M10 世界の色と暮らしについて 〜ダッチデザインというスタイル

ダッチデザインという言葉を聞いた事があるでしょうか。90年代のオランダのデザインの潮流で世界のデザインの流れをつくりました。一言でいうとデザインをアートのようにそして論理的に解決しようとした流れです。大量生産に対しての別の方法を模索し、個性や作家性に重きを置きました。
素材や色についても調和のとれた色や一つのスタイルで統一してしまわないで、あえて多様性を意識し、多彩な色使いや様々な素材を重ね合わす事もひとつの試みでした。

 

日本の色は前回書いたように、色というより素材に重点を置いています。また近代の建築では白を基調としたストイックな色が多く使われてきました。北欧のインテリアに見られる様にすべてを白くしていくというのは近代デザインの極みとも言えます。

 

これに対して、ダッチデザインでは色においても素材においても、その使い方において実験的な取り組みをしたのです。

 

1 時をつなげていく。
リメイクというのもダッチデザインの特徴の一つです。未来を考えるのに過去の記憶を手掛かりにしていくこと、古材や廃材をもう一度使いながらつくりあげていきます。色を加えたり、逆に色をはぎ取ったりしながら、それらの部材をつかってもう一度違う形や違う場所につかっていくのです。新しい材料ですべてをつくるのでなく、リメイクという手法を使って、そこに歴史の片鱗を作り出そうとしていきました。また、それが人々に心地よさや楽しさもつくりだしました。予定調和しない、偶発性なども期待しながら、偶発性や創造性を喚起したともいえるでしょう。


2 バラバラと調和
かといって、全部が完全にバラバラだと調和させにくいものです。うまく調和させる為

にいくつかの方法があります。

 

1)大きさを揃える:様々な素材を使いながら大きさや長さを合わせていくということで統一感を出します。壁の素材など太さや厚みの違う板を同じ長さに切って使うなどの事例も多くあります。

2)基調の色を白くする:背景に白を多くいれるという方法です。白く塗り、そこへ他の色をいれて行く、その量をどこでとどめるかは、作り手のセンスになるでしょう。しかし基調の色が白いことで、色を使う難易度がかなり低くなるでしょう。

3)あえて対比させる:新しい素材にあえて古い素材を組み合わせるという方法です。ステンレスや人工大理石などの工業的な素材に、古材や素材感のある木材や石などを組み合わせてその対比を楽しみます。単調になりがちなモダンデザインに楽しみやわかりやすさを加えておくのです。そしてこうした手法や感性は、その後世界の大きな潮流となり、今ではあえて色の違う家具をあわせて使うという事も普通になっています。

 

今回ご紹介したダッチデザインというスタイルの様に、暮らしの色を考える時、あえて色や素材、大きさ、長さ、厚みなどを揃えないという方法から楽しさや心地のよさがうまれ、普段の暮らしがもっと楽しくなるかもしれません。

 

いかがでしょうか。これまで4回に渡り暮らしの色について考えてみました。
様々な考え方をヒントにカラースキムを検討していきたいと思います。
みなさんのご意見も引き続きお待ちしております。
是非、色についての考えをお聞かせください。

 

イメージ写真提供:IDÉE 撮影:Masahiro Sanbe

 

 

* 三菱地所レジデンスのカラーセレクト、EYE’S PLUS COLOR 2013のホームページがオープン致しました。
詳細はこちらから。
http://www.mecsumai.com/brand/list/brand_category_id/60