季節の移ろいを“かわいく”楽しむ、ワンルームの暮らし

季節の移ろいを“かわいく”楽しむ、ワンルームの暮らし

[暮らしのアイデア]

2018年02月28日

著書『小さな家の暮らし』『「茜や」の小さく楽しむおうち歳時記』などで、暮らしを豊かに楽しむ提案をされている柳本あかねさん。以前は2階建ての古民家にお住まいでしたが、現在はコンパクトなマンション住まいを選び、「手が届く広さ」の良さを感じているそう。小さなおうちだからこそ、ささやかな季節のしつらいなど、本当に自分の好きなもの・美しいものを楽しむ暮らし方ができると話します。コンパクトな暮らしの魅力、また、手軽にかわいらしく季節を飾るコツについて、伺いました。

 

「リラックスできる家」を重視したら、ワンルームにたどり着いた

柳本さんは、都内のマンションでご主人&猫と暮らしています。現在の住まいに引っ越したのは2014年の夏。あえてワンルーム(約30㎡)のコンパクトな住まいを選んだのだそう。

「家を探す一番のポイントは『リラックスできる家であること』でした。若い頃は仕事や趣味で忙しく、なかなか家に目を向けられませんでした。でも、自分に必要な物がはっきりわかるようになった『大人』である今は、必要十分な広さこそが心地いいのではないかと考えたんです」。

すべてを把握できて、すみずみまで整えることができる、本当に必要かつ大切なものだけに囲まれた暮らし。結婚して14年、夫婦ふたりで暮らす家は6軒目になりますが、「これまで住んだどの家よりも狭く、そして最も快適」とのこと。

「適度な広さなので掃除もラク。ここに引っ越してから、夫も家事をすすんでしてくれるようになりましたし、いつも『快適だね』と話しています。決してすべての方に『狭い家がいいよ』とお勧めするわけではないのですが、私たちにとってはこの空間がちょうど良いようです」。

 

道具(モノ)は、「暮らしに必要な大きさ」を考える

コンパクトな空間でも、がまんや制限をしているわけではなく、「快適であること」を最優先に考えています。例えばベッドはクイーンサイズ、テーブルは直径1.6メートルもの大きさです。コンパクトな部屋には小さな家具を選びがちですが、この2つは大きさが生む居心地の良さを優先したのだそうです。

ホテルの部屋の導線を参考に、ベッドは部屋の入口側に、光が入る奥の窓側に大きな丸テーブルを配置。部屋の奥に向かって抜け感を作ることで、空間を広々と感じさせることができるそう

「ベッドはのびのびと休めるサイズのものを。2台のシングルベッドを並べ、クイーンサイズと同じくらいの大きさを確保しています。また、テーブルは最大10名で囲んだこともある大きさです。日々の食事も書類を広げる仕事もこれひとつで対応できますし、ふたりでテーブルに向かう場合も、スペースにゆとりがあるのでそれぞれ作業に集中できます」。

逆に、その他の「道具(モノ)」は小さく収めることを意識。「ミニサイズに切り替えると、小さな家でも必要なものはすべて持てるし、一つひとつの質を高めることができる」というのが柳本さんの持論です。それに気づかせてくれたのは、結婚式前日にもらった赤い小さな漆器。

「『こういうのがあると便利なのよ』と母が買ってくれました。小鉢に漬物など簡単な一品を盛るだけで、立派な一皿になるという母の言葉を聞いて、なるほど、と」。

贈り物だと、モノ自体の見栄えなどを優先して大きなものを選びがち。しかしお母さまからもらった器は、小さくても食卓の「美しさ」や「質」を高めてくれるものでした。それ以来、食器に限らず料理道具や文具など、小さなモノを好んで選ぶという柳本さん。必要なモノの数は減らさなくても、スペースにゆとりが生まれると言います。

日本茶インストラクターの資格を持つ柳本さんのお気に入りの茶道具も、両手にすっぽりと収まるコンパクトサイズ。小さいと、不思議と扱いも丁寧になるのだとか。

 

手軽にかわいらしく季節を飾るコツとは?

四季のディスプレイの例(左から、お正月、ひな祭り、豊穣の秋、クリスマス)

柳本さんの暮らしに彩りを添える「四季の飾り」も、手のひらサイズの小さな器や道具を用います。飾りとして用意しておくのではなく、普段使いの小物を使うことで、日ごろからさまざまなディスプレイのアイデアが浮かぶそうです。

「家のスペースが限られていても、季節の移り変わりは楽しみたい。主にリビングの棚の上で小さく飾って、歳時記を楽しんでいます」

例えば春なら、お花屋さんで桜の枝を1本購入して、さまざまなアレンジを楽しむそう。

「桜は、無造作に水にさすだけで絵になりますし、懐紙で折ったカトラリーレストの間に桜をさせば、春のおもてなしにぴったりです」。

飾るときは「白銀比」を意識しているそう。白銀比とは、寺社建築や水墨画の構図などで、日本古来から好まれてきた縦横比(1対1.414)のこと。また、飾るスペースはA4コピー用紙からはみ出ないサイズ、もしくは30センチ四方におさまるサイズを意識すると、きれいに見えるそうです。

続いて、5月の飾りも見せていただきました。5月と言えば、やはり子どもの日に飾る「鯉のぼり」。懐紙を折り紙のように使い、鯉を折ったら串に取り付け、小さな植木鉢にアレンジします。植木鉢には紙粘土を入れておき、鯉をつけた串を刺したら、小石をあしらってできあがり。植木鉢の横には水栽培のムスカリを置き、5月のさわやかな雰囲気に。

「小さな3つの植木鉢は、街で見かけてそのかわいらしさに惹かれ『何かに使えるはず』と購入したもの。同じ器が3つあると、ディスプレイにリズムが生まれるので、美しくまとまりやすいですよ」と柳本さん。ここでも「必要なものの数は減らさず、大きさを小さくする」というルールが生きています。

懐紙を正方形に切り、折り紙の要領で鯉を折る。懐紙や半紙、また水引などを用意しておくと、アレンジに重宝するそう 

節分の際に飾ることが多い豆枡。1つにはひいらぎを、残り2つに豆を入れる。同じ器が3つあるとまとまりやすい

「すべての年中行事を豪華に飾ろうと思うと時間も手間もかかりますが、手のひらサイズのものを丁寧に飾るだけなら、忙しい方でも簡単です。暮らしのなかで感じる季節は、心にゆとりをもたらしてくれます。大切なもの・必要なものしか置かないわが家ですが、季節感は欠かせないものの最たるものかもしれませんね」。

柳本あかねさん
静岡県浜松市生まれ。グラフィックデザイナーとして活躍しながら、二級建築士の資格を取得。自身の経営するカフェバー「茜夜」(東京・飯田橋)では日本茶インストラクターの資格を生かし、講座やワークショップも開催している。近著に『小さな家の暮らし』(X-knowledge)など。


(テキスト)大森りえ
(写真)鈴木真弓


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