連鎖する生態系があります。その連鎖が、美しい樹木や花々生育の基盤となっています。

引渡し後に生態系に関するモニタリングを実施

生物多様性保全の取り組みの効果を経年的に把握し、出現した課題に対して対策を講じるべく、お引渡し後も一定期間、管理組合とともに、植生や生態系の状況についてモニタリング調査を継続していきます。
経年的な希少種保全等が確認されることで「ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン」を地域環境保全に寄与するマンションにしていくと共に“他にはない”環境という価値を、住まうほどに深まる価値として提供していくことが目標です。

また、定期的に調査を行うことで、出現する生物種の特長や経年変化等を把握し、管理組合や地域に共有するとともに、日本自然ほぼ協会等による評価・アドバイスをもとに、管理組合に対し、植栽等の効果的な整備や維持管理について継続的にご提案しています。

審査員の評価コメント

計画地の生態系について、専門家を交えた調査、記録、保全、竣工後のモニタリングまでと時系列で真摯に向き合った事例である。事業者は生物多様性保全を目標に、他の分譲マンションとともに面で生態系を守っていく目標をかかげ、地道な保全活動を行なっている。1000坪超という都心の一等地での稀有な環境を守り後世に引き継いでいくことは、入居者のみならず地域住民にとっても大きな意義がある。今後は周辺住民にもより開いた場所をつくり、一緒に環境を享受できれば、さらに地域の価値を高められるはずである。日本を代表する企業として、「BIO NET INITIATIVE」の取組みをさらに発展させていただきたい。

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