ザ・パークハウス ものづくりの、物語。生態系をつなぐ邸。
~ひとまちストーリー vol.6~
2024年05月14日
イヌ科のフィラリア治療の道を開いた動物学者、平岩米吉氏。
自由が丘の私邸跡地には希少な動植物が数多く残されていた。
地域に愛されてきたその場所の「継承」にあたり、
環境保全をテーマにしたプロジェクトが始動。
大切な土地の記憶を後世に引き継ぐために、
ディベロッパーとして手探りの挑戦が始まった。
自由が丘に残された「オアシス」。
豊かな土地の記憶を、次代へ。
「戸建ての並ぶ先に、突然大きな『森』が現れる。そんな印象の場所でした」と木村は当時を振り返る
駅周辺の再開発を経て、人でにぎわう「自由が丘」駅。そこから高台へ歩を進めると、一転して静かな住宅街にたどり着く。緑といえば各邸の小さな庭木がぽつぽつとある中、突然あらわれたマツの大木に目を奪われる。
「ここは、イヌ科動物研究の第一人者として知られる故・平岩米吉氏の邸宅『白日荘』の跡地です。高木に囲まれた庭園内では多くの犬や狼が研究のため飼育され、同氏が亡くなった後も豊かな緑が息づいていました」。
土地の記憶を伝える「犬等の碑」
緑豊かなレジデンス。かつての「白日荘」の面影を伝えるかのよう
千坪(約3,300㎡)を超える広大な敷地内には、都の絶滅危惧種に指定されるショウリョウバッタモドキが生息するチガヤ群落が残されていたほど。鳥の好む果樹も多く、都心の貴重なオアシスだった。「地域の方から長く愛されてきた場所でもあります。お客様に喜んでいただける住まいをつくることはもちろんですが、この土地の『記憶』を少しでも後世につないでいきたい、という想いがありました」。唯一無二の生態系を持つ貴重な環境とともに、想いも未来へ渡していくこと。それが〈ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン〉のテーマだった。
1.ヤマグワの実をついばむヒヨドリ 2.モニタリング用の巣箱 3.ハギ 4.ウマノスズクサ 5.チガヤ(全て敷地内)
土から生態系を守る取り組み。
屋敷の後継となる緑豊かな邸宅に。
計画がスタートした当時は、「SDGs」という言葉が世に浸透し始めた頃。生物多様性の保全が重要と理解はしても企業としての具体的な取り組みは手探りだった、と木村は懐かしそうに振り返る。「社内でも頻繁に議論しましたね。地元のまちづくり団体や日本自然保護協会の方ともお話ししながら、持続可能な地域環境の創出を目指して、方針を決定していきました」。
水平ラインが美しいアースカラーの低層住宅
マンション開発時の緑地整備を通じ、生き物の生態系を守る取り組み、「ビオ ネット イニシアチブ」。本物件においてはマツの大木をはじめとした既存樹木を、表土ごと敷地外で保存し、施工後に土と一緒に戻した。土中の微生物ごとつなぐ、一歩進んだ取り組みである。「敷地の25%を緑地化し、地域の生物多様性保全の促進を図っています。夏には建物が見えづらいほど緑が厚みを増しますよ。竣工後のご挨拶に伺った際には近隣にお住まいの方にお褒めの言葉を頂き、緑豊かな『白日荘』の面影を感じていただけたのかな、と嬉しく思いました」。
稀有な環境を後世に伝える活動を評価され、2023年度グッドデザイン賞を受賞した。
豊かな緑の先には石張りのエントランス。高低差を活かし、外からの視線が気にならないよう設計
上質で落ち着いたデザインのラウンジ
地域に愛され続けてきた跡地。
木々とともに、新たな歴史を育む。
敷地境界には植栽を設け、建物を道路から離れた場所に建てることで圧迫感を低減
商業地の多い自由が丘において、まとまった緑地空間は希少である。そこで、本物件には敷地内の緑豊かな空間を地域住民とも分かちあう「オープンスペース」を設けた。自由に立ち寄ることができる広場からは、旧「白日荘」のシンボルであったマツの大木をはじめ、森のように豊かな緑を眼前に望む。
「近隣の保育園のお散歩ルートになっていて、木陰でお子様たちがお休みしながら楽しそうに過ごしているのをお見掛けしました。街に愛され、根付いていってほしいな、と強く感じましたね」。緑豊かな計画が街並みに貢献したとして、自由が丘街並み景観賞も受賞する。引き渡し後は、植栽の管理や生態系のモニタリングを管理組合が担い、貴重な環境を守り続けている。
ひときわ大きなマツの木が目をひくオープンスペース
閑静な住宅街に溶け込む外観
「人の管理の手が届き続ける分譲マンションだからこそできる継承の仕方、持続可能な地域環境の創出という点にこだわってきました。そっくりそのまま残すだけではなく、ディベロッパーとして貢献できるSDGsの形がある、という気付きを与えていただいた物件です」。
本物件のオープンスペース。植栽の半数以上が在来種。多様性の保全にくわえ、四季折々の風景が目を楽しませてくれる