#72 窓辺のしつらえ

窓は家の外と中をつなぐ大事な場所、そこには様々なドラマが生まれます。例えばおばあちゃんが窓をあけて外を眺めているとか、窓越しに誰かと誰かが話しているとか、窓際にたって外を眺めて物思いにひたるとか、恋人同士が窓辺によりそって話をしていたり、またはかつての日本の家では屋根越しに隣の家の人と会話をしたりといった様々なシーンが思い浮かびます。
しかし最近のマンションの掃き出し窓という床から開くサッシにはそうしたシーンが思い浮かばないのです。それはどうも窓のしつらえに課題がありそうです。

 

窓がコミュニケーションを生み出す
例えば肘をかけることができるとか、グラスをおくことができるとか、または腰かけることができるとか、そこに何かの行為をうながすようなしかけが必要なのかもしれません。さらに高さも大事なポイントです。窓の高さによって行為が変わります。もし眺めのいい窓なら、思い切り低くしてそこに座れたりできるといいでしょう。一人で時間を過ごす時、友達や恋人と話す時、窓辺に座り、ふと目にとまる外の風景や外の音などに耳を傾けるのは楽しいものです。

 

具体的にマンションで「窓」を考えてみる
下の絵は、ベランダに面した窓を床から45センチぐらいの高さにして大きい窓をつけてみた絵です。

 

 

 

間取り図

※画像をクリックすると拡大されます。

 

そこに大きめの窓台をつけて腰掛けられるようにしてみました。窓の外側のベランダにテーブルを置くのもいいでしょう。その時にその窓台が家の外と内をつなぐ大事な要素となるのです。ものを運んだり、家の中から誰かが外にいる人へお茶を出したりと一時置きの場所にもなります。もちろんそこにクッションを置いて腰掛けて、本を読んだり、音楽を聴いたり、お茶を飲んだりしながら過ごすのもいいでしょう。時折、外の風景を眺め、自然の変化に意識を向けてみるのです。日常の忙しさの中で忘れがちな自然の小さな変化、窓辺こそ、そうした気付きを人々につくってくれる大事な場所なのかもしれません。

 

いかがでしょうか。窓辺のしつらえについてみなさんはどう思いますか。