-
#118 これからのリノベーションについて vol.2 ~キッチンと洗面化粧台を一緒にしちゃいました!
update:2022/03/22
-
#117 これからのリノベーションについて vol.1 ~クローゼットの使い方を考える
update:2021/09/02
-
A044「玄関収納の使い方・バルコニーでの過ごし方について」のアンケート報告
update:2023/04/03
-
update:2023/03/31
-
update:2016/03/02
-
M28 食器棚について 〜入居者アンケートと訪問調査の中から
update:2015/12/24
-
update:2019/02/06
-
RT015「夫婦二人暮らしのくつろぎ空間」(Plan 17)
update:2018/10/23
-
J006 リノベーションで自由度のあるクローゼットを作りました
update:2022/01/26
-
update:2016/04/27
A020 「少子高齢化と子育てについて」のアンケート報告
実施期間:2014年11月26日〜2014年12月8日
回答者数 503人
今回、2014年11月26日から2014年12月8日に実施した「少子高齢化と子育てについて」には503件の回答が寄せられました。
日本の人口は2050年には現在の人口から35%ほど減り、高齢者(65歳以上)も増加し人口の40%になると言われています。また単身家族も増加、1世帯の平均家族数は1.1人になると言われています。しかし、こうした未来の予測は、社会の制度や会社の支援、民間の子育てサービスの普及促進、人々の意識の変革などにより状況は変えることができるかもしれません。 そこで今回は少子高齢化と子育てについて、子育て中の方も、そうではない方もそれぞれの立場からのご意見をお伺いしてみました。
1.少子化対策について
少子高齢化が今後進むと回答した方は91.8%と大多数でした。少子高齢化は避けられないという意識は多くの方が持っているようです。
少子化の問題については、どんな問題が起こるかわからないと回答した方が23.9%、翻って、少子化の問題について把握している方は64.4%と大半の方が回答していました。多くの方は少子化の先にある問題を捉えているようです。
女性や高齢者が働くことで経済が成長するはずと回答した方は34.4%、逆に成長しないと回答した方は41.7%に及びました。少子化に対して女性や高齢者の労働力だけでは問題解決にはつながらないと考えている方が多いようです。
子育て応援金はもっと高額でないと効果がないと回答した方は40.2%でした。金額の見直しを望んでいる方が多いようです。
結婚せずに子育てができるような制度については、58.1%もの方があってもよいと回答しています。子育ての形が多様化していることの表れかもしれません。
質問6.少子化対策についてあなたのご意見を自由にお聞かせください(30字以内)
○補助金・助成金
・ 給付金や手当、保育料等が安くなる措置があるが、ほとんどが所得制限がある。所得制限なしの措置が欲しい。
・ 子育て応援金を増やす。子供の人数にも応じて。子供の医療費負担をなくす。
○税制優遇
・ 子供の数に応じて大幅な税金優遇、学費免除等の対策を実施。
・ 税金を高くして、義務教育費は無料にしてほしい。
○支援制度・社会制度
・ 働きながら子育てがしやすい社会制度の確立・保育所・学童保育施設の充実が対策に繋がると思う。
・ 施設で育つ子供、海外で多産化している国の子供の養子制度が、もっと肯定されていれば良い。
○施設・環境
・ 0歳児から預けられる、男性も時短で働ける環境など、柔軟性を持った環境をしっかり確立できればよいと思う
・ お金の援助ではなく、勤務地の近くに住居を持て、保育施設の完備、通勤時間の短縮により時間は有意義。
○給与
・ 景気が悪く、給料が下がっている状況では結婚年齢が上がり共働きが増え、結果として少子化になるのは当然。
・ 出産費用を、健康保険の適応にすれば良い。
○働き方
・ 共働き、核家族でも無理なく子供を産み、育てられるような労働、住宅対策が必要。
・ 男性が子作りをする余裕、子育てを楽しむ余裕があると少子化問題は改善されるはず
少子化対策に関する意見には、男性が子育てに参加する、あるいは夫婦で家事分担をするなどの意識の変革への言及が多く見られます。
2.子育てについて
子どもの教育は安価な費用で利用できるサービスや公共施設より、高額でも質のいいものを選びたいと回答した方は33.4%でした。一方でお子さまの年齢別に分析したところ、小学校低学年、小学校高学年、中学生のお子さまをお持ちの方は、高額でも質のよい教育を受けさせたいという意見が約6割いることが見えてきました。
子どもの将来の可能性を広げるためには、高学歴である方がよいと回答した方は全体の58.6%でした。さらに回答者の年齢別に分析してみると、年齢が若い方が高学歴であることを望んでいる方が多いことがわかります。
