マンション購入の基礎知識 ~5つのステップで理想の住まいを実現~
2025年01月07日
少しでも理想的な住まいに近づけるように、マンションの購入を思い立ってから契約まで、知っておきたい基本的な流れを解説します。対面での手続きと新しいWebサービスの両方を活用しながら、5つの購入ステップを賢く進めるコツを覗いてみましょう。今回は、三菱地所レジデンスの大手町ギャラリーにお伺いして、販売担当の伊藤遼太さん、米今清香さん、渡辺薫さんに詳しい解説を伺いながら、ギャラリー内を案内してもらいました。
STEP1【購入準備】
希望条件の整理と資金計画の立て方
マンション購入の段取りでよくある失敗が、事前に十分な準備をしないまま、モデルルーム見学に行ってしまうことです。見た目に惹かれて気に入った後に、もっと大事な希望条件があったと気づいたり、予算に合わずにあきらめなければならないこともあります。遠回りせず、スムーズに理想のマンションにたどり着けるように、正しい手順を知っておきましょう。
大手町ギャラリー・プレゼンテーションルーム
最初のステップとして欠かせないのは、希望条件の整理です。いろいろな物件に目移りして迷ってしまうのを防ぐために、マイホームに求める条件をリストアップします。エリアや交通アクセス、住まいの種類、間取りや設備など、ご自身はもちろん、ご家族で話し合いながら優先順位をつけて整理しましょう。希望条件を客観的に把握するためには、チェックシートの活用がおすすめです。思いを“見える化”することで、条件の見落としを防ぎ、理想の住まい像をカタチにする規準にできます。
どんな住まいが自分に向いているのかイメージが湧かない場合や、マンションか一戸建てかなどで迷っている場合は、不動産ポータルサイトや不動産会社が運営している「住まいの総合相談窓口」を活用するのもいいでしょう。無料で利用できるのが一般的で、電話やオンライン相談にも対応しています。
三菱地所グループの「住まいの総合相談窓口」でオンライン相談をしている様子(イメージ)。漠然とした悩み、疑問に経験豊富なコンシェルジュが中立的な立場でアドバイスしてくれる。
もう1つ、必ず事前準備として取り組んでおきたいのが資金計画です。予算に合わない物件を時間をかけて検討しても、なかなか契約までたどり着けません。まずは自分が余裕をもって購入できる金額を把握することが先決です。無理をして購入すると、後で住宅ローンの返済に苦労する恐れがあります。
貯金や金融資産から、どのくらい自己資金に充てられるのか。住宅ローンはいくら借りられるのかを知り、予算を把握することが大切です。住宅ローンのガイドをしているWebサイトや金融機関の公式ホームページでは、借入可能額を試算する「ローンシミュレーション」の機能を備えているケースが少なくありません。自分の年収で無理なく返せる金額の目安を知りましょう。
STEP2 【情報収集】
物件検索と詳細情報を得るコツ
物件の情報収集は、不動産ポータルサイトで希望のエリアや価格帯で検索したり、SNSの広告を参考に興味のある物件を見つける方法が現在は一般的でしょう。この他に、不動産会社の会員組織を活用する方法もあります。
不動産ポータルサイトは、幅広く情報を集めて比較するのに役立ちます。会員組織では希望エリアの物件情報などをメルマガで知らせてくれるので、最新の情報をいち早く入手するのに有効です。価格相場や市況を解説するセミナーなど、さまざまなイベントが会員向けに開催されています。
三菱地所のレジデンスクラブは、三菱地所グループのお客様向け会員サービスです。三菱地所のレジデンスクラブのメルマガでは新着物件のお知らせやローンに関するセミナー情報などのお役立ち情報をお届けしています。
物件の公式ホームページを閲覧し、物件が気に入ったら「物件エントリー」に進みましょう。最新のスケジュールや案内会などの情報は、エントリー登録している方に優先的に届けられるからです。
物件によっては「エントリー者限定ページ」にアクセスができ、公式ホームページには掲載されていない、より詳しい情報が得られるようになります。販売開始前の物件の場合、一般の公式ホームページでは「価格未定」と掲載されているケースもありますが、限定ページ内には予定価格が掲載されていることが少なくありません。気になった物件はひとまず「物件エントリー」しておくことがオススメです。
