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後編長く心地よく暮らす、住まいの整え方
整理収納アドバイザー 西口理恵子さんに聞く、整理収納の工夫
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整理収納を通じてモノとの付き合い方を見直すことが、サステナブルな暮らしにつながる。では、その考え方を実際の住まいに取り入れるには、何から始めればよいのでしょうか。後編では、西口さんの住まいの実例をもとに、場所ごとの整理収納の工夫を紹介します。
INDEX
サステナブルな暮らしは、モノとの付き合い方から
整理収納の第一歩として、西口さんがまず取り組んでほしいと話すのが「全出し」です。「全出し」とは、収納の中に入っているモノを、いったんすべて出して見渡すこと。住みながら行うには少し勇気がいりますが、持ち物を見直すためには欠かせない工程だといいます。
「クローゼットを片付けようと思ったとき、多くの方は扉を開けて、いらないモノを探すだけになりがちです。でも、それでは中身は大きく変わりません。全部出すことで、まるで魔法のように不必要なモノが見えてきて、『なぜこんなに同じモノを持っているんだろう』『これはもう使っていないな』と自分で気づけるようになるんですよ」
全出しの基本ステップ
STEP 1 エリアごとに、1種類ずつすべて出す
クローゼットならトップス、食器棚ならカップ類など、まずは1種類に絞ってすべて出します。一度に全部を片付けようとせず、小さな範囲から始めるのがコツです。
STEP 2 種類別・色別に分ける
同じ種類のモノを並べることで、持っている量や偏りが見えやすくなります。
STEP 3 使っているモノを見極め、定位置を決める
「まだ使えるか」ではなく、「今の自分が使っているか」を基準に見直します。残すモノを選んだら、よく使うモノを取り出しやすい場所に収め、戻しやすい仕組みをつくります。
クローゼットは、探しやすく、長く着られる場所に
マンションのクローゼットは、収納量が限られる一方で、棚やハンガーパイプの位置があらかじめ決まっていることも多い場所です。まずは、今ある収納にどれくらいの服が収まるのかを知ることが、適正量を考える手がかりになります。
「服はまず種類別に分けてから、色別に並べるのがおすすめです。そうすると、探す時間がほぼゼロになりますし、自分が何をどれくらい持っているかも見えやすくなります。大切なのは、枚数を減らすことではなく、自分が本当に着る服、お気に入りの服を見渡せる状態にすること。毎日手に取りたくなる服だけが並んでいると、服選びも気持ちよくなりますよ」
■種類別・色別に分けたクローゼット
ワンピース、トップス、ジャケット、ボトムスなど、アイテムごとに場所を決め、さらに色別に並べて収納。コートやパジャマ以外の服をこの一か所にまとめ、全体を見渡せる状態に整えています。
クローゼットでは、ハンガーパイプの長さを測ることも、適正量を考えるヒントになります。一般的な薄型のハンガーなら、1メートルに約50枚がひとつの目安。パイプの長さから収納できる枚数を把握することで、自分が無理なく持てる量を考えやすくなります。可動棚やパイプの高さを調整できる場合は、自分や家族の身長、使い方に合わせて見直すことで、日々の使いやすさも変わります。
■洋服ブラシで日々のお手入れ
着た服は、しまう前に洋服ブラシでお手入れ。外でついた目に見えない汚れを落とすことで、お気に入りの服を長く着続けることにつながります。
キッチンは、動線と適正量で整える
マンションのキッチンは、シンクやコンロの背面に食器棚や冷蔵庫が並ぶ間取りが多く、限られた通路幅の中で効率よく動けることが大切です。西口さんは人の体の動きに合わせた配置を意識し、扉の開き方や食洗機からの動線まで考えているといいます。
「キッチンは、よく使うモノほど体の動きに合う場所へ収めることが大切です。目線の高さから腰の高さまでの範囲は、もっとも使いやすい“ゴールデンゾーン”。ここに一軍のアイテムを集めると、調理や片付けの動きがスムーズになります。また、食器は増えやすいものだからこそ、ずっと使い続けたいかどうかを、納得できるまで考えて選ぶようにしています」
