三菱地所グループの防災の歴史は、1923年の関東大震災にさかのぼります。地震の発生直後から東京駅前に救護所を設置し応急手当にあたったほか、丸ビルの貯水を提供するなどに尽力しました。三菱地所グループでは、以来100年以上にわたり、防災に取り組んでおり、地域や行政と連携し、街全体での防災活動の重要性を強く感じています。また「三菱地所グループの防災倶楽部」という社員有志による組織を通じてマンション等の防災訓練支援を行っています。
防災訓練において目指しているのは、住民の方々が「いざという時に“自ら動く”ことができる」ようになること。とりわけ発災直後には外部からの支援を受けることが難しいため、住民の方々の主体的な行動が欠かせません。私たち三菱地所グループの防災倶楽部は、これまでの訓練経験と被災地での実例などの知見を活かして住民の方々が主体的に行動できるように防災訓練をサポートし続けています。
東日本大震災の発生から2年後に入居が始まった「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜」では、最初こそマンション単体の防災・減災における取り組みであったものの、数年後には隣の他ディベロッパーのマンションとの共同訓練を実施。その輪は徐々に広がり4棟5棟と増えていき、10年を過ぎた現在では奏の杜エリアほぼ全体で防災訓練を実施するようになりました。そこには、災害はエリア全体が被災するものであって、1棟のマンションだけが被災するわけではないという認識があります。だからこそ街全体で協力し、有事に備えあらかじめ様々なことを確認しておくことが大切であり、その考え方は防災訓練のあり方にもつながっています。
知っている人がいたり、一度話したことのある人と接したら、お願いごともしやすく受けやすいのではないでしょうか。普段から顔見知りを増やし、災害時に助け合える関係をあらかじめ作っておくことが防災には大切だと考えています。
マンション内の住民同士の関係はもとより、津田沼奏の杜では毎年訓練を実施していく上で、様々なマンション、関係各所と打ち合わせを重ねることで、災害時に助け合える下地が作られているといえます。そうした関係性の構築が地域全体でのエリア防災力の強化につながっています。
各マンションでは、マンションオリジナルの防災ルールを定めた「防災計画書」に従い、安否確認フローを確認。安否確認シートを各住戸ごとの扉に貼り出し、担当者が各住戸の安否確認情報を収集。その情報を災害対策本部に持ち帰り、マンション全体の状況を把握しました。
「つながり」をテーマに訓練を実施していることから、谷津奏の杜公園に集まった参加者全員で発災・火災・被災生活に関する〇×クイズを行い、楽しみながらエリア全体で防災知識を高めました。
① そなえるアクション~8つのミッションから防災を体験する~
身体を動かしながら備品の使い方を身につける訓練。実際にマンションなどで備えている様々な防災備品が並んでいる中から、例えば「停電してしまい周辺は真っ暗。屋外の明かりを確保しよう」というミッションに対して、「発電機と投光器を選び出し、実際に備品を使ってみる」、という訓練を行いました。また、地域の顔見知りを増やすために参加者同士でチームを作り自己紹介をして交流を深めながら、地域で助け合うための防災備品の使い方を学びました。まずは自ら考え、そして防災備品の使い方を知り、更に実際に使用することで新たな備えに繋げます。
② そなえるドリル ワークショップ
家族に必要な備えを考える、オリジナルの防災ツール「そなえるドリル」を使ったワークショップを実施。被災地で困った「トイレ」について、家族全員分に必要な簡易トイレ(凝固剤)の個数を考え、凝固剤の使用体験を行いました。また、東日本大震災の避難所で配給される食事は「炭水化物」が多く、ビタミンやタンパク質が不足していたことから、避難生活の食事で足りない食材(栄養)を補うための備蓄品についても考えました。
③ 起震車による地震体験
実際に地震が起きた際に冷静な対処ができるよう起震車で地震の揺れを体験しました。
④ 水消火器訓練
水消火器による初期消火訓練で使用方法を学びました。
⑤ 公園内マンホールトイレの組立訓練
谷津奏の杜公園には54カ所に災害用マンホールトイレが設置されています。地域の防災倉庫に備えている「災害用マンホールトイレ」を実際に組み立てる訓練を行いました。
⑥ ベランダパーテーション蹴破り体験
パーテーションを蹴破るのにどのくらいの力が必要か、どのように割れるのかを実際に体験しました。
⑦ 煙体験ハウス
煙体験ハウスでは火災が発生した場合の避難方法を体験しました。
⑧ AED・心肺蘇生訓練
マンションにも設置しているAEDの使い方を学びました。
⑨ 防災井戸の見学
谷津奏の杜公園に設置された防災井戸の説明を受けました。
ザ・パークハウス 津田沼奏の杜で2015年に防災訓練が始まってから、およそ10年。赤ちゃんだった参加者も小学生になり、今では訓練ボランティアとして参加し、大人たちと協力して活動を手伝うことも。人々のつながりは世代を超えて少しずつ着実に地域に根づき、ここからまた次の10年、20年と防災の灯を紡いでいくことでしょう。三菱地所レジデンスは、災害時に地域で助け合うために今後も近隣地域と連携を図りながら、街で助け合う防災に取り組んでまいります。
防災訓練参加者と
三菱地所グループの防災倶楽部メンバー