物件イメージ
「以前は、資料請求をしてパンフレットを取り寄せるのが一般的でした。最近は環境配慮の意味もあって、紙の資料をなるべく減らして、限定ページで豊富な情報を提供するようになっています。住戸ごとの価格や販売スケジュール、よくある質問などを掲載し、Web上でなるべく完結できるように内容充実に努めています。
- ※
- エントリー者限定ページの有無、内容は物件によって異なります。
もちろん、電話やメールでのお問い合わせに対応する体制は変わっていません。海外赴任中や国内でも遠方にお住まいの方には、オンライン相談のサービスもご用意しています。以前に比べて、いろいろな形でコミュニケーションが取れるようになりました」(販売二部・米今清香さん)
STEP3【モデルルーム見学】
実物大の空間体験と各種相談
WEBでもかなり充実した情報は得られるようになりましたが、「やっぱりモデルルームを見学して、リアルな空間も体験したい」と希望する購入検討者が大半でしょう。
実物大の空間や内装の風合いを体感することで、マンションでの暮らしを具体的にイメージできるからです。その場で質問して疑問や不安を解消できますし、水回り設備やオプション仕様を直接見て触れることで、使い勝手や機能性も確認できます。インテリアのカラーセレクトコーナーが設置されていることも多く、素材の持ち味や質感を確認できるのも、Webでは得られないメリットでしょう。
カラーセレクトコーナー。「ホームページやパンフレットではわからない内装材や建具の質感も確認できます」と販売二部・渡辺薫さん
現地モデルルームとは別に、アクセスの良い都心に、今回訪問したような「マンションギャラリー」を設置する不動産会社もあります。住戸内の特定のスペースを作りこんだり、インテリアや設備の一部を確認できる「プレゼンテーションルーム/コーナー」を設けたりしている例も少なくありません。現地に行かなくても、不動産会社のこだわりや工夫を知るのに役立ちます。
大手町ギャラリー・CUSTOM EYE’S ROOM オプションのインテリアや家具の検討ができる
モデルルームやマンションギャラリーは、単に空間体験をする場所ではありません。自分にふさわしいマンションに出会うために、住まいの知識が豊富な販売担当と、じっくり相談できることもメリットの1つです。
「周辺で分譲されたマンションの直近の成約価格や、賃貸にした場合に想定される家賃など、最新の情報は、ご来場していただいたときしかご説明はできません。住戸の位置によって変わる眺望や日照シミュレーション、現地周辺の環境や街の様子、口コミ情報などもお伝えできます」(販売二部・伊藤遼太さん)
「最上階の角住戸からの眺望がこちらです」と、小型の卓上模型とモニター画像を組み合わせて説明する伊藤遼太さん
「ご家族で希望条件が整理されていなかったり、お客様がご自身の本当のニーズに気づかれていなかったり、お話をうかがいながら悩みや迷いを解消できるようなご提案ができるのも、対面ならではだと思います。どの階のどの位置がいいかを一緒に検討したり、場合によっては別の物件をご案内することもあります。資金相談も含めて、2~3回は来訪されることが多いですね」(渡辺薫さん)
STEP4【購入申し込み】
ローン事前審査と申し込みの流れ
「このマンションのこの住戸」まで物件を絞り込み、購入の意思が固まってきたら、住宅ローンの事前審査に進みます。準備段階で自分なりに立てた資金計画は、あくまでも概算値です。実際に、金融機関から融資を受けられるかどうかは、物件を特定して収入証明書などの必要書類を揃えて確認する必要があります。
「金融機関のオンライン簡易審査を受けているから大丈夫と思う方もいらっしゃいますが、あくまでも目安程度の審査の場合もありますので注意が必要です」(渡辺薫さん)
住宅ローンの事前審査に通れば、購入申し込みのステップです。先着順の場合はすぐに申し込めますが、登録受付期間が設定されている場合は、その前に登録手続きがあります。受付期間の終了後に公開抽選を行い、当選すれば購入申し込みが可能です。
