#68 成熟時代の日本と家のかたち

2050年の人口は8000万人、現在の66%になると言われています。
さらに65歳以上の人が40%を超え、一人暮らしが多くなり、世帯人数の平均は1.1人になるとも。人口予測は現状の出生率を見てのこと、よほどの大きな社会の意識や制度の変化がなければ変わることのない予測です。

 

こうした人口減少は、大きな社会問題ではありますが、テクノロジーの進化に伴い、機械が人間の労働の一部を補完する事になるでしょうし、医療技術もさらに進み、元気な高齢者が増える事にもなって働ける時間も長くなるかもしれません。また、一部の都市では16%を超える空き家率は最近大きな問題となっていますが、これからもっと増えていくでしょう。反対に、家が取得しやすくなったり、借りやすくなるかもしれません。こうした身体や社会の変化は、人々の意識も大きく変えるはずです。下り坂とも言える成熟社会は今までの上り坂の経済とは違った価値観を生み出しつつあります。
一言で言うと、物を持つことより、暮らしの質を求める時代と言えます。そうなった時の家のかたちはどう変化していくでしょうか。

 

最近では、大きな家より小さな家、多くのものを持つより少なく持つこと、所有より利用を考えて社会全体の無駄をなくしていくこと、大きな企業で働くより小さな組織で働くこと、都会で働くより田舎で働くことなど、経済成長時代とは違った様々な変化の兆しが生まれているようにも思います。
反対に、空き家や空き地も増えるのですから、あえて大きな家に暮らす人もいるかもしれません。一方、お店にしたり、趣味の空間などを備えたり、教室などを開いてみたりと具体的な活用を目的とした自分らしい暮らしを謳歌するという人も増えるかもしれません。また2地点、3地点居住といった、いくつかの拠点で暮らすことも、家を取得することが簡単になればできそうです。
単身世帯も増えていきますが、他の人と何かを共有するということも、もっと一般的になるかもしれません。滅多に使わないものは多くの人とシェアしたり、家自体をシェアしてキッチンやリビングなどを共同で使う暮らし方も、もっと浸透するかもしれません。それはそれでとても楽しい未来像です。知恵を使って楽しむ時代ともいえそうです。

 

下り坂の日本ですが、こういう時こそ悲観的にならずにその現実に向かって、快適に豊かな暮らしを営むための家のかたちを模索して行く必要があるのでしょう。
みなさんはどう思われますか、ご意見をお寄せください。