子どもは学校の勉強より、自然や社会の中で学ぶ経験の方が大切だと思うと回答した方は40.4%でした。さらに、Q8「高学歴の方がよいと思う」の回答と合わせて分析してみると、高学歴を望み、さらに自然や社会の中で学ばせたいと回答している方が全体の36.9%いることがわかりました。一見矛盾するように見えますが、学歴も社会での経験も重視している方が多いようです。
子どもの教育のためなら親子離れてでも海外の学校で学ばせたいと思う、これにいいえと回答した方は35.0%と、はいと回答した方を上回っています。
子どもの教育のためなら自分も海外に移住してでも学ばせたいという質問に対し、いいえと回答した方は全体の49.3%と約半数でした。Q11の回答と合わせて見てみると、両親が同行するしないに関わらず、海外で学ばせるということに対してやや抵抗があるのかもしれません。
子育て中は仕事より子どもを優先させるべきだと思うと回答した方は38.2%でした。
質問13.子どもの能力を伸ばし可能性を広げる教育とはどういうものかあなたのご意見をお聞かせください(30字以内)
○機会・体験・経験
・ まずは体をたくさん動かしたり、自然の中で暮らしたり、そういった基本的な事を体験させてあげる。
・ 実物に触れる機会、毎日の学習習慣、評価されることに基づく自信。それらに触れる機会を仕組みとして大人が用意して本人が意志を持って選択できる環境。そして、何よりも周囲の大人がモデルを提示できる事。
○強さ・へこたれない力
・ ある程度我慢や辛さを克服出来る強さを学ばせるべき。特殊な技能教育以外は寧ろ夢や願望を育む環境が大切。
・ 現状のように周囲が教育を強いるのは間違い。放置ぎみがバランス的によい。
○チャレンジする力
・ 小中学校期:好奇心をはぐくむ。学習の基本能力を身に着ける。高校・大学:外国を含め広く世の中を知る。
・ 色々な事に挑戦させる為に、習い事だけではなく、遊びからも学べるようにしたいものです。
◯健康な体
・ まず健康な体をつくることです。次に集中力を養うことです。
○子どもの個性・興味
・ その子のもつ潜在力を知り、その子能力の器に応じた中で努力させること、また、努力が実るということを実感させ、達成感と喜びを与えることが必要です。能力以上のものを期待しすぎ押し付けてはいけません。
・ 子供が興味分野を見つける事を支援し、日本世界問わず最適な環境に身を置かせる事。
◯その他
・ 一流の教師に出会うこと。
・ 社会との関わりを重視し、地域で子供を育てる意識、環境の醸成、見直しが必要と判断します。
教育については、子供自身の「やりたいこと」を尊重するという意見と、両親が子供に学ばせたいことや経験させたいことができる環境を作る、という意見とに大きく分かれていました。さらに子供のやりたいことの幅を広げるためにも、チャレンジできる環境や海外での学習環境などを整えたいとも思っています。アンケート項目では“高学歴が良い”という意見が58.6%と半数を超えている一方で、学校の勉強よりも自然や社会で学ぶ経験を大切にしているという意見が40.4%と、相反する意見を併せ持っているという傾向が出ています。
これまでは、良い学校に入り良い会社に入ることで成功していくと考えられていましたが、現代は必ずしもそういう状況でなくなってきています。勉強が収入を獲得する目的でなく、自己成長のプロセスとして捉え直すような価値感の変化を必要としているのかもしれません。
3.家族と子育てについて
子どもの面倒をみるのはできるかぎり親・親族がいいと思うと回答した方は65.2%と半数以上でした。
子どもの面倒をみるのは、各家庭に任せる方がいいと思うと回答した方は39.8%でした。
子どもの面倒をみるのは、血縁がなくても社会(近所の人やリタイヤ層等)で支援出来るといいと思うと回答した方は63.4%でした。子供は親だけでなく、地域で育てて行くという意識を持つ方が多いようです。
4.子育てと働き方について
正規雇用の場合、収入が減っても1日の勤務時間を短くできるのは魅力的だと思うと回答した方は全体の75.5%とかなり多いことがわかります。
正規雇用の場合で、1日の勤務時間を短くするよりも、休みの日を増やして週2日または3日勤務にするほうが魅力的だと思うと回答した方は41.1%、一方でどちらでもないと回答した方は38.4%と、そういった働き方がイメージ仕切れていない方もいるようです。
家で子どもをみながら仕事ができるような仕組みは約6割の方が望んでいるようです。
前項の質問とは反対に、子どもが近くにいると仕事に集中できないので、子どもを預けて職場で集中して働くほうがいいと思うと回答した方は44.5%でした。
職場に子どもを預ける施設は78.7%と多くの方が望んでいるようです。
質問22.これからの働き方についてあなたのご意見をお聞かせください(30字以内)
