#40 コミュニティリビングという多目的スペース

玄関近くにみんなが集まれる多目的な空間を持つことの提案をこのコラムでは何度か提案してきました。特に玄関先で郵便物の仕分けをしたり、梱包の荷解きをしたりする場所、またいらない大きなものを小さくして一般ゴミに出せるようにする場所や、使わなくなったものを住人同士で共有できたりする場所などを考えてきました。そのほか本を住民同士で共有できる仕組みや、みんなでちょっとお茶を飲んだり、掲示板の情報を共有したりと玄関先で住人同士がコミュニケーションを日頃からできる場所があればとの提案でした。

 

さらに管理人も普段はこうしたスペースに顔を出す事で住人との交流も進み、またお互いの困った事などの情報も共有できるのではないかと思います。付き合いが深まれば旅行の時に草木への水やりをサポートしあったり、ペットの面倒をお互いにみたりと便利な事もたくさんあるでしょう。

 

最近では、多くの人がマンション内でのコミュニティのつながりは大切だと言います。しかしその一方で先日行ったアンケート(すまいかたと家族像について、2013年6月14日)では普段から家の行き来がある13%、地域の人との定期的な交流がある13%と実際には意外に少ないのもわかる気もします。つながりたいけれどもつながれない、そうした課題を解決するのにも、今回提案する目的をもたない、しかし誰もが気軽に集まれる場所、日常よく使う場所が必要なのではないかと思います。

 

アメリカの戸だて住宅地の事例でよくあるのですが、あえて郵便ポストを地区内の行きやすい場所に置いて、そこで出会いや会話をうみだす仕組みです。必ず行かなければいけない場所をあえて積極的に多機能にデザインする事で住む人同士が出会い、会話がうまれるようです。意識の問題だけでなく、建築や空間の仕掛けが大切なのでしょう。

 

さてこうした多目的な空間、どんな名前をつけたらいいでしょうか。様々な情報の共有の場として、またさらに住人同士の交流の場所として、コミュニティリビングという名前を仮につけてみました。この場所で、たまにはワークショップを行ったり、みんなで食事をしたりするのもいいでしょう。日常的に使われる共有の場所をつくることで、住人同士の絆は深まっていくのだと思います。
みなさんのご意見をお寄せください。