STEP5【売買契約】
契約前の重要ポイントと電子契約
購入申し込みから、早ければ1週間から10日で売買契約の締結になります。契約に先立って行われるのが重要事項説明、略して「重説」です。これは、宅建業法で義務付けられた手続きで、マンションの権利関係、法的な制限、購入代金の授受の方法、契約解除の規定など、売買取引に重大な影響をもつ事柄について、書面を交付した上で、宅地建物取引士が宅建士証を提示して説明を行わなければなりません。
「事前に書面をお送りした上で熟読していただき、当日もじっくり説明を聞いて、ご納得いただいた上で契約に進んでください。質疑応答も含めて2時間程度お時間をいただきます」(伊藤遼太さん)
重説が済んだら、いよいよ売買契約です。契約書の内容は事前に重説で出て来た項目と重なる部分が多くありますが、改めて確認して十分に納得した上で契約しましょう。契約に当たって、売買代金の10%程度の手付金を支払うのが一般的です。金額が大きいだけに、事前に銀行振り込みを済ませておき、当日は銀行振り込み票の控えを持参します。
書面で契約を取り交わす場合は、契約金額によって数万円から10万円程度の印紙代を支払わなければなりません。2022年に解禁された電子契約では、印紙代が不要というメリットがあります。
購入ステップの手続きに関わるデジタル技術は日々進化しています。三菱地所レジデンスでは、契約後、入居後のサポートまで含めて、新しく便利なサービスが提供され始めました。こうしたWebサービスを活用して、少しでも理想に近いマンション購入を実現してください。
会員向けのサービスがアップデート
~お客様のライフサイクルに寄り添ってサポート~
三菱地所レジデンス C・DX企画部の野田周作さんに、三菱地所グループの住宅系会員組織「三菱地所のレジデンスクラブ」の進化したWebサービスについて伺いました。
「『三菱地所のレジデンスクラブ』は、2018年より住宅事業グループ各社にて運営していた4つの住宅系会員組織を統合し、三菱地所グループの住宅関連情報を横断的に入手いただけるプラットフォームとしてスタートしました。
実際の検討者様や契約者様、当社社員とのワークショップなどを通じて、お客様のマンション購入から居住後まで、住まいに関する悩みは普遍的で、「自信をもって意思決定をしたい」ことが分かりました。住宅における意思決定のお悩みとは『情報・体験・ヒト』という切り口で分類され、これらをご検討の開始から居住後まで「意思決定のサポート」をオンライン・オフライン双方でご提供することで、お客様からパートナーとして認めていただけると考え、サービス機能を大幅に強化しました(下図参照)。
開発に携わったC・DX企画部 野田周作さん
例えば、マンションの購入検討段階では、今まではモデルルームに来場しないと得られなかった、価格表や販売スケジュールなどの「情報」、眺望写真や3Dモデルルームなど、お試し住まいの代替コンテンツによる「体験」を盛り込んでいます。さらに、疑問が出た時に誰に問合せしたらいいかわからないことがないように問合せ先一覧を用意し、スマートフォンからワンタップですぐに「ヒト(担当者)」へ問合せができる機能などを用意し、お客様の意思決定のサポートをできるようにいたしました。
- ※
- 本サービスは一部のマンションで導入を開始しており、今後、導入範囲を順次拡大いたします。
三菱地所のレジデンスクラブは『A partner in lifeあなたの人生に寄り添うパートナー』をビジョンとして掲げています。購入検討から契約、引渡しまでの顧客体験をWeb上で実現し、入居後も会員サイトがお客様の生活を便利で豊かにすることにより、お客様の人生をトータルにサポートするプラットフォームをめざしてく予定です」
スマートフォンでもできる「間取り比較機能」の例
三菱地所レジデンス 大手町ギャラリー
〒100-0004
東京都千代田区大手町1丁目6−1 大手町ビルヂング 121区外
定休日:火・水・木曜日
- ※
- 完全予約制
TEXT:木村元紀
PHOTO:村山雄一