○テレワーク
・ その時に応じて、時短勤務や在宅ワークなど選べる選択肢がたくさん用意されているとよいフレキシブルな対応が必要。
・ 託児か在宅ワークかは子供の性格にもよる為多様な選択肢が必要。
○フレックス
・ 仕事の内容や職場との距離を勘案してコアの勤務時間を確立した上で個々人の勤務形態を選択する仕組みが必要。
・ 多様性。預けたい人、預けない人、育児をしない人、それぞれが選択できるワークライフメニューと人々の意識の整備。
○ワークシェア
・ ワークシェアは子育て世代だけでなく60歳以上の人にも必要だと思う。
・ 職住が近接。ワークシェア。
○時短・週休3日勤務
・ こどもを預けて女性は子育てしながら社会進出すべき短時間勤務も然り、軽減勤務も当然企業側で必要。
・ 正規雇用のなかで、家で働く、時短で働く、週2〜3日で働くなど、選べるといい。
○在宅勤務
・ ITの発達で会社に居る時間は確実に減ると思う。介護、育児休業ももっと普及すると思う。
・ フルタイムで働きながらの子育て。自宅勤務も認められる企業の勤務システム。
○残業体質
・ 残業前提の働き方は持続可能ではないので、しっかり取り締まり、時間当たり生産性を高めるべき。
・ 残業体質は改めるべき。高効率な働き方をして、家庭も大事にする。
○雇用形態
・ 男女の区別なく、能力にあった雇用で、男女協力して、家庭を営んでいく。
・ 容易に転職をして仕事を生活に合わせられるような雇用の流動性を確保するようにしたい。
◯個々人にあった働き方の選択
・ 一本のレールではなく複数選択可能な働き方。
・ 能力があり、仕事を続けたい母親に対してより良い環境作をして行かなくてはならないと考えます。
◯復帰後の働き方
・ ひと段落してからまたキャリアを継続できる制度がいい。
・ ベストな働き方は自分の年齢やこどもの有無、年齢で異なるので、その都度、フレキシブルに変えられる、もしくは変えることが特別なことではなくなるとよいと思う。
◯その他
・ 一言でいえば生活を大切にしたワークライフバランス。子どもに愛着をつくることが最も大切だと思う。
・ 職場のすべてに、保育施設を作り、送迎の負担の軽減費用は企業側も負担し費用の軽減、側にいることの安心感で、働く女性も仕事に集中しやすくなると思います。
働き方に関してはまず生活するだけに必要な「お金」があり、それが満たされて上での議論になりそうですが、現在の日本は、そうした最低限の暮らしができないという声もあります。
特に、働き方に関しては、非正規雇用の拡大についての意見を多くいただきました。さらに個々の優先順位に合わせた働き方、雇用形態が選べるようになればよい、というものもあがっていました。これらを解決、運用するには企業側もフレックスや在宅勤務の制度の導入などの環境を整える必要があるでしょうが、企業の生産性と社員の働き方の自由度との両立にはさらに知恵が必要でしょう。
まとめ
今回はいつもより多くの方から自由回答をいただいています。その回答は3つの大きな課題に整理されそうです。「社会制度や企業の制度の改善要望」「経済環境や収入などの所得に関する改善要望」「環境や施設といったハードへの改善要望」です。
俯瞰してみると、その回答は様々な矛盾に満ちています。少子化について言えば財源が少なくなる日本ですが子育てへの助成金が欲しいと思い、教育について言えば自然に触れさせたい、創造性を育てたい、自由な教育環境で育てたいという一方で、やはり勉強のできるいい学校にいれたいとも思っています。そのためには良い塾や教育が必要だと。働き方では企業の利益は厳しい中でも安定した雇用は望み、高い給与を望んでいます。そして子育てにも柔軟に対応した働き方への企業制度も望んでいます。
多くの人が少子高齢化などの人口問題について理解していると答えているのですが、本当にそうした社会に対して、一体どのようなことがおきるのか、より正確な予測も必要とします。多くの仮説が少ない若者で高齢者を支えなければならないという危機感が前提にあるのですが、すでに人口問題は変えにくい現実と受け止め、将来おこる状況を踏まえ、その上で豊かさをどうつくっていくのかを前向きに議論する必要もあります。高度に発達する人工知能やテクノロジーの進化は人口縮小や労働人口の縮小をサポートすることになるでしょう。失業率も減るかもしれません。空き家も増え、住宅の取得の選択肢も広がるかもしれません。今一度過去の社会ストックを上手に再利用できる可能性をより積極的に活用できるチャンスとして捉えることもできそうです。公共施設などの利用も人が少なくなり快適になる可能性もあります。しかし一方で公共インフラなどの維持管理費用や社会制度を維持するための税金はあがるかもしれません。また働き方については、今までになかった産業が芽生え、新たな場所での雇用が生まれてくる可能性もあります。大企業、大都市で働くだけではなく、地方や田舎で働くという選択肢も増えてくる兆しもあります。