■よく使う食器や調味料を収めた引き出し
よく使う食器やカップ類、調味料などは、取り出しやすい引き出しへ。食洗機や作業スペースからの動きも考えながら、日常的に使うモノを近くに収めています。
■実家から受け継いだ食器
実家や義実家から受け継いだ食器も、日々の食卓に。新しいモノをすぐに買い足すのではなく、長く使われてきたモノを今の暮らしの中で生かす工夫です。
洗面・トイレは、限られた空間を心地よく整える
洗面・トイレまわりは、タオルや消耗品、ストック類など、細かなモノが集まりやすい場所。収納量が限られることも多いため、何をどれだけ持つか、どこに置くかを決めておくことが大切です。
「木や竹などの自然素材や、ガラス素材の収納用品を取り入れると、生活感が出やすい空間も落ち着いた印象になります。また、日用品は、残り何個になったら買い足すかを決めておくと、買いすぎや買い忘れを防ぎやすくなります。必要な量を把握しておくことは、いざというときの備えにもつながりますよ」
■竹のボックスで管理するストック収納
トイレットペーパーや来客用タオルは、竹素材のボックスにまとめることで見た目もすっきり収納できます。自然素材のアイテムは空間になじみやすく、環境に配慮したモノ選びにもつながります。
(下)ゲスト用タオルの収納ボックスも竹素材で統一。※1
リビングは、家族それぞれの定位置をつくる
家族が集まるリビングは、くつろぎの場である一方、仕事道具や子どものモノなど、個人の持ち物が集まりやすい場所でもあります。共有スペースにモノが出たままにならないよう、それぞれの定位置を決めておくことが、心地よく保つためのポイントになります。
「リビングは家族みんなが使う場所なので、個人のモノと共有のモノをゆるやかに分けて考えるのがおすすめです。わが家ではロッカーのようなイメージで、家族それぞれのスペースを決めています。自分のスペースの中であれば多少散らかっていても口を出さない。その代わり、リビングのテーブルなど共有の場所には、個人のモノを置きっぱなしにしないようにしています」
これからの暮らしに合わせて、残し方を見直す
整理収納は、モノを減らすことだけではありません。
大切なモノを、これからの暮らしに合わせて残していくことも、そのひとつです。
たとえば西口さんは、幼い頃から大切にしてきた7段飾りの雛人形を、今の住まいに合わせて、男雛と女雛を飾る親王飾りとして楽しんでいます。もともとは大きく重たいうえ、収納にも場所を取るものでしたが、毎年すべてを出し、片付けるのは、時間的にも作業量的にも負担が大きいため、無理なく飾れる形へと見直しました。
収納の仕方も、細かな段ボール箱に分かれていた昔のままではなく、7段飾り一式を4段の桐箱ひとつにまとめています。出すのも片付けるのも億劫にならない形に整えることで、大切な思い出をこれからの暮らしへ自然につないでいます。
「衣」や「食」だけでなく、「住」にも関心を持ち、住まいを楽しんでほしいと西口さんはいいます。持ち物や収納を今の暮らしに合う形へ見直すことは、日々の動きをスムーズにし、家で過ごす時間をより心地よいものにすることでもあります。
なかでも引っ越しは、持ち物をいったんすべて出し、新しい住まいでの定位置を決める絶好のタイミング。これからの暮らしを思い描きながら、本当に必要なモノや自分たちに合った適正量を見直すとともに、今回紹介した場所ごとの収納の工夫も取り入れてみてはいかがでしょうか。
※1 写真提供:西口理恵子さん
※2 この記事の内容は2026年9月掲載時のものです。
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住まいと暮らしの視点から、サステナブルな考え方や実践をご紹介します。
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整理収納から考える、サステナブルな暮らし
整理収納アドバイザー 西口理恵子さんに聞く、モノとの付き合い方