#93 これからの働き方、暮らし方

現在の仕事に不安を持っている人はどのくらいいるでしょうか。以前行ったアンケートでは62%もの人が何らかの不安を持っていると答え、42%の人が転職や副業を考えていると回答しています。(アンケート「A010『働き方と残業について』」より引用 (/sumai-lab/2013/12/3582/))

 
2000年前後から日本の経済状況は大きく変化しています。人口も減少へと転じ、経済成長は横ばいになり、今や所得の世界ランキングは17位にまで下がっています。就職できない若者、また非正規雇用という立場で仕事をしている人も多く、特に女性では非正規雇用は50%を超えています。こうした時代に将来の仕事の不安が募るのは無理もない話です。
かつて、日本の会社は年功序列、会社に一度入れば生涯安定した生活が保障されていたかのように見えた時代がありました。しかしそうした時代は長く続きませんでした。理由は様々でしょうがここではそうした原因を考えるより、今どういう仕事をしていきたいのか。またはどういう働き方があるのか、そのことについて考えてみましょう。

 
さてみなさんにはどんな夢や希望があるでしょうか。どうせ安定が保障されないならば好きな仕事をしていきたいと思うでしょう。または好きな仕事が見つからないという方も多くいるかもしれません。たしかに初めから自分の好きな仕事があってそれを行っている人のほうが少ないかもしれません。

 
先日のコラムで小屋の話をしながら若い二人のユニット”YADOKARI”を紹介しました。彼らが小屋のサイトを作った時には、貯蓄や所得の少ない若者が家を持つための解決策として「小屋」という選択肢があるのではと考えたそうですが、実際に運営が始まり活動が始まると、そこに集まってきた人は決して所得が少ないわけではなく、企業に勤めている30代半ばの方が多く、会社でもそれなりの立場がある方だったそうです。しかしその人たちが、今の暮らし方に疑問を持ち、新たな働き方や暮らし方を探しているというのです。自分の夢や希望を探しているのです。少しだけ生活に余裕がでてきた頃に本当の自分探しがはじまるのかもしれません。そのために小屋をつくるという活動は自分の生き方や暮らし方を考え直すよい機会になるのかもしれません。

 
実際にそういう暮らしをはじめている方にお会いして話を伺ってきました。小さな家を千葉に所有し、会社を辞めてライターとして独立、収入は今までの半分に、しかし生活にかかる費用もダウンサイジングし、暮らしていました。家族との時間も増え、野菜も庭でつくり、地域とのつながりで米作りにも参加しています。取材の中で彼は「目の前のことに全力を尽くす。遠い夢を追いかけるのでなく目の前の仕事を一生懸命こなして気がついたらなんとなく暮らせるようになった。収入は減っても暮らしの楽しみ方は広がって充実した暮らしをしている。」と言っていました。「今の仕事を好きになること、好きな仕事をしているのでなく今の仕事を好きになることで人生が楽しくなる。以前よりやりがいを感じ、なによりも家族と一緒にいる時間が多くなったことが一番嬉しい」という言葉が印象的でした。

 
多くの人が今の暮らしに不安を感じています。そんな時代に、新たな暮らし方へ一歩足を踏み入れてみる。このあたりにこれからの働き方や暮らし方のヒントがありそうです。
みなさんはどう思いますか。ご意見お寄せください。