#38 高齢者のためのシェアハウス

最近、若い世代に、集まって住むシェアハウスの人気が高まっています。
ベッドと収納スペースは小さな個室に確保して、トイレや風呂、キッチンなどを共有するという、ドミトリーのような構成です。ドミトリーと違うのは、誰かにサービスされるのではなく、充実した共有スペースで気のあう住人同士が一緒に料理をしたり、食事をしたり、会話をしたり、映画を見たりという暮らし方だということです。みんなで共有することで、大きなキッチンが使えたり、鍋などの調理器具も良いものを選ぶこともできます。合理的でありながら、豊かさも手に入れることができます。それは、ものを所有することから、ものを賢く利用するという考え方への大きな価値観の変化といえます。

 

こうした若い世代のシェアですが、一方で、年をとってからのシェアハウスというのもあるように思います。持ち物は、思い切って処分して身軽に独り暮らしを楽しむ。共有できる物はみんなで持てば、暮らしはずっと単純になりそうです。とは言っても若い人達に比べ、思い出の物も多くあるでしょうから、ストックルームなどがあると便利でしょう。高齢者がもっとも面倒なのは日々の買い物や料理です。プロの料理人を呼んで調理をしてもらったり、月に何度かはみんなでつくったり、または当番を決めて料理好きな人が腕を振るうというのも良いかもしれません。自分のために料理をするより他の誰かに料理をつくるのはずっとやりがいもあって楽しいものです。得意な趣味を教え合ったり、お互いに生活に必要な事を手伝ったりと、一緒に住むことのメリットは随分とありそうです。

 

とはいえ、年をとるほどにわがままになるのが人間の習性、プライバシーを確保できるような空間や、気のあう仲間と自由なコミュニケーションを選択できるような配慮も必要でしょう。そのためには、住人同士のコミュニケーションやルールをマネージメントする人がいると良いかもしれません。
ほんの少しの我慢で、多くのメリットがありそうなシェアハウス。高齢者も、健康であれば老人ホームという選択肢よりも、ずっと楽しいハリのある生活ができるようにも